日帰り攻略!カムイエクウチカウシ山


- GPS
- 14:51
- 距離
- 31.0km
- 登り
- 1,825m
- 下り
- 1,816m
コースタイム
- 山行
- 12:55
- 休憩
- 1:57
- 合計
- 14:52
天候 | 曇 時々 霧 一時 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【幌尻ゲート〜七ノ沢出合】 ・約6kmの長い林道歩き、所要時間は早足で1時間ちょい(自転車は不使用) ・未舗装ながらも路面状況はかなり良好なので暗い時間帯でも(クマの心配を考えなければ)安全に歩ける。 ・大雨被害による七ノ沢出合手前の林道水没箇所は復旧済み。 【七ノ沢出合〜八ノ沢出合】 ・行きは札内川の河原を中心に歩き、帰りは藪の中を中心に歩いてみたがどちらを歩いても所要時間は90分ほどで変わらず。 ・藪の中は比較的しっかりとした踏み跡があり、河原歩きよりも足にやさしい感じがするが、藪の中は虫が大量に纏わりついてくるので総合的な快適度は河原の方が上かも? ・どこを歩いたとしても計5〜6回の渡渉あり。水深は深いところでも膝下程度でバランスを崩すことなく渡渉できた。なお、当日の札内川ダム総流入量は3〜4㎥/s程度。 【八ノ沢出合〜三股】 ・登り下りともに所要時間90分。 ・八ノ沢に沿って河原歩きと渡渉をひたすら繰り返す。沢靴は必須。 ・三股が近くなるにつれて八ノ沢が急流となる箇所が増えてくるが、流れが急な場所は基本的に高巻きの踏み跡を辿りながら歩く。 ・八ノ沢の支流が谷の両側に滝を形成しながら本流に合流してくる光景はとにかく圧巻。 【三股〜八ノ沢カール】 ・容赦のない超急登区間。 ・滑りやすい岩場(一部ロープの設置あり)、ガレ場、紛らわしい踏み跡など危険箇所が多数ある。カムエク登山全体を通して一番の核心部。 ・基本的に八ノ沢の右岸を高巻くようにして急斜面を詰める。 ・大きな渡渉は無いので登山靴で行動可(自分は履き替えるタイミングがわからず沢靴のまま登頂したが、結果的に三股より上で沢靴が必要な場面はない) ・登りは基本的に体力勝負だが、下りは登りとは比べ物にならないほど足元に神経を使うので結果的に下りでもかなり体力を消耗した。 【八ノ沢カール〜主稜線】 ・三股からの超急登を登り詰めるといきなり勾配が緩くなり、八ノ沢カールへと入る。 ・八ノ沢カールはヒグマ出没要注意地帯でかの有名な福岡大学ワンゲル部ヒグマ事件の現場でもあるが、当日はヒグマの気配や痕跡はまったく感じなかった。糞も見当たらず。 ・八ノ沢カールから主稜線へは緩い登り。踏み跡はしっかりしていて、渡渉や急登など前途多難だったこれまでの区間に比べるととても平和で歩きやすく感じる。 【主稜線〜カムエク山頂】 ・緩急を繰り返しながらの稜線歩き、道は明瞭。 ・一部ハイマツの藪があるが程度は軽く、過去に戸蔦別岳やアンギラスで経験したハイマツ攻撃に比べたらずっとマシなレベル。 ・一部に岩稜帯もあるが、三股から八ノ沢カールの急登に比べれば危険度はずっと低い。 |
その他周辺情報 | 下山後、「十勝エアポートスパ そら」を利用(日帰り入浴1,000円) |
写真
そして、いろんな方の記録で見かけた林道の水没箇所がしっかりと復旧していてびっくり(*'ω'*)
この場所は大雨で被災したら永久に放置されるものだと思い込んでいました
もしかして手前の大きな山がもしや幌尻岳?!と思って地図を確認したらアレはただの名無し峰
幌尻岳は一番奥の方で雲に覆われ裾だけが見えている山のようです😇
ちなみに、少し手前で左半分が雲に隠れている山は急登で有名なコイカクのようです
踏み跡は網状に分岐したりたまに不明瞭になるものの河原を行くよりは歩きやすいかもしれません
ただし草地に入ると大量の虫が纏わりついてきて不快感はMAXです😓
最後の最後に土砂降りの雨に降られてびしょ濡れの帰還…😇
何はともあれ今回の北海道遠征最大の目的である「カムエク攻略」を無事に成功させることができて喜びもひとしおです😊
感想
(第14次北海道遠征)
8/8 0日目…所沢夕方発〜八戸港まで移動
8/9 1日目…八戸港〜[フェリー]〜苫小牧港〜中札内村まで移動
8/10 2日目…カムイエクウチカウシ山登山
8/11 3日目…暑寒別岳登山
8/13 4日目…愛別岳登山
8/14 5日目…苫小牧港〜[フェリー]〜八戸港〜所沢着
毎年お盆休み恒例の北海道遠征。今回はいよいよ、日本二百名山完踏を目指す中で最難関の壁として立ちはだかるカムイエクウチカウシ山に挑みました。
遠征の直前に発生した台風5号の影響でお盆休みはカムエク登山どころか下手をすると北海道への渡航自体が危なくなるのでは…?とかなり気を揉んだり、二転三転する台風情報や気象関連の演算に何度も振り回されつつつも、カムエクに挑むために必要な気象条件が整うことを北海道上陸の当日になってようやく確信。
そしてカムエクへの挑戦者にとって一番気になる札内川の水量情報…、これも前日に札内川ダムのHPで確認をしたところ安全目安の10㎥/sを大きく下回る3〜4㎥/sということで条件クリア。
こうしてカムエク挑戦への扉が無事に開かれたのでした😊
そして、カムエク登山を計画するにあたってはテント担いで1泊2日にするか、日帰りで挑戦するかかなり悩みましたが、自分は大荷物の重装備で歩くのが大の苦手😵💫
悩んだ結果、ちょっと計算をしてみる φ(・ω・`)
カムエクの歩行距離は往復約32kmでそのうちの約12kmは林道歩きが占める。となると、純粋な山歩きの距離は差し引き約20km…。そして総高低差の方は2,000m弱…。
お盆の時期であればヘッデン無しで安全に歩ける時間は14時間くらいは確保できるし、渡渉やルーファイで通常の山歩きよりもかなりの時間を要するとしても日帰りが不可能な山ではないのではないだろうか?
考えた結果、ここは荷物の重量を抑え、自分の性に合ったやり方(日帰り)でカムエクを攻略してしまおうと決断したのでした。
そんなわけで日帰りでのカムエク攻略を果たすべく、午前2時50分、真っ暗なうちに幌尻ゲート前をスタートして長い1日が始まりました。
ちなみに幌尻ゲートに停まっていたクルマは自分を含め3台だけで、8月の連休中にしては思ったよりも少ないなぁ…(日高山脈の奥深くに入るだけで緊張するのに、人が少ないとますます不安になる😢)。
午前4時、計算通り七ノ沢出合に到着するタイミングで夜明けを迎えてヘッデン消灯&渡渉に備えて沢靴装着。札内川は川幅こそ広いものの流れは非常に穏やか。1年前のペテガリ岳登山で沢靴を使用した経験が活きて、躊躇することもなく順調に渡渉を進めることができました。
午前5時半、八ノ沢出合を通過。
幌尻ゲートを出発してからまだ誰にも会っていないが、八ノ沢出合では2張のテントを確認。今日カムエクを目指している人たちのテントかな…?と思っていたら、30分ほど八ノ沢を遡上したところで先行する二人組の登山者を発見!良かった、今日のカムエク挑戦者は自分だけではない模様…。小心者の僕はホッと安心したのでした😇
やがて三股が近づくにつれて八ノ沢の流れは急流になり日高山脈の大自然が徐々に本気を出してきます。支流の沢が谷の右から左から滝となって八ノ沢に集まってくる光景はただただ圧巻の一言。沢登りの趣味が無い自分にとってこんな光景は未知の領域もいいところ。
本当にここはアドベンチャーの世界そのものなのでした…
午前7時、三股到着。軽く腹ごしらえ。
「三股」の名の通り、三本の滝が行く手を阻むように立ちはだかる光景に日高山脈への畏怖の念が一層高まります…。
七ノ沢出合からここまで3時間ほどで到達していて、計画と照らし合わせても極めて快調なペース。日帰り可能の判断は間違っていなかったと確信しつつ、三股を出発しました。
三股から先は滝のような八ノ沢を横目に見ながらの容赦ない急勾配ゾーンに突入。滑りやすい岩場、急勾配の藪道、ガレガレの直登など危険地帯のオンパレード。それでもカムエク攻略へ向けて昂る気持ちのおかげなのか、ガシガシと足が自然に動いてくれました😳
この頃には朝のうちは晴れていた空もすっかり曇り空に変わっていて、三股から30分ほど登ったあたりでガスの中へ突入。ちょっと残念な天気だなぁ…と思いつつも、後になって冷静に考えてみると曇り空とガスのおかげで登りながら暑さに悩まされなかったことは幸運だったのかも。
なにしろ昨年のペテガリ岳は地獄のような暑さでとにかく体力の消耗が激しかったので、あれに比べたら今年のカムエクの気温は天国そのものです(*´ω`*)
ガスに包まれながら夢中で急登を詰めていくと、勾配が緩くなり流れる沢の音が急に鎮まる…。深い霧に包まれて辺りの様子はよく分からないけど、すぐに八ノ沢カールに入ったと分かりました。
やがてカムイエクウチカウシ山という山を語る上で避けては通れない福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件の慰霊プレートが深い霧の中に現れました。
「高山に眠れる御霊安かれと 挽歌も悲し八の沢」
物音ひとつ聞こえてこない静寂の中で50年以上が経っても悲劇を伝え続ける慰霊プレートにそっと手を合わせずにはいられません。
八ノ沢カールを過ぎるとカムエクとの闘いもいよいよ終盤戦。
主稜線に上がるとちょっとしたハイマツの藪、岩稜、急登などちょっとした難所が時々出現するものの、これまでの渡渉や激登りなどの試練に比べればずっとマシ。ここまできたら頂き目指して元気に前進あるのみ(=゜ω゜)ノ
そして午前9時50分、遂にカムイエクウチカウシ山に登頂!!!
3年越しの計画で難攻不落のカムエクを攻略できた喜び、そして登頂とほぼ同時にガスがフワァ〜っと流れて奇跡のような青空と広大な日高山脈の眺めが現れた感動で思わず目から水が…😢😢😢
天気に関しては八ノ沢カールが濃霧だった時点でほとんど諦めていたから…、一生に一度来れるかどうかという山の頂で一発大逆転の青空に迎えられた感動は生涯忘れられないと思います😢
予定よりもかなり早くに登頂を果たせたので、山頂に滞在できる時間のリミットは余裕たっぷり。雲の流れと日高山脈の稜線をのんびりと眺めている間に気がついたら1時間半が経っていました…。
せっかくのカムエク、限界登山にありがちな時間に追われてタッチ&ゴー状態にならなくて本当に良かった。。
カムエクの青空と景色に感動しつつも心残りのまま終わってしまったものもあって、それはピラミッド峰にかかっていた雲が1時間半待ってもついに一度も取れなかったこと。カムエクから眺めるピラミッド峰の画に憧れていたのでこれを見れなかったのはかなり心残りですね…(´・ω・`)
午前11時15分、下山開始。
下山を開始すると再び霧の中の世界に逆戻り。
そして八ノ沢カールから先の帰りの道のりが本当に長く感じられました。昨年、日帰りで早月尾根からの剱岳に挑戦した時も同じことを思いましたが、「本当の試練」は登りよりも下りである…。これはエクストリーム系の日帰り登山の場合、どの山でも共通して言えることだと思います😇
八ノ沢カールから三股までの危険極まりない激下りと、その後の渡渉と河原歩きの繰り返しで帰りは体も気持ちも疲れ果ててしまい、行きの何倍も長く遠く感じられました。登りは気持ちの高揚もあって正直なところ想像していたほど長くは感じられなかったのだけど、帰りは本当に長い長い…😵
それでも午後4時過ぎには七ノ沢出合まで戻って無事に最後の渡渉を完了。渡渉だけは何としてでも明るいうちに完了させたいと思っていたので、日没の時間までだいぶ余裕をもって七ノ沢出合に辿り着けてとりあえず一安心です。
しかし、そこから先の林道歩きが疲れた体にはこれまた非常に長く感じられ、しかも最後の最後になって土砂降りの雨にも降られる始末。帰り道は本当にどこまでも試練の道なのでありました…
午後5時45分、ずぶ濡れになりながらも幌尻ゲートに無事戻ることができてカムエク日帰り攻略挑戦は無事に成功!
この日のために3年前からあれやこれやと計画を練ったり準備を進めてきた、そして自分としてはこれ以上の緊張感がある登山への挑戦は今後の人生でもう計画することは無いかもしれない。そう思うと大きな挑戦を成し遂げてホッとしたり嬉しい気持ちが大きい一方で、今までのエクストリーム系登山の後には無い寂しさのようなもの(一種の燃え尽きというやつなのか…?)を下山後に感じたりもしたのでした。
※令和6年8月10日 カムイエクウチカウシ山日帰り攻略まとめ
・山行時間は計14時間50分(登り 7時間/山頂滞在 1時間30分/下り 6時間20分)
・行動時間の数字的には幌尻岳チロロ林道ルート日帰りの時や奥武蔵全山縦走とさほど変わらず
・しかし、渡渉やルートファインティングなど総合的な難易度でカムエクは別格
・何度も何度も書くが体感的に登りよりも下りが非常に長く感じる
・天気は山頂で晴れた以外はほとんど曇り空かガスだったが、そのおかげで暑さに悩まされることがなく登りは想定よりかなりのハイペースで歩けた(水は2ℓ携帯+不足した時のために浄水器を持ち歩いたが、実際には1ℓ程度しか消費しなかった)
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