奥利根横断(裏越後沢滑降) ネコブ山〜越後沢山〜藤原山〜荒沢岳
群馬県
新潟県
中澤慧
- GPS
- 76:46
- 距離
- 48.4km
- 登り
- 4,897m
- 下り
- 5,047m
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3/20 合計11時間40分
三国川ダム(1:50)-ネコブ山(9:30)-Co920m(10:00)-Co1635m(13:30)
3/21 合計11時間50分
C1(4:35)-本谷山(5:45)-越後沢山(7:15)-利根川(8:45)-藤原山(13:20)-西沢(13:50)-Co1685m(16:30)
3/22 合計11時間10分
C2(4:50)-源蔵山(6:00)-灰吹山(9:30)-荒沢岳(12:00)-蛇子沢二俣(12:30)-石抱橋(14:50)-銀の道取り付き(16:00)
3/23 合計7時間
C3(23:45)-明神峠(2:00)-駒の湯(5:10)-大湯(6:45)
| 天候 | 3/20(木) 雪→晴れ 3/21(金) 晴れ 3/22(土) 晴れ 強風 3/23(日) 曇り 日の出(5:48) / 日の入り(17:55) |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2025年03月の天気図 |
| アクセス | |
| その他周辺情報 | ■裏越後沢 1985/5/4 浦和浪漫山岳会(館岡恵、小原比呂志) 裏越後沢右俣下降〜越後沢尾根右稜 高桑信一・浦和浪漫山岳会(1989)『くにざかいの山と谷』 『岳人』No.491(1988年5月号) 「"くにざかい"の山と谷�� 奥利根を縦横に歩く」 関連記録 ■2021/10/9-10 奥只見 中ノ岐川 沖ノ巻倉沢〜藤原山〜下り上り沢 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3692448.html ■2023/3/29-4/2 越後逍遥 中ノ岳〜荒沢岳〜藤原山〜丹後山 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5333592.html ■2024/2/17-18 ネコブ山 上銅倉沢 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6480282.html ■2023/3/3-8 奥利根横断 巻機山〜平ヶ岳〜会津駒ヶ岳 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5250530.html ■2024/5/2-4 本谷山〜中ノ岳 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6825439.html |
写真
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越後沢山から裏越後沢中俣を滑った。
装備
| 個人装備 |
ブーツ:DYNAFIT TLT SPEEDFIT
スキー:BLIZZARD SPUR 169cm 146-125-130mm
ビンディング:ATK HAUTE ROUTE 8
6.5mm 25mロープ(未使用)
ハーネス
スリング
下降器
|
|---|
感想
奥利根に残された、記録のない裏越後沢中俣を滑りたい。越後沢山はこの時期アプローチが遠い。裏越後沢を滑るだけなら、三国川林道を(我慢して)歩き、丹後山をベースにして滑るのが楽だと思うが、奥利根に失礼のないラインにしたかった。そこで裏越後沢を絡めた奥利根横断を行程の中核に据えて計画を組み立てた。問題は1ヶ月前に産まれた娘と妻のことだった。山は逃げる。多雪の今年、この好天周期、直前の適度な降雪、と条件が良すぎる。この機会を逃したら次は無いかもしれない。無理を言って妻に送り出してもらった。
3/20
三国川ダムに到着すると、昨日の雪がかなり積もっていた。2本の板を持ってきたが、太板を選択。湖岸をラッセルしていると、すぐにY0M0YAMAさんに追いつかれる。聞けば、本谷山までは同じ行程らしい。互いに単独だが、ビーコンを持参していたのでチェックを行う。下津川の積雪量はとんでもなく多い。尾根取り付き手前の沢が埋まっているのを初めて見た。Y0M0YAMAさんは春用の板なのにハイペースでラッセルしていく。泊まり装備とは思えない速さだ。交代しながら進むが、稜線に出るとラッセルがなくなり、千切られた。山頂で雪質チェック。CTM 18(RP)down40。スキーカットを入れても破断しなかったが、滑り出す前にクラックを越えた衝撃で少し割れ、雪崩れた。破断はやはり40cm下だが、横への伝播はしない。ストレスをかけないよう上を抜けると、素晴らしいパウダーが待っていた。昨年あんなに苦労したのは一体何だったのか。あっという間に取り付きまで。至福の滑走だった。
ここから登り返し。Y0M0YAMAさんはシールトラブルで苦戦している。前半のラッセルをかなり頑張ってもらったので、ここは少しでも伸ばす。私なりに頑張ったつもりだけれど、異常な暑さにやられた。追いつかれてからは交代でラッセルし、トレースを伸ばし、中尾ツルネに合流。振り返ると、いつの間にか上銅倉沢にシュプールが増えていた。窪地にテントを張って水を作っていると、B会の3人パーティーがやってきた。若いチームで眩しかった。夕食を流し込んで就寝。
3/21
空と山が染まる。下津川山と小沢岳がひときわ美しい。Y0M0YAMAさんはずっとスキーとクトーで歩いている。信じられない。私は無理にスキーで通そうとすると、結果的に歩くより遅くなったりするので早々にアイゼンに切り替えた。彼は歩き方やルート取りが上手く、速い。本谷山で別れ、歩き出すと間もなく日の出。強風に耐えながら進み、振り返ると越後沢左俣にシュプールが入っていた。稜線の風は強く、越後沢山までがとても長く感じた。ようやく越後沢山に到着。昨年、観察したときは山頂から滑れそうに見えたが、雪庇が張り出し、ルンゼも狭くちょっと厳しい。風も強いので、少し東側に降りて雪質チェックを行う。昨日よりも結合が良く、全く崩れない。逆に不安になり、念のため2回試すが、雪は安定していた。沢は本谷まで埋まっており、登り返す尾根を再考して、腹をくくる。行こう。
スキーカットを入れるもスラフも出ない。慎重にターンしていく。スキーヤーズレフトに喉があるのを2年前に藤原山から確認していたが、よく見えない。スキーヤーズライトへ滑るとクラックが現れる。左のルンゼの滝は埋まっていそうなので、そこを滑る。雪が良く問題なくクリア。下の滝も完全に埋まっていた。核心を越え、楽しく滑っていると急にハードモナカになり、足を取られ盛大に転ぶ。気を取り直し、日陰の雪を拾いながら滑り二俣へ。ここからはモナカ雪が続き、平坦な谷底を直滑降するだけなのに転ぶ。荷物が重すぎて沈みすぎなのか。左俣を過ぎると凹凸が増えたのでシールに切り替え、利根川本谷まで歩く。
利根川本谷は完全に埋まっていた。利根川を少し遡行してから定吉沢に入る。すこし詰めてから東俣沢・定吉沢の中間尾根に取り付く。素晴らしいブナ林に合流して、汗だくになりながら雪を口に放り込んで歩いていく。振り返ると越後沢山に自分のシュプールが見える。何度も振り返りながら稜線に出る。単独のスノーシューのトレースや東北大の3人PTもいて、上越国境稜線の縦走も賑わっているようだ。藤原山はマイナーピークだと認識しているが、ここに来るのは3度目になる。シールオフして沖ノ巻倉沢へ。この山行で一番の雪質で素晴らしかった。4年前に遡行したときに前歯を折った滝や、最狭ゴルジュが埋まっていて笑ってしまう。あっという間に西沢に着いてしまった。2年前は渡るのに苦労した西沢も埋まっており、何の苦労もなく尾根に取り付く。標高をあげていくと西沢源頭が美しい。兎岳もそのうちまた行こう。稜線は風が強い。適当な窪地に泊まることにして、入念にブロックを積んだ。
3/22
目覚めても風が強い。雪面が硬いので、板を脱ぐとバリズボのラッセル。その後もクトーを落としたり、トランジションを繰り返したり、遅々として進まなかった。何より荒沢岳まではずっと風が強く、ウィペットや一眼レフカメラも飛ばされそうになる。泣きそうになりながらラッセルを続ける。2年前は源蔵山から3時間強で山頂に着いたけれど、出発から7時間もかかって、ようやく荒沢岳に到着。山頂からの眺めはとても好きで、丸山岳の山頂と同じく、奥深さがある。しかし、あまりの爆風で、景色を楽しむ余裕はない。山頂からの滑走は諦める。というか、自分が飛ばされないようにするのに必死で、もはやそれどころではない。ボケた山頂写真を撮ったら、滞在時間5秒でそのまま東へ逃げる。全てが飛ばされそうな風の中、滑走準備。
本山行のフィナーレ・蛇子沢左俣へ。雪質は素晴らしいものの、風が強すぎて煽られるし、荷物が重すぎて100%楽しめない。落ち着いてターンを刻んでいく。少し落とすとモナカ、その下はデブリとストップスノー。9時前には滑り出せると思っていたが、12時を回っているせいで、下部の雪が終わっていた。ゴルジュでは、両岸から湿雪雪崩が目の前にどんどん落ちてきて、生きた心地がしない。なんとか二俣まで気合いで滑り切った。蛇子沢は素晴らしいラインだったが、全力で楽しめなかったのが悔しい。お気に入りルートになったので再訪したい。
二俣からは蛇子沢左岸尾根を滑り、銀山平へ。シルバーライン開通前ではあるが、静寂ではなく、懸命に除雪作業をしている。かつて見たことがないほどの積雪量だ。今日中に山越えして降りるつもりだったが、シールがもはや機能しなく、もう半泣き。雪も緩みすぎて、ザラメラッセルなので、雪がしまってから出発することにする。
3/23
この日は朝が雨予報。降り出す前に大湯までの林道を歩きたいので深夜発。銀の道を使って最短で駒の湯に降りることにする。昨日の目論見が外れ、気温が高すぎて雪がぜんぜん締まっていない。夜中なのにザラメラッセル。それでも日差しがないので日中よりは疲れずに歩けた。明神峠に着いたらシールオフして降りるだけ。と、思っていたけれど、ところどころ雪が落ちていたり、細尾根や小ピークがあり時間がかかる。これなら小倉山まで頑張って小倉尾根を降りたほうが結果的に速かった。とはいえ、もう仕方ない。雪割れや藪があるため、途中から横着して沢に入ると、暗い中の湿雪雪崩やクラックで泣きそう。ツボ足の腿ラッセルや藪漕ぎを交えてトラバースしながら必死に林道まで。間違いなく今回の山行の核心で、一番緊張した場面だった。もう張り付かないシールをストラップとテーピングでグルグル巻きにして歩き出す。テーピングも使い切った。あとは林道を歩いてデブリをいくつか越えて、大湯へ戻った。
裏越後沢の初滑降を絡めて、組み立てた山行だったが、それ以上の価値があった。いきなりこのルート取りにはならない。過去があったからこそできた(関連記録に記載)。すべての山行には過去が詰まっていると思っているが、今回はその色がとても濃かった。ネコブ山、越後沢山、藤原山、荒沢岳。どの山からも、もう色んなことを思い出した。越後、奥利根、奥只見にある過去の断片を集めて、オリジナルラインで山と溪を繋げた会心の山行だった。送り出してくれた妻と娘に感謝しかない。
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なかなかレアな機会だったのではないでしょうか
銀山平へ抜けるルート取りはなかなか出来ないのでこれからもローカル山スキーヤーとして開拓してください、参考にさせてもらいます笑
越後に来たらまた遊びましょう。
色んなものを振り切っても
掴みたいものを掴む！
羨ましい〜〜〜💕
それを許してくれる全てのものに感謝<m(__)m>
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