北岳(夜叉神からピストン)
- GPS
- 17:33
- 距離
- 30.4km
- 登り
- 4,299m
- 下り
- 4,281m
コースタイム
天候 | 曇後晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
これからの時期は状況が刻々と変わるでしょうから参考にならないとは思いますが。 ・この日、夜叉神に着いた時点(夜中の3:00頃)で車の温度計1℃でした。下山時着いた時(21:00頃)車の温度計で1℃でした。 ・夜叉神からあるき沢BSまでは雪は皆無。 ・あるき沢BSからしばらく登ると雪が出てくる。そこから上はずっと雪がある。 ・ルートはトレースがあり、赤テープなどがつけられているのでよくそれらを確認しながら登れば大丈夫だと思う。 ・登山時雪は固く締まっていた。ゴボる所は少なかった。(樹林帯の中ね) ・下山時、少しゆるくなっていて何度か股下までゴボる。(これも樹林帯の中ね) ・八本歯付近は慎重に。ほぼ雪に覆われている。(ロープとかあればあった方がいいような・・・。でも重いよね。せめてヘルメットはあったほうが。もちろん、いろんな技量の人がいますから何とも言えませんが。) ・稜線、風強し。 |
写真
感想
山梨での単身赴任が3月で終わるため、最後の駆け込み登山を決行。
先週(3月20日)は甲斐駒ケ岳に登った。天気も良く(暑いくらい)感動した、楽しかった。久しぶりのアイゼン、ピッケル使用の登山は非日常的で自分の心を刺激した。ルート上から見える山々の景色に感動もし、涙が出た。それに黒戸尾根は達成感もあった。本当に楽しかった。あと一回休みがある。さて、最後はどこへ?地図とのにらめっこが始まった。候補は鳳凰三山か北岳。市街地から見える地蔵岳のオベリスクを近くで見てみたい。行けば登頂できる可能性は高い、失敗する可能性の方が低いだろう。でも前衛の山々の上に見える真っ白い北岳に誘われているような気がした。真っ白!輝いてさえいる!!ルートを見るとロングコース。こりゃ、無理だ。・・・が、いつの間にか「無理か?」に変わってきた。アプローチは確かに長い。しかし、体力的に問題なければ早出すればいいし、帰りは暗くなる前にロードに戻ってこれれば何とかなりそうな・・。それに鳳凰三山では甲斐駒以上の達成感があるのか?終わった後に北岳に後ろ髪ひかれないか?自問自答の末、北岳に決定。
・夜叉神〜あるき沢
トンネル内は真っ暗。ライトをつけて進む。鷲ノ住山を越えて野呂川吊橋を渡る。
野呂川吊橋を渡ってから道路に上がる所が結構危険だと感じたのは私だけ?
・あるき沢〜池山御池小屋
途中から雪があり、凍っていた。12本アイゼンを履き進む。
・池山御池小屋〜ボーコン沢ノ頭
とにかく淡々と登るが風が強く寒い。森林限界を抜ける前にバラクラバを準備した方がいいと思う。
・ボーコン沢の頭〜八本歯の頭
景色最高。天気最高。夜叉神出発時は曇ってたし、あるき沢を登っている時も雪が
降ってきたりで心配だったが、雲海の上に富士山が顔を出し、北岳も良く見える。
しかし、八本歯に着いて驚いた。「エー、ここ降りるの?夏ならともかく今はロープ欲しいよ、懸垂だよコレ、支点もあるじゃん。ってかへルメットぐらい持ってくるべきだった。」
ここで一瞬、本気で下山しようかと思ったがせっかくここまで来たのだからやはり 登りたい。欲が出ました。アイゼンを蹴り込み蹴り込みステップを作り、しっかりピッケルを突き刺し、一歩一歩ゆっくりと通過。「とにかく確実に。何かあったら済まされない。かわいい子供たちに会えなくなるのは絶対に嫌だ・・・」。そして無事通過。でもまた帰りにここ通るんだよねぇ。気が重いなぁ。
・八本歯〜吊尾根分岐
そろそろ疲れてきた。息があがりなかなか進まない。進んでは止まり頂上を眺め、来た方向を振り返りの連続。でも景色は最高だ。昨夜は寝不足で4時間も寝てないので眠さもある。吊尾根分岐はまだか?風が止むと暖かいが吹くと寒いの繰り返し。
・吊尾根分岐〜頂上
吊尾根分岐に到着。景色最高。中央アルプスが良く見え、感動する。風が強く寒い。看板に頂上まで20分と書いてある。本当か?20分で着くような距離に見えないけど。っていうか今の自分のペースじゃ無理だな。(今、みると、30分ちょっとで登っているが登っている時は1時間ぐらいかかっていると感じていた。)。ルートは固く締まった雪で覆われていた。夏道の鉄杭などが出てるのでそれに沿って進む。風が強く寒い。糸を引いて垂れる鼻水をコントロールできましぇん。ピークだと思った場所はやはり偽ピークでその奥にさらに高いピークが見える。「ひぇー、まだあるのかい?さすが日本で二番目の高峰、簡単には登頂させてくれませんな」。でもこの時が楽しかった。固く締まった雪にアイゼンを噛ませ、スピッツェを突き立て、所によってはピックを突き入れ四つん這い。登山をしているんだという醍醐味でしょうか。そしてやっと登頂。嬉しかった。先週行った甲斐駒も、今日行っていたかもしれない鳳凰三山も千丈も中央アルプスも間ノ岳方面も富士山も全部が見える。谷底から湧き上がるガスも高度感を演出する。頂上は13分だけの滞在でした。ロングコースなので気が急いて追われるように登ってきたのに強風で寒いしこんな山深い山域に今日は自分一人。何かあったらどうにもならないので逃げるように下山です。
・下山
早く下山したい、しかし去るのは惜しい。何度も振り返り、写真を撮り、北岳が見える間は惜しむように下山。振り返るたび、自分が通った跡が雪面にしっかりと残っていて気分がいい。それに北岳の容姿に魅了された。北岳ってどっしりとして上の方だけ見るとヨーロッパの山と言われても納得してしまうような山容だと思う。樹林帯に入るとあとはやっつけ仕事です。とにかく暗くなる前にあるき沢BSまで下りてしまいたい。ひたすら下山。途中で今日初めて人に会う。池山御池小屋に泊る3人パーティー。「宿泊しないのですか?」「そういう装備を持ってないので下山します」「北岳日帰りですか」「はい、そうです」
仲間と一緒に泊りで山なんて羨ましいと思う。自分は週末の土日連休がなかなか取れないし、単身赴任ばかりなので基本的に週末は家に帰って家族と過ごしたい。自分には多少のロングコースでも日帰りするしかない。「追われるように登り、逃げるように下山する。」自分にはこんなスタイルしかないのだ。もっと登頂だけでなくその過程を味わうような豊かな登山をしてみたいなぁ。満点の星空の下でご飯作って食べたり・・・叶わない夢だな。
暗くなる前にあるき沢BSに到着。道路を歩き、吊り橋に降りる所はやはり危険だった。鷲ノ住山の登り返しもくどかった。道路に出て今日の山行の無事終了を確信。ゲートまでの道中、煌めく星々に今日の成功を祝福されているような気分で歩き21:00前にゲート到着。17時間半ほどの長かったけど大満足の一日が終了した。これで思い残すことはない。 登山道につけられている赤テープ、道しるべ、小屋の維持・・・これらを整備してくれている人達のおかげでこうやって安心して楽しむことができています。感謝です。
コメント
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syakonnuさんはじめまして。alsoといいます。
当日は向かいの仙丈ヶ岳に登っていました。
仙丈から見る北岳は迫力満点で何枚も写真を撮りました。
しかしまさかその北岳をこの時期に日帰りで登られている人がいるとは!
次は黒戸か鳳凰行こうかな、と思っていましたがこれを見てからというもの
すっかり北岳への意欲が湧いてしまいました(行くかはわかりませんが…)
詳細なレコありがとうございました。大変参考になります。
あとaw100はタフですけど、露出オーバーで癖強いですよね。
あとピントが結構甘くて。自分は海にも潜るので(素潜り)その際に購入したのですが今はあまり使っていません…
alsoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
今回の投稿は私の初の投稿となります。alsoさんは記念すべき初のコメンテーターでございます。
仙丈にいらしたんですね。北岳から見る仙丈も真っ白に雪をかぶりとても綺麗でした。女王と言われる所以がわかりました。alsoさんが仙丈から見る北岳が迫力あるというのでalsoさんの投稿も読ませていただきました。確かに迫力ありますね!alsoさんの写真を見て更に北岳に惹かれました。
ところでalsoさんの記録をみると、仙丈もエゲツナイ距離ありますねぇ。距離は夜叉神から北岳ピストンとさして変わらないじゃないですか。また、眠れなくて起きるべき時に眠いという展開とか全く同じですよー。出発時間もほぼ一緒で、私ら同じ時間帯に同じような事してたんだなと笑ってしまいました。空から神様のように俯瞰できたなら「今日は同じような変なのが二人いるぞ!?」って感じだった事でしょう。更に登頂した時の喜びと寒さのくだりも一緒で読んでいて自分の事のようでした。
アイスソードも超ウケです。しかも墓まで・・・(笑)。余裕があって楽しそうだなぁ。私はこの時期の山の経験が少ないのと今回は距離が長いので全然余裕がなく、気が急いて急いて写真撮るのも控えめにしてとにかく登頂を目指しました。八本歯の所とか肝心の核心部の写真が全然ないのはそのためです。alsoさんのように遊び心満載で登れる余裕があれば黒戸尾根とかは物足りないぐらいじゃないですか。
AW100の件、やっぱりそうですか。alsoさんが仰る「癖が強い」というのは同感です。普通に下界で撮っている時はあまり感じた事はなかったのですが今回、森林限界より上に行って雪面が多くなった辺りから露出オーバーの連発でハイキー調な写真ばかり(泣)。普通、こういう所はアンダー気味になると思うのですが。グラビア撮影じゃないんだから普通に写ってくれよなという感じです。撮りながらうすうす気づいたのですが、手袋しているとカメラの小さなボタンを設定するのも面倒だし、とにかく上に行かねばという感じでした。
alsoさんは茅野の方なんですね。10年ぐらい前単身赴任で茅野に滞在しました。ビジネスホテルノーブルに泊ったなぁ。何だか懐かしくなりました。
そうですよね。自分としても、とても親近感をおぼえました(笑
しかし冬山の経験が少ないのに北岳登ってしまうというのは本当に脱帽です
普段はさらに凄まじい感じなんでしょうね…
北岳って角度で本当に山の形がよく変わるので登って見つけるのが面白いです。
甲斐駒から見るとちょっと細めになるし、仙丈からだと間延びしてるんですよね。
逆に特徴があまりなくて地味というか…そこがいい所でもありますが。
AW100は同意しすぎて笑ってしまいました。
雪山で使うと眼が痛いですね(笑)どこを測光しとるんじゃって思ってしまいます。
ただ当時はGPS搭載機種もそれほどなく、耐水で耐衝撃珍しかったんですよね。
ノーブル(笑)とてもよくわかります。
取引先の方々は大抵ノーブルかスカイビューホテルが定番でした。
そして単身赴任だったのですね。この辺をもっと登られたら面白かったのですが、残念です。
いや、むしろ本当にお疲れ様でした!またこちらにお越しください!
私が山を覚えたのは富山に単身赴任の時だったのですが、あそこには言わずと知れた剱岳があり、真夏でもずっと雪があるんですよね。当時、池ノ谷を登って三の窓にどうしても行ってみたくて、アイゼンを買ったのが8月16日、初めて使ったのが8月22日でした。(←南半球か!)
逆に冬になるとあの界隈はソロでは入山できないとか条例があって(そもそもそんな実力も装備も経験もない訳ですが)冬から今頃の時期までの登山はしてなかった(できなかった)のです。なのでこういう時期の登山の経験は少ないのです。だから今回はとても怖かったです。俺なんかが行っても大丈夫か?・・・と。今思うと前の週に甲斐駒に行っておいたのがいい予行練習になりました。
私はウルトラマラソンとかが好きである程度は体も鍛えているので体力的には行けるだろうと思ってチャレンジした次第です。
仕事が落ち着き、また登山が楽しくなってきたのに移動で残念ですが、いい思い出が出来ました。
alsoさんともどこかでニアミスするかもしれませんね。それともまた「神のみぞ知る」山を隔てて鏡に写したような行動かな(笑)。
お互い体に気をつけて楽しみましょう!!
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