残雪の富士山(須走ルート)

- GPS
- --:--
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,823m
- 下り
- 1,822m
コースタイム
- 山行
- 11:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:10
天候 | ・ 概況…六合目から上は晴れ、それより下は雲海でガス多し ・ 気温…登頂時点の正午で山頂マイナス5.5℃(アメダス)。 ・ 風…七合目付近から風強く、山頂では風に押し戻されるくらいの暴風。少なくとも平均25m/s以上あったのではないかと思う。風向は全体に西寄りだが、登っている最中は様々な方向から前触れもなく吹き付けるので注意。 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ 「閉山中(夏山シーズン以外)」に富士山に登る際に遵守すべき事項については、「富士登山における安全確保のためのガイドライン」に定められていますので、登る前に以下のページでご一読を(主な内容:万全な準備をしない登山者の入山禁止、登山計画書の提出、携帯トイレの持参 など)。 【富士登山オフィシャルサイト】https://fujisan-climb.jp/risk/guidelines.html <ルート状況> ・ 今年は残雪多めのようで、登山道は六合目(地形図でいうと本五合目、約2430m)の長田山荘付近で残雪つながり、トレランシューズからスキーブーツに履き替えてアイゼン装着した。下山では概ね砂走り沿いに滑ったが、砂払五合(約2230m)の少し手前までスキーで滑ることができた。 ・ 本七合目付近(約3150m)から上は日中でも雪面が固く、アイゼン・ピッケルが必要。山頂直前に部分的に氷化した急斜面をトラバース気味に登下降する箇所があり注意。今回は風が強く気温も低かったため、少なくとも八合目から上は厳冬期並みのウェアリングでないと辛かった。 ・ スキーで誰もが楽しく滑降できるのは本七合あたりから下で、ちょっと重いけど素晴らしいザラメ。それより上はガリガリなうえ、数日前に降った新雪がモナカっぽくなっていて滑りにくい。まあ、自分はだいぶヌルいスキーヤーなので参考程度に。篤志家の方々はこんなこと関係なく山頂から滑ってしまわれると思います。 ・ 須走ルートの登山者はちらほらいる程度で、静かな登山だった。 ※ 上記はあくまで5/5時点の状況です。5月中旬から高温傾向になるようなので、今後状況は大きく変わると思います。 |
写真
前回同じ時期に来たときは御鉢巡りもしたしお釜滑走もできたけど、今回は風が強すぎるし雪も固くて、とてもそこまでする気になれない。前回はたまたま良い日に当たっただけだったのだと痛感。
感想
ゴールデンウイークに静岡に行く用事があり、せっかくなので富士山に登ってきた。
関西に住んでいると、こういうきっかけがない限り、ちょっくら富士山行ってくるか、という気分にはなりにくい。もちろん距離の問題もあるけれど、入山料やら登山鉄道やらコンビニ目隠し問題やら、はたまたスマホを取りに戻って2回救助される人やら、ワイドショー向きの賑やかな話題には事欠かないこの山のことであってみれば、なおさら何となく敬遠してしまう。
しかし、こんな人間界のゴタゴタとは全くかかわりなく、富士山それ自体は本当に素晴らしい山です。私なんかが改めて言うまでもないことかもしれないけど。
残雪期の富士山はかなり前に一度登ったことがあり、今回で2回目。前回は須走ルートを登った(滑った)ので、今回は別のルートにしたいと思っていたのだが、富士宮ルートは富士山スカイラインがこの時期は夜間通行止め(17時〜翌8時)になるため忙しない登山になってしまいそうだし、吉田ルートは北面のため5月初旬ではまだ雪がカチカチの可能性が高い。結局、前回と同じく須走ルートから登ることにした。せめて下山くらいは前回と違ったルートで(例えば成就沢とか、不浄流しとか)滑って戻りたいと思ったが、結局この希望が叶わなかったことは記録のとおり。
前回登ったときは、今回と同様5月初旬だったが、晴天で気温が高くしかも無風というベストな状況で、シャツ一枚で汗だくになりながら9合目くらいまでシール登高し、御鉢巡りもお釜滑降もこなして、山頂からスキーで降りてこられたので、楽しい思い出しかなかった。しかし、今回の山行では、晴天にも関わらず八合目から上は終日雪が固いままだったし、山頂はひどい爆風で立っているのもやっとだった。富士山のちょっぴり厳しい面を垣間見た気がする(というか、前回がたまたま条件が良すぎただけで、これが本来のこの時期の富士山なのかもしれない)。
厳冬期などごく一部の限られた人の目にしか触れない時期を除けば、富士山は既に消費し尽くされた山なのかもしれない(文化的にも、登山の対象としても)。しかし、それにもかかわらず、富士山に登ることは、それだけで一つの特別な体験になりうる。若い火山に特有の赤黒くガレた山肌、雲の展覧会のようにめまぐるしく変化する天候、空に向かって反り返るような錯覚を覚える広大な急斜面、そして山頂に吹き荒れる体が浮き上がるような(決して比喩ではなく、実際に本当に浮き上がる)爆風。特に個人的に印象深かったのは、この山の高さというよりは、その山域の広さ、裾野の長さだ。五合目につながる道路(今回の場合はふじあざみライン)を車で延々と走っていると、ナラやマツの雑木林がブナの森に、そしてシラビソの森になり、初夏の若葉の森から春浅い芽吹き前の森へと逆戻りしていくように、風景が大きく移り変わっていく。その道のりの長さと標高差に、これから本当に大きな山の中に入りつつあるんだな、というわくわくする気分になる。今度は五合目から登るなんてもったいないことはせずに、精進口でも村山古道でも、どんなルートでもいいから、一合目から丁寧に登ってみたい。冒頭にも書いたとおり、関西に住んでいると、なかなか難しいことではあるけれど…。
※ 余談ですが、今回の登山中、九合目付近を登高中に、アウターのファスナーの取っ手がほぼファスナー全開状態のままへし折れるというあまり想像したくない事態が発生。氷点下の強風の中、下手したら命に係わる状況でしたが、何とかファスナーを力ずくで首のあたりまで引き上げ、事なきを得ました(ほっとしたのも束の間、今度はそこから動かせなくなったので、下山時はめちゃくちゃ暑かったけど)。モ〇ベル様、冬用ジャケットのファスナーはもっと丈夫に作ってください、お願いします!
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