武奈ヶ岳~蓬莱山~霊仙山~環来神社


- GPS
- 06:32
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 1,996m
- 下り
- 2,071m
コースタイム
- 山行
- 6:16
- 休憩
- 0:17
- 合計
- 6:33
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全般的に良好に整備された一般登山道 最後の廃林道のみはやぶこぎ道 |
写真
感想
この連休は連日、絶好の晴天が続くようだが、十月とは思えぬ温暖な日々が続く。金木犀の香りが漂い始める季節ではあるが、この生温い空気は金木犀の透明感のある香りにそぐわない気がしてならない。
久しぶりに朽木行きの京都バスに乗って、比良に出かけることにする。権現山から蓬莱山を経て、武奈ヶ岳まで縦走したのは昨年の九月のことであったが、今回はその逆ルートで武奈ヶ岳から蓬莱山に縦走し、権現山まで縦走し、JR琵琶湖線の和邇に下山するか、体力に余裕があればそのまま大原まで南下しようという魂胆だ。
この日は利用者が多いので、バスをもう一台増やして、運行しているが、二台目のバスもほぼ満席のようだ。バスが大原に到着しても降りる乗客はいない。花折峠の入口で一名、平のバス停で数名の乗客が降りる。
バスが坊村に到着するとここで乗客の大半が降りる。臨時の増発バスは乗客は全て降りたようだ。早速にも武奈ヶ岳に向かってスタートを切る。バスを降りると10月とは思えぬ暑さではあるが、樹林の中の登山道に入ると涼しさが感じられる。
最初の植林の九十九折りでは多くの登山者が登っておられる。ca?mで尾根に乗ると、左手の安曇川沿いの谷から涼しい風が噴き上がって、体を冷やしてくれる。御殿山にはほぼ1時間で到着。山頂ではピンク色のシャツを着た大勢のパーティーが休憩しておられた。
山頂からは草紅葉を見せる、ワサビ峠の鞍部に降って登りかえすとすぐに見晴らしの良い西南稜の尾根に出る。紅葉しているのはドウダンツツジなどのツツジ系の低木だ。なだらかな西南稜から武奈ヶ岳のピークにかけて一気呵成に登り詰める。
山頂から北の蛇谷ヶ峰、その北に広がる野坂山地の展望を確認するとコヤマノ岳に向かう。武奈ヶ岳の山頂の東側斜面は年々、ザレがひどくなっているような気がする。登りは良いが下降は滑りやすいので小刻みに足場を選びながら慎重に下降する。
コヤマノ岳の手前では重装備の若者に挨拶し、言葉を交わす。昨夜は北比良峠でテン泊されておられたらしい。八雲ヶ原はテン泊の人達でかなりの混雑だったらしい。
コヤマノ岳から琵琶湖の対岸の沖島、奥島山のシルエットを展望を確認すると、山頂から少し南下したところにあるブナのマザー・ツリーにご挨拶に伺う。ブナの黄葉にはまだ早いようだった。
コヤマノ岳から上林新道を降りはじめたところだった。この分だと蓬莱山に何時に到着するだろうか・・などとつまらない計算をして足元の注意がおそろかになっていたのだろう、木の根に足が引っ掛かり転倒する。転倒した瞬間はすぐには動けなかったが、右膝と左手の掌に擦り傷を負った他は特には大きな問題はなかったようだ。体は無事であったが、スマホを取り出してみると、画面に大きくヒビが入り、顔認証が出来なくなっていた。
気を取り直してヨキトウゲ谷に向かって下降する。脚は順調に動いてくれるようだ。金糞峠では狭い峠に数人が休憩しておられた。表比良の縦走路に入ると急に人が少なくなるように思われる。南比良峠まではアップダウンの少ない樹林の道が続く。南比良峠にさしかかると秋色に染まった岩ヒメ蕨が一面にベージュのカーペットを広げている。その傍では未だに色鮮やかなトリカブトが名残惜しそうに見送ってくれる。
烏谷山にかけては緩やかな登りが続く。山頂の界隈ではシロヤシオの葉が色づいている。しかし、気温が高い日が続くせいか樹々の紅葉は色がくすんでいるように思われる。烏谷山からは目の前の比良岳にかけて葛川越への下降がきつように感じられる。幸い、距離が短いので、実際には体力的にはさほどの負担になるところではないのだが。
黙々と登り返し、比良岳の山頂に至る。この界隈はブナの美林が広がり、雰囲気の良いところではあるが、急に目の前の打見山の方から風に乗ってスピーカーから音楽や人の声が聞こえてくる。木戸峠に向かってブナ林の美林に入る。足元では時折、竜胆の可憐な紫の花が微笑むように咲いている。
木戸峠からは打見山の山頂に向かってスキー場のゲレンデを登る。スキー場のゲレンデは見晴らしはいいものの、なかなか景色が変わらないので、登っている実感が湧きにくい。ゴンドラの山頂駅での自動販売機で入手する冷たい飲料のみを楽しみに登りを辛抱する。明らかにテン泊装備の単独行の男性と二人ほどすれ違う。
いざ、打見山の山頂に到着してみると、あまりの人の多さに驚かされる。自動販売機では麦茶と水にアクエリアスしか売られていなかった。アクエリアスを選び、冷たい飲料を早速にも喉に流し込む。運動後に急激に糖分を摂取するといわゆるペットボトル症候群に陥る可能性があるのだが、アクエリアスの糖分は多くは人工甘味料だと思うので、そのリスクは低いだろう。
打見山から蓬莱山への鞍部に向かうと、多くの観光客に混じって居心地悪そうに登山者が斜面の端を歩いているを見かける。鞍部から蓬莱山の山頂に向かうリフトにも大勢の人が並んでいた。山頂に向かってはリフトの左側の斜面を登ることになるが、やはりスキー場のゲレンデを登るというのは意外にしんどい。考えてみると蓬莱山はこれまで何度も登っているが、打見山からこのゲレンデを登ったのは過去には一度しかないのだった。
ようやくゲレンデ・トップに登りつめると、時間は丁度13時であった。彼方に比叡山が視界に飛び込む。山の神にご挨拶すると、法華山に向かって伸びてゆく広々とした笹原の稜線を下降する。多くのハイカーが蓬莱山から小女郎ヶ池を往復するせいだろうか、小女郎峠を過ぎると急に人の姿が少なく感じられる。左手には琵琶湖とその周囲に広がる市街のパノラマを眺めながら、緩やかに尾根を降って行くのはなんとも爽快なところである。風にそよぐススキの穂が秋を感じさせるが、気温はまだまだ高いようだ。
法華山に至ると、樹木のない山頂部には苔が広がっており、苔の緑が瑞々しく感じられる。法華山の山頂からは権現山と、その先に霊仙山が見える。その先の環来神社のあるあたりまではかなり下降することになる。法華山から権現山までは一投足だが、高度が下がるとリョウブの樹林に入る。
権現山の山頂から霊仙山を眼下に見下ろすと、霊仙山の山頂まではかなり下降するように思われる。権現山からは鞍部のズコノパンまでは急下降であるが、岩が多く歩きにくい道を一気に下降する。リュックの中には食料を色々と忍ばせてはいたものの、ここまで飛ばしてきたこともあり、全く食物を口に運んでいないのだった。おにぎりとお茶で一息つく。
ズコノパンから霊仙の山頂へはわずかな登りではあるが、疲労が溜まってきたせいか急に足が重く感じられる。霊仙の山頂には四人の若者が休憩しておられた。山頂からは比良比叡トレイルとして最近整備された道をたどり、北斜面の植林の中を下降する。人があまり歩いていないせいか道はかなり滑りやすく、歩きにくい。
道が山腹をトラバースするようになると、途端に歩きやすくなる。地理院の地図での破線に相当するからだろうか。古くからの道に思われる。高度が下がるにつれ、ますます蒸し暑く感じられるようになる。舗装林道に合流すると左右のどちらに行ったらいいのかよくわからないが、ヤマレコの足跡マップでは右に行くルートにもしっかりと軌跡がしっかりついているように思われたので、このルートを選ぶのだが、それは大きな間違いであった。
林道はすぐにも終わり、細い山道となるが、隣の谷に入ったところで地理院の地図ではその左岸に実線で記されている林道を辿るはずなのだが、平坦な草むらがあるばかりで、林道が見当たらない。廃林道は完全に草に覆われているのだった。草むらの中の微かな足跡を辿るのだが、そのうち藪がますます濃厚になってくる。わずか600mほどの距離なのだが、今回の山行の中で最大の核心部というか、間違いなく最も困難な区間であった。
林道の入口は柵で封鎖されていたが、柵の外側をかろうじて通過することが出来る。足元に違和感を感じるので見下ろすと、靴下には夥しい数のひっつき虫がまとわりついているのだった。急に疲労を感じ、ここから先に進む気力が無くなってしまったので、家内に連絡し環来神社にまで迎えにきてくれることをお願いする。
環来神社は「もどろぎ」と読むが、知らなければ読めない難読地名であろう。桓武天皇の皇妃である藤原旅子が祭神であり、環来神社という名前は彼女の生前の「出生の地に葬るべし」の遺言によりこの地に葬られたという故郷によるらしい。神社の境内は小さいながらも趣のあるところで、その前に立つ銀杏が印象的である。社殿の前には樹齢数百年の大杉があったが、老齢のため少し前に伐採されてしまったのが惜しいところだ。
神社の周囲には自動販売機もなかったが、道路を渡ったところにある運送会社の前に自動販売機があり、そこでグレープジュースを手に入れることが出来る。靴下についた夥しい数のひっつき虫をとり、ジュースを飲んで寛いでいるうちに間も無く家内が京都から到着する。
昨年に権現山から武奈ヶ岳に縦走した際には筋肉痛を感じることもなかったが、今回は翌日になってひどい筋肉痛に見舞われることになる。登山の機会が減ったことによる体力の低下を通説に感じるのであった。
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