荒島岳BCスキー 山頂目前のワッフ音&雪崩遭遇に撤退
- GPS
- 08:15
- 距離
- 9.9km
- 登り
- 1,175m
- 下り
- 1,174m
コースタイム
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 7:56
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
この日は降雪直後で除雪した雪の壁により駐車出来ず。 200mほどし大野寄りに行った箇所のパーキグスペースに駐車した。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<仏御前の滝登り口〜北東尾根取付> 仏御前の滝登り口から尾根へ登る際、沢を1回渡渉する箇所あり。 雪が繋がっていればいいが、そのポイントも雪の状況しだい。 それを避けるには国道からの登高開始箇所を少し尾根よりから始めるとよい。 尾根への登りは急登。 <北東尾根〜小ナベ> 尾根に上がってしまうと緩急混じった尾根沿いルート。 明瞭な尾根なので迷うことはない。 下枝が大きく張り出したブナの樹の根元は雪の空隙があることが多く、 スノーシューでは落とし穴となって嵌まること多し。要注意。 小ナベが近くなると稜線には大きな雪庇あり。踏み抜き注意。 また、樹林帯を抜けて、低木〜草地になると一面の雪原。 降雪直後でも凍結した雪面となっている箇所が多く、クトーまたはアイゼン必要。 |
写真
装備
個人装備 |
スキー道具一式
シール
ビーコン
ショベル
プローブ
アイゼン
ツェルト
ヘルメット
ゴーグル
GPS
地図
食料
非常食
|
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感想
福井市内にも40センチほどの積雪をもたらした冬型気圧配置が緩み、
気温の上昇も見込まれた2月11日。
国道158号線の仏原ダムの畔に車を駐車し、ハイクアップの準備を行う。
今日のメンバーはふじもっちゃん、のだっち夫妻、ノリコさん、そして私テカポの5名だ。
この日はふじもっちゃんと私だけがスキーで、他の方はボード・スノーシューでのハイクアップなので
我々二人が先頭ラッセルを交代で頑張っていきましょう。
「仏御前の滝」の看板を目印に登り口を探すが、折からの降雪により路肩は除雪された雪の壁状態で、
ショベルを出して雪の壁を切り崩し、壁上部に出てからのスキー板装着となった。
AM7:00 シール登行開始するが、沢の渡渉ポイント探しが最初の難関。
何とか雪がつながっている箇所を見つけて、そこからは北東尾根へと急な斜面を登行する。
スキーブーツ上くらいのラッセルだが、後続のスノーシュー組はそのトレース上でも
さらに20センチほどは沈みこんでいるようで、体力が消耗されるようだ。
送電線の鉄塔まで登り上げた。
ここからは少し勾配も緩くなる箇所もあり、少しは楽になるかな。
振り返るとダム湖が美しい。
すでに高度感たっぷりで、山スキーの醍醐味が味わえる。
ここからは尾根沿いなのでルート選択に迷うことはない。
周囲の景色は一面のブナの林で、見通しがいい。
復路に滑る予定の左手の斜面もよく見えているが、
なんと気持ちいい感じのシュート状の面が広がっているじゃありませんか。
樹々の間隔もいい具合で、雪崩の心配も少ない感じだ。
標高1000mを越えてきた辺りでブナの大木近くなどで頻繁にスノーシュー組が
雪の落とし穴に捕獲されてしまっているではありませんか。
酷い時には体が完全に穴に落ちて、背負ったボードだけが雪面に見えている状態。
場合によってはこれは非常に危険な状況になるであろう。
前方を見上げて立ち止まっているふじもっちゃん、その視線の先には巨大な雪庇。
この標高でこれだけの雪庇が発達するなんて北陸の雪山の脅威を感じるのである。
次第に高木の樹木が少なくなり、突然視界が開けるようになってきた。
そろそろ小ナベが近いようだ。
それと同時に雪面の様子も変わってきたようで、
尾根の風上側は橋架谷を吹き上がってきた風に磨かれてカリカリになっている。
スキーのシールが効かなくなってきたので、すぐさまクトーを装着するが、
それでも慎重な登行をしないと滑落の危険がすぐそこにある状態だ。
狭くなってきた尾根をジグを繰り返しながらシール登行をしていく。
尾根の雪の状態は風上側はカリカリ、そして風下側はウインドスラブのような雪面であった。
そんな状態の尾根の風下側でジグを切ろうとした時、「グフッ」という音が聞こえた。
この音は「ワッフ音」であろうか。
ウインドスラブなどが形成された層とその下の層との結合が弱く弱層となっている場合、
わずかな刺激によりスラブがずれて、一気にスラブ全面に割れが生じて破断・崩壊する。
そのスラブがずれた時に聞こえるのが「ワッフ音」なのである。
知識としては知っていたが、実際にその音を聞いたことはない。
だからその音を最初に聞いた時はいまいち緊迫感が迫っていなかったのである。
さらにシール登行を続けていくと、先頭のふじもっちゃんのスキーの片方が
ウインドスラブに入った瞬間、
「グフッ!!」
そして次の瞬間、雪面全体に亀裂が走り、一気にブロック状の雪が雪崩れていったのであった。
咄嗟の判断でふじもっちゃんは後方へ座り込んで、巻まれるのを防いでいたのはさすがである。
ふじもっちゃんのスキーの先には上部の雪がなかった。
見上げると上方5〜6m先に50センチはあろうか破断面が見事に見えていた。
急いで安全な雪面に避難し、本日のこれ以上の登行は中止とした。
山頂まであと標高差150mであった。
PM1:00 滑降開始。
尾根の風下側を避けて、一人一人間隔をあけて滑り降りていく。
樹林帯に入ったあたりで、少し安心感が戻ってきた。
しかし、巨大雪庇や雪の落し穴があるので、先頭が滑った後、
下から無線で安全なルートを指示しながら慎重に滑りおりる。
ダム湖へめがけて滑り降りていく感じが最高に気持ちいい。
シュート状の谷まで降りてきた。
昼を過ぎたが、まだいい雪の状態を保ってくれていた。
気持ちいいターンを刻んでいく。
だいぶ標高を落としてきたようだ。
谷が深くなり、落し穴が至る所にあるので慎重に滑り降りる。
沢を渡渉し、ようやく国道が見えてきた。
初めての目前での雪崩との遭遇。
昨日までの多量の降雪と今日の気温上昇によりあらかじめの予測はしていたので、
橋架谷の滑降は恐らく無理であろうと推測はしていたが、
まさか尾根であれだけの雪崩に遭遇するとは思っていなかった。
雪崩れに関する知識と予見、雪山に入るということはそれらを十分に得て感じ取ることが
大切なんだということを再認識した一日であった。
◎ いやぁ〜雪崩は怖いですね! 最近は遭難のニュースも多くて、シッカリとした雪崩に関する知識を勉強してないと怖いし行けないと思いました。
◎ でもダム湖へ目がけての滑降は気持ち良さそうで滑ってみたいし複雑な気持ちです。(今の私では無理ですが、、) >~<;;
◎ 色々と勉強に成るレコを有り難うございました!そしてお疲れ様でした。m(_ _)m
この日はある程度危険な匂いは察知していましたが、
まさかの尾根での雪崩れ遭遇にはびっくりです。
しかし、よくよくその地形を見てみれば
雪崩れの発生しやすい条件が揃っていたのがわかります。
雪の状態に敏感なアンテナをもち、
雪山へ登るスキルが必要だと痛感しました。
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