甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根ピストン


- GPS
- 11:55
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 2,440m
- 下り
- 2,449m
コースタイム
- 山行
- 10:13
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 11:54
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
さすが甲斐駒ヶ岳の表参道だけある。登山道、はしごやクサリ、道標に至るまで良く整備されている。1合目まで登るのに1時間以上かかってびっくり。合目の目安は距離・標高差ではなく「キツさ」という主観的・感覚的に等分したとのこと。 |
その他周辺情報 | 下山後、尾白の湯に入る。露天風呂の高濃度の湯は長時間山行で膝や内股の皮膚が擦れて赤くなった場所には刺激が強過ぎた。ピリピリと痛みを感じる位。しかし太ももやふくらはぎの筋肉にはかなり効いているようだった。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
携帯トイレ
サーモス
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感想
登山を始めた頃(40年以上前)からの憧れのルート、黒戸尾根からの甲斐駒ヶ岳を実現すべく、日中の時間が一番長い梅雨入り前の6月に計画を立て、後は天候次第と好天を待つ。6月5日から3日間、好天が予想された為この計画を実行する事にした。前日尾白川渓谷の駐車場まで移動し、ザックの中身・食糧と水を準備しておき、駒ヶ岳神社に参拝して、早々と就寝して山行に備える。
朝1時50分に起床、前日スーパーで購入しておいたおにぎりセットとバナナを食べ、コーヒーを飲んで水分も補給、トイレも済ませて2時40分に駐車場を出発する。周囲はまだ真っ暗、フラッシュライトで前方を照らしながらゆっくり歩き始める。前日に駒ヶ岳神社参拝を済ませているが、今日も無事の山行を願いお参りして、吊橋を渡る。真っ暗で沢の状況は全く分からないが大音量の沢音を聴きながら足元だけを見て渡りきり、いよいよ黒戸尾根の登りに入る。登り始めから葛折りの急登、一気に高度を上げているのを実感出来る。駒ヶ岳神社の明かりが向きを変えるたびに徐々に遠くなり、前方を照らすフラッシュライトの光でルートを確認しながら無心に登りつづける。一合目の石祠と標識までがかなり遠い。駐車場を出発して1時間10分経って5時53分、やっと一合目通過。相変わらず急登は続き、笹の平分岐は4時18分に通過する。笹の平分岐からは、やや傾斜が緩やかになった感じで、4時38分に二合目の標識と石碑を見つける。この辺りに空は明るくなり、フラッシュライトはお尻のポケットにしまう。一旦緩やかになった傾斜は、ここからまた急になりぐんぐんと高度を上げる。5時17分、東の空がオレンジ色に染まり、地蔵岳の尾根の向こうに富士山も見え始め、登山道脇に咲いていたヤマツツジと富士を入れ朝焼けの写真を撮る。撮影したポイントから5分登ると三合目標識を発見、標識には「口の摩利支天」と書かれ、反対側には摩利支天の石像が鎮座していた。1881mのピークを巻いて登り続けると、左手の視界が開け、ヤマツツジのピンク色の向こうに鳳凰三山と富士山が広がる。前方には左右切れ落ちたナイフエッジ状の岩場が見える、刃渡りが近づいている。まだ山頂までは標高差1000m以上はありそうだが、絶景を見せてもらい元気も復活する。
刃渡りは見た目よりは難しくなく、ガイドの鉄棒やクサリを掴んで足元を確認しながら進めば良い。5時30分、刃渡りを渡り切り、振り返ると八ヶ岳から蓼科山までが1つの巨大な戦艦のように視界に広がり、刃渡りの向こうには奥秩父の山並みがオレンジ色に染まっている。足元にも眼を楽しませるイワカガミの花が現れ、苦しい登りを慰めてくれる。15分ほど登ると、やっと次の四合目標識「刀利天」と祠や石碑が迎えてくれる。正面に見える黒戸山に向かって登り続け、黒戸山ピーク手前標高2200mでちょっと水平道を進み、そこから標高約100m下る。折角登ってきたのに、復路はここが難関になりそうな予感がした。下り切ると正面に屏風岩の巨岩と祠が目に飛び込んでくる。やっと五合目到着、時間はすでに6時23分。屏風岩の右手のハシゴに取りかかる。ここからはハシゴやクサリが頻繁に現れる、いわゆる核心部分。鉄ハシゴを上っていると、左右の岩壁に紫色の可憐な花があちこちに現れる。後で調べたらクモイコザクラだそうで、この周辺で見られる花のようだ。厳しい登りでは、こんな花を見つける事が何より楽しい。六合目の不動岩を6時49分に通過、一旦なだらかな道でホッとするのも束の間で、急登がまた現れる。ここを登り切ると七丈小屋の標識が現れ、前方に小屋らしき建物も見える。ここまでですでに4時間半以上登り続けているので、ちょっと休憩、菓子パンと大福で糖分主体のエナジー補給。次にトイレを探すが、七丈小屋近辺にはそれらしきものは無く、ちょっと前方に進むと七丈第2小屋の向かいに見つける。ここでトイレも済ませ、山頂に向け登り再開。登り始めてすぐの足元に白い可憐な花を見つける。ヒメイチゲのようだ。すぐに七合目に到着、ここから上を見上げると、結構な休憩斜面に残雪が付き、夏道を覆っている。登りはつぼ足でも問題なく登れたが、下りは慎重さが必要になりそう。8時過ぎに厳しい登りをこなして八合目(ご来迎場)に到着する。正面には山頂と赤石沢奥壁の第岩壁がその全貌を現す。ここからの景色は、その名の通りで日の出の頃には、さぞ荘厳な景色を楽しめるのだろう。8時過ぎの時刻でも、北アルプスから頸城山塊・八ヶ岳・奥秩父と北側の絶景が目を引く。形の良いキバナシャクナゲを見て山頂に向けさらに登る。一枚の風化した花崗岩の岩壁にクサリが取りついていて、岩には沢山の登山者によって出来た足つぼ。クサリ端には結婚記念と刻まれたプレートもあり歴史を感じる場所。このクサリ場を抜けると左手に北岳の鋭角な山頂部が初めて見える。正面の赤石沢奥壁も遮るものが無くなり豪快な岩壁を見せてくれる。程なく九合目「烏帽子岩」を通過、振り返ると巨岩の上に2本の剣が天に向かって上に刃先を向けている。TV等でよく見る景色を富士山背景で現実に眺めているのが嬉しい。一歩一歩白砂の道を登り続け、9時2分に駒ヶ岳神社本社に到着、社だけでなく石碑や石柱などのモニュマンが乱立する広場、大国主命や駒嶽大神の石碑を写真に収め、併せてこの本社からの四周の絶景を眺める。残雪輝く北岳・間ノ岳・塩見岳・悪沢岳などの南アルプスジャイアンツ、鳳凰三山とその上に鎮座する富士山、仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳山頂、八ヶ岳と奥秩父など360度の景色を楽しむ。本社からちょっと山頂方面に進み、北沢峠分岐を分け、最後のザレ場の登りをこなし、9時12分に山頂到着。若干薄曇りではあるが素晴らしい天気で風もない最高のコンディション。遮るものの無い360度の絶景を存分に堪能し、早めのランチ休憩を、この絶景の中で取る。いつもの様にカップうどんに餅を入れエナジーチャージと水分補給、さらにコーヒーと菓子パンで糖分も補給して山頂での楽しい時間を過ごす。前回の登頂時には気づかなかったが、「甲斐駒ヶ岳」と書かれた山頂標識の反対側を覗いてみたら「東駒ヶ岳」と書かれていた。信州(伊那)での呼び名を入れたのだろうか。改めて360度の景色を写真に収め、10時1分に山頂を後にして下山開始。登りで要注意の場所だった八合目上の残雪も無事降り、11時35分に七丈小屋まで戻り、ここでトイレと水の補給を兼ねて休憩を取る。なお水は200円。いよいよ日差しは真上から差し、厚さが厳しい下りになる。イワカガミやクモイコザクラに元気を貰い五合目を通過。刃渡りもそれほど緊張せず渡りきり、樹林帯に突入する。ここからは体力勝負、延々と続く下りは足元に気持ちを集中することで何とか乗り切る。笹の平の標識を見つけ、一合目の標識と石祠を見て、気合を入れ直し最後の下りに挑む。このあたりで七丈小屋で補給した水も飲み干し、残りは500ml、喉の渇きを覚えながら急降下を続ける。14時28分に吊橋を渡り橋の上から尾白川の流れを見てゴールを実感する。14時35分に登山口に到着。休憩込みで12時間を切ったのでまずまずのスピードだったかな。車に残っていた冷たい飲み物を一気に飲み干し一息付き、汗みどろになった体を冷たい水で拭いて後片付け。登山後の温泉は近くの「尾白の湯」に浸かり、長かった日帰り山行を反芻する。
長年の課題を終え、気分良く山行出来た、好天に感謝。
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