室堂~五色ヶ原(日本オートルート無念の撤退)


- GPS
- 13:55
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 1,703m
- 下り
- 1,681m
コースタイム
天候 | 1日目:快晴 2日目:晴れ 全般的に、西風が強かった。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
五色ヶ原山荘ではドコモの電波は入らなかった。五色ヶ原の上部(立山寄り)であれば電波バリバリだった。 |
その他周辺情報 | ひらゆの森(700円)。貴重品ロッカーは有料。クレジットカード、交通系ICカードなど利用可能。 |
写真
感想
tartletさんに声をかけていただき日本オートルートにチャレンジ。
天気予報の悪化を受けて無念の五色ヶ原撤退となったが、春スキーの要素を色々詰め込みつつの冒険感は味わえたし色々得られるものは多かった。
【詳細】
1日目4/27
新穂高での車中泊は、先週の小谷よりだいぶ寒かったがいつもの沢用シュラフで快眠。
扇沢に5:30頃到着し、予定通り扇沢を始発で出発。
臨時便の連絡がよく9:15くらいに室堂に到着できた。
一ノ越までは、先日の燧ヶ岳山行で学んだ、200m/hアップくらいのゆっくりペースで。
一ノ越からAlt2400mくらいまで滑走、よく走る雪でなかなかよかった。
鬼岳を完全に巻きたかったので、tartletさん提案の鬼岳の東尾根の南側を登るルートを選択。(我々は3案のうちのBルートと呼んでいた)
それなりに斜度はあるもののジグを切れば問題ない、といいたいが雪が緩んでいてズレるため板で叩くように踏み込む必要がありちょっと面倒。
ほぼ登り切るくらいの位置でツアーっぽい団体の滑走とすれ違い、リーダーっぽい先頭の人に「滑走の人が気を使うからマナーとしてこの斜面は登らない方が良い」と言われた。
マナーなのか…知らなかった。
獅子岳の間のコルまでは滑走、獅子岳は急登なのでシートラアイゼンで。
さっそくのシートラでザックはえげつない重量となりうめき声が出る…
かなりの斜度なのでずっとフロントポイントはしんどいところだが、ツボ足のトレースがあっためだいぶ助けられた。
獅子岳からの下降は、最初滑走したがその後再度シートラで夏路を下る。
重量もさることながら風が強くてデカザックと板が風を受け振られる!
風下側にポールをついていた方が突風に対応できて安心だった。
その後雪が夏道脇に来たので滑走からシールでハイクアップ。
うまいことハイマツの隙間を登り、斜度の低い箇所をピンポイントで抜けて五色ヶ原へ。
もう少しで山荘という位置で電波が通じることが判明、天気予報を見ると3日目に当たる4/29の天気が悪くなっており、停滞したとしてもその先の5/2も悪い予報。
(2日停滞だとガスが足りない可能性もあり)
ひとまず五色ヶ原泊は変わらないが撤退もありうるかという流れに。
山荘の下あたりをテン場とするがここでは電波入らず。
やや風があったためブロックを積むことにし一段下げるだけでも3方に2~3段積めた。
ブロック作りから整地、設営で1時間弱だったので上出来か。
テントが飛ばされないよう注意しつつ早々にテントイン。
水作り開始し最初は固い雪を砕くのに難儀するも、最終的にコッヘルやスプーンを使うよりもテムレスの手で固い雪をこぶし小に握り砕きニトリルの手でジェットボイルに入れる形に落ち着いた。
ただ水作り自体に時間はかなりかかり、その後に各自ハヤシメシを平らげたら19時過ぎだったので早々に就寝。
曇りだった影響か暖かく、ダウンを着たままだと途中で暑くて少し目が覚めた。
2日目4/28
朝も風は強め。
朝食、お湯補充を済ませるとガスはけっこう減っていて、事前検証通り5日で250g×3ほど用意したのは適切な気がする。
撤収には2時間かかり少しのんびりしすぎたか?
この時点では確定していなかったが撤退濃厚だったのでモチベーションの面はあったかも。
出発し昨日電波の入ったあたりまで戻り天気予報をチェック、やはり撤退が確定。
往路を戻るのはルーファイがほぼ不要なのでだいぶ楽。
とは言え獅子岳は復路もシートラアイゼン急登とシートラ夏道でずっしり。
獅子岳からの滑走は獅子岳東尾根の1本北の谷を行くことに。(我々はCルートと呼称)
夏道から板を履いての滑走は、まず板を履くのに難儀、それから40°程の急斜面の横滑りも恐る恐る。
この斜度だと後ろ方向への横滑りがけっこう怖いというのは初経験だった。
急斜面を越えてからの滑走はよく滑り距離も長く、景色が広大で気持ち良かった!
一ノ越への登りは400mアップなので2時間を想定してゆっくり開始し、1時間で250mアップしたところで休憩していたら風が冷たくて寒くなった。
体を温めようと300m/hくらいの速度で登ってみたが登るにつれ風も強くなったせいか温まらず、結局一ノ越までその速度で登ってしまった。
ただ、やはりこの荷物だとこのペースはもって半日って感じだな
一ノ越山荘の風裏でコーヒーブレイクを挟み室堂へ滑走。
室堂は観光客だらけで、我々の装備の浮き具合たるや。
通常の観光客の1.5人分はスペースをとるのも肩身狭いが仕方ない。
面倒な乗り継ぎをこなし扇沢へ、新穂高まで車を回収しに戻った。
無念の敗退だったが普段と違う冒険感を味わえ、色々改善点も見つかった。
登りの速度はやはり200m/hで計画しないと長期戦はきつそうで、換装やルート判断、補給等の速度アップで行程短縮を図るしかない気がする。
天候悪化はどうしようもないと分かりつつ、今年の雪の多さはチャンスだっただろうと思うと悔しい。
また来年か…
【メモ】
・一応1日約3000kcal用意していたが1日目は約2800kcal摂取。意外と食べてた。2日間だけなので参考にならないが体重は変わらず。空腹度合いからはちょうど良いか?
・荷物重量はトータル20.4kgもあった…行動食の軽量化が必須。いつもの感じで餡子系を入れていたら食料のみで4kg…フリーズドライ系の事前検討の時間を取るべきだった
・乾燥物やアルファ米等を積極導入。餡子系のフリーズドライはあるのか探索。フリーズドライ餅もありか
・ザックの背面長問題。やはり新たに購入するか
・ヘッドライト新調?誤作動防止付き
・スマホの充電ポートを濡らした場合もポケット入れて寝たら翌朝は充電できた。それでダメな場合はうまいこと包んでカップメシとともに過ごさせるか?
・シートラする際はその後の動き(ハイクアップか滑走か)やシートラ解除の場所(広いか安定しているか)を考慮してシール脱着してからシートラする。どちらでもいい時はシールつけたままシートラしたらシールを干せるw
今年の目標山行、日本オートルート。2022年に北上ルートで薬師峠で敗退してから、ずっと次回のチャンスを狙っていたが、天候の巡りあわせが悪く、無念の1泊のみでの敗退。とはいえ、準備段階も含め、得られたところが大きい山行だった。いつまで体力がもつか分からないけど、次回のチャンスまで研鑽を続けたい。
以下、徒然なるままにメモ。
■経緯、準備段階
・オートルートは2022年に一度チャレンジしていたが、その際には強風敗退。夏道の下見を含めて準備は進めていたが、パートナーが見つかることもなく、実行できずにいた。今回のきっかけは別の人から声をかけていただいたことだったが、結局その人とは日程合わず。それでもチャレンジしてみようと、最近スキーの腕がすっかり安定したutagを誘って実現した。
・utagは春スキー経験が少ないので、3月下旬から集中して山行を実施。本当は槍ヶ岳飛騨沢あたりを練習にしたかったが、天候があわず。なかなか土日が天候が安定しない(しかも何故かザラメ化が進まない)なか、無理やりひねり出した燧ケ岳の練習山行が決行できたのは非常に大きかった。
・前回は北上予定だったが、北上だと最難関部(薬師〜越中ヶ岳を想定)が後半にきて体力的に厳しいこと、薬師峠以降はルート経験があり、余裕をもつことができること、岩場が続く前半の天気予報の確度が高まってから出発できることから、南下を選択した。
・行程表は夏山のコースタイム、高低差等を考慮し、夏山の1.5倍程度は余裕をもって設定。スピード的に4日間で抜けるのは難しそうなので、最初から5日を設定。エスケープは北ノ俣岳から神岡新道経由で下山、公共交通機関で新穂高までたどり着く計画を立てる。
■初日
・1台は新穂高にデポ、乗り合わせて扇沢へ。駐車場は危なく無料のところに停められないところだった。チケットは余裕で始発を入手。日曜日発なので始発は7:30(休前日なら6:30)
・うまく乗り継げて予定より少し早く室堂到着。計画書を提出するときに先行者がいないことを知る。予定はしても、天気予報からやめた人がいたらしい。
・一ノ越までは勝手知ったる道。そこから雄山谷は初めてだが、意外に人が多くて驚いた。荷物が重くて楽しむどころではないが、なかなかのナイスザラメだった。
・鬼岳を巻くためにその次の谷を登ったが、実際は鬼岳手前であがっても問題なく滑り込めたらしい。そのほうが効率的なので、次回はそうしよう。
・獅子岳手前からは先行者トレースがあり、これに大きく助けられた。特に獅子岳の登りは、トレースがなかったら苦労したと思う。このあたりの西面は、本当に風が強かった。
・獅子岳下りは完全なる夏道。途中で雪がつながったので、あえて峠は通らずにハイマツ帯の下を抜けて滑りこみ、シールで五色ヶ原へ。このあたりのルート取りは上手くいったと思う。
・五色ヶ原でなんとなく電波状況を確認すると、たまたま超良好。小屋はまったくの圏外だったので、ここで確認しておいて良かった。ここで予報が変わり、火曜日の日中が悪天になることを知る。(当日朝の予報では、月曜午後から火曜の早朝までの降雪の予報だったが、悪化した)
・宿泊は小屋の付近で。最初は壁は要らないのではといっていたが、夜間にとんでもなく風が強くなったので、作っておいて正解だった。水をつくって、カレーメシ食べたら、もういい時間になっていたので就寝。風が強くて、しかもうつらうつらしているときに「ゲー」という獣の声?(多分雷鳥?)で完全に覚醒してしまい、数時間眠れなかったと思う。。
■撤退判断について
・眠れない時間を利用して、今後の行動を考えた。残念ながらテントを張った場所は圏外で最新の情報が分からないのだが、火曜日に停滞したとするとスゴ乗越以降での停滞になる。仮に火曜日がかなりの大雪になってしまったとすると、進むにしても戻るにしても、想定以上に時間がかかる可能性がある。その後を2日間で抜けれないかと考えたが、相当厳しそう。それに、元々2日目のビバーク地として予定していた間山のコルあたりはおそらく圏外。行くか戻るかの判断が難しい。正直、この先進む判断は、天気予報が改善しない限りは無理だと思っていた。
・翌日、テントを撤収して一旦確実に圏内になる場所まで戻り、最新の天気予報を確認。月曜日午後から崩れ始め、火曜日は丸一日雪。そのあと2日間は晴れが持つが、そのあとにまた天気が崩れるとの予報。この時点でこれ以上は進まず、撤退する判断とした。
■二日目
・夜間よりは風は弱まっていたが、朝も風が強く、結局2時間近く撤収時間を要した。
・前述のとおり電波が入る場所まで戻り、撤退を決定。自分たちのトレースを使って戻ることにした。
・前日と違うルートを取った部分については、写真のサムネイル参照。特に緊張したのは獅子岳からの下り。確実に40度はある一枚板のバーンでキックターンできず、必死に横滑り。そのあとは、間違いなく今回の山行一番のご褒美ザラメだった。
・雄山谷の最下部はデブリまくり。弱点をねらって、早めに雄山谷に戻って登り開始。下部は猛暑、上部は強風。風で寒いとutagは猛スピードで登っていってしまった。。
・一ノ越でコーヒータイム後、駅まで一気に下山。大観峰に着くころには小雪が舞っていたので、一番いいタイミングで降りれたんだろう。
・大量の団体様を横目に個人客は常に最優先で列に入れ、ストレスなく扇沢まで到着。渋滞もあって、新穂高についたのは18時。そのころには雨もしっかりと降り、気温は8度まで下がっていた。時間も遅くなったので、風呂にも入らずに家に直行した。
■備忘録
・衣類。行動中はLWアンダー、薄手の長袖シャツ、ハードシェル。下はMWアンダーとハードシェル。歩き始めだけ薄手のフリースを利用した。夜は上下ダウンと象足。シュラフは#3。ちょっと行動中の上がナメた格好だったかも。アンダーはMWを導入したほうが良い気がする。結果的に寒さは感じることはなかった。(就寝中はハクキンカイロ利用)
・室堂ではスキーケースは売店では販売していない。チケット窓口で購入可能(現金のみ)
・雪から水をつくるとき、シャクシャク崩すのと同時にクルクル混ぜることが重要。上下で温度差があるので、混ぜないと下はお湯、上に氷が残る状態になって、非常に効率が悪い(一気に沸騰させるなら別だろうけど)。あと、厚手のビニール袋は雪入れとして必須装備だった(utagが持ってて助かった)。
・水作りの雪、この時期は固いので、ある程度ショベルで崩してから袋に入れるべき。あとで面倒だった。
・使ったガス、75g。持参分の水残量が2.5Lほど?
・この時期の前泊のポリゴネスト利用は自殺行為。暑ければファスナー開ければ良いのだから、#1にしておくべきだった。風邪ひきかけた。。
・アイラップで持参する食料は、他の食料とは別にするのが肝要(すぐに破ける)。予備のアイラップも必要。食パンの袋に詰めるとちょうどよかった。ただ、アイラップでカレーメシ食べると、超絶食べにくい。焚き火缶小の蓋ならもうちょい食べやすい?と思って重量確かめたら、メスティンのほうが50gくらい軽いので、やっぱりダメだ。
・大先輩からのアドバイスをメモ。悪天時にビバークするならば、稜線よりも、数百メートル下ってしまったほうが良い。風も確実に弱まるし、沢割れがあれば水が取れる。ビバーク時に水が取れるのは安心材料になる。
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オートルートをするなら4日間は晴れて欲しいですよね。
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