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Yamareco

記録ID: 8388500
全員に公開
沢登り
塩見・赤石・聖

【奥大井】上四郎作沢下部遡行・下四郎作沢遡行・柾小屋沢下降・扇沢遡行・ジャガ沢左俣下降

2025年07月05日(土) 〜 2025年07月06日(日)
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
20:25
距離
30.5km
登り
3,202m
下り
3,217m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
10:23
休憩
0:03
合計
10:26
距離 14.6km 登り 2,004m 下り 1,514m
6:49
24
スタート地点
8:12
8:14
29
8:43
8:44
511
17:15
宿泊地
2日目
山行
9:53
休憩
0:06
合計
9:59
距離 15.9km 登り 1,198m 下り 1,704m
7:01
94
宿泊地
8:35
8:36
16
9:46
9:48
58
10:46
10:48
353
16:41
16:42
18
17:00
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2025年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
 リニア工事の事前調査のため、東俣林道の通行許可を得ていたが、今回駐車地点先に施錠ゲートがあり、これ以上は車では入れない。
コース状況/
危険箇所等
※訪渓順に記載
○西俣 上四郎作沢:2級上(今回遡行)
 出合から2000m付近までは登れる滝が連続し、なかなか楽しめる。そこから右岸のガンカク尾根に出れば、すぐに出合に戻れる。上流はゴーロ主体の沢となっていると思われるが、未確認。ぬめるがフリクション勝負の滝があるためラバーソール+たわし適。

○西俣 下四郎作沢:2級(今回遡行)
 周囲に崩壊地が多く、出合から源頭までずっと開放的なガレが続く、異色の沢。滝登りは楽しめないが、開放的なガレ登りを楽しめる沢としての価値はある。落石が頻発するので多人数での遡行は薦められない。下降ルートとしても利用可能。ラバー適。

○西俣 柾小屋沢:2級(今回下降)
 出合から1720m付近までは滝が連続し、側壁も立派で面白いが、それより上流は殆どゴーロ、たまに現れる小滝も見栄えがしない。遡行の場合は、途中で尾根に上がって下山しても良さそう。この沢もアプローチが非常に遠いので、割に合わない。

○東俣 扇沢:2級(今回遡行)
 この沢最大の20m滝こそ登れないが、目測10m以上ある滝が3つ登れ、小滝登攀を楽しめる沢。しかし二軒小屋から1時間程度のアプローチであり、遠さを考えると割に合わない。1700m付近にある大量の湧水が印象的。ラバーソール可。

○東俣 ジャガ沢左俣左沢:1級上(今回下降)
 1700m付近に2つの滝があるゴルジュがあるが、それ以外は殆どガレしかない沢。扇沢遡行時の下降路としては優れているが、遡行価値はない。
その他周辺情報 【地名】
・「扇沢」は中部山岳の渓流(鈴野,1983)に拠る。
・西俣に直接合流しているのは四郎作沢で、その右俣が下四郎作沢、左俣が上四郎作沢。(「南アルプス南部 (アルパイン・ガイド 第12)」(山本朋三郎 編,山と渓谷社,1960))
・四郎作沢と柾小屋沢の間の沢は名称不明。
・ジャガ沢は、赤石渓谷(平賀文男,1933)でジヤカ沢、「岳人」や「山と溪谷」で蛇眼沢という表記も見られる。

【他の記録】
・上四郎作沢および下四郎作沢は、「南アルプス南部 (アルパイン・ガイド 第12)」(山本朋三郎 編,山と渓谷社,1960)や「南アルプスの山旅 (登山地図帳)」(山と渓谷社,1955)において、蝙蝠岳への登路として紹介されている。
・柾小屋沢は登山大系で紹介されているが、遡行図はない。
・扇沢およびジャガ沢は記録未見。
二軒小屋の川廻しの滝。水量が凄い。
2025年07月05日 05:57撮影 by  901SO, Sony
7/5 5:57
二軒小屋の川廻しの滝。水量が凄い。
東俣(手前)と西俣(奥)の二俣。東俣の水を取水して二軒小屋発電所で発電して西俣に放流しているため、西俣の方が遥かに水量が多い。
2025年07月05日 07:01撮影 by  SM-G973C, samsung
7/5 7:01
東俣(手前)と西俣(奥)の二俣。東俣の水を取水して二軒小屋発電所で発電して西俣に放流しているため、西俣の方が遥かに水量が多い。
中央新幹線の工事用トンネルができる予定の位置が明示されていた。工事が始まったら、どれほど賑わうのだろうか。
2025年07月05日 07:46撮影 by  SM-G973C, samsung
7/5 7:46
中央新幹線の工事用トンネルができる予定の位置が明示されていた。工事が始まったら、どれほど賑わうのだろうか。
保全上重要な植物でも生えていたのか、マーキングが沢山されていたが、それらしき植物は見当たらなかった。
2025年07月05日 07:57撮影 by  SM-G973C, samsung
7/5 7:57
保全上重要な植物でも生えていたのか、マーキングが沢山されていたが、それらしき植物は見当たらなかった。
こんな観測装置もJR東海の手によって至る所に建てられていた。
2025年07月05日 08:12撮影 by  901SO, Sony
7/5 8:12
こんな観測装置もJR東海の手によって至る所に建てられていた。
東俣沿いにかつては林道があったようで、すっかり崩壊している箇所も多いが、こんな風に旧態を留めている箇所もあった。
2025年07月05日 08:38撮影 by  901SO, Sony
7/5 8:38
東俣沿いにかつては林道があったようで、すっかり崩壊している箇所も多いが、こんな風に旧態を留めている箇所もあった。
上四郎作沢に入ると、すぐに連瀑帯が始まる。
2025年07月05日 09:27撮影 by  901SO, Sony
7/5 9:27
上四郎作沢に入ると、すぐに連瀑帯が始まる。
ぬめりが気になるが、快適にフリーソロで登れる滝が多くて楽しい。
2025年07月05日 09:39撮影 by  901SO, Sony
7/5 9:39
ぬめりが気になるが、快適にフリーソロで登れる滝が多くて楽しい。
この滝も直登
2025年07月05日 09:46撮影 by  901SO, Sony
7/5 9:46
この滝も直登
この滝も直登したはず
2025年07月05日 09:58撮影 by  901SO, Sony
7/5 9:58
この滝も直登したはず
連瀑帯の終わりに出てきた綺麗な簾状滝。ぬめるので右岸から巻き気味に直登。滝場が終わったら右岸のガンカク尾根へ。
2025年07月05日 10:37撮影 by  901SO, Sony
7/5 10:37
連瀑帯の終わりに出てきた綺麗な簾状滝。ぬめるので右岸から巻き気味に直登。滝場が終わったら右岸のガンカク尾根へ。
ガンカク尾根を下り終え、下四郎作沢に入ると、上とは違って開放的なガレの沢。
2025年07月05日 11:59撮影 by  901SO, Sony
7/5 11:59
ガンカク尾根を下り終え、下四郎作沢に入ると、上とは違って開放的なガレの沢。
7m滝:滝も少しはあるが、容易に巻ける。
2025年07月05日 12:45撮影 by  901SO, Sony
7/5 12:45
7m滝:滝も少しはあるが、容易に巻ける。
この3段10m滝も小さく巻いた
2025年07月05日 13:19撮影 by  901SO, Sony
7/5 13:19
この3段10m滝も小さく巻いた
雪渓が残る悪沢岳をバックにガレを登る。詰め終わった尾根上では登山道の存在に気付かず時間をロスした。
2025年07月05日 13:30撮影 by  901SO, Sony
7/5 13:30
雪渓が残る悪沢岳をバックにガレを登る。詰め終わった尾根上では登山道の存在に気付かず時間をロスした。
柾小屋沢を下り始めて最初の滝らしい滝。6mで苔が多い。まともな滝は殆どなく、ガレを下っていく。
2025年07月05日 16:13撮影 by  901SO, Sony
7/5 16:13
柾小屋沢を下り始めて最初の滝らしい滝。6mで苔が多い。まともな滝は殆どなく、ガレを下っていく。
ガレの途中で見つけた、結構快適だった幕営地
2025年07月06日 06:20撮影 by  901SO, Sony
7/6 6:20
ガレの途中で見つけた、結構快適だった幕営地
柾小屋沢は下降の終盤になって滝が多く出てくる。最初の10m滝は、左岸懸垂下降。
2025年07月06日 07:32撮影 by  901SO, Sony
7/6 7:32
柾小屋沢は下降の終盤になって滝が多く出てくる。最初の10m滝は、左岸懸垂下降。
次の7m滝あたりから側壁が立派になってくる。これも左岸懸垂下降。遡行なら登れそう。
2025年07月06日 07:48撮影 by  901SO, Sony
7/6 7:48
次の7m滝あたりから側壁が立派になってくる。これも左岸懸垂下降。遡行なら登れそう。
立派な側壁の間を落ちる7m滝。これは左岸をクライムダウン。
2025年07月06日 07:51撮影 by  901SO, Sony
7/6 7:51
立派な側壁の間を落ちる7m滝。これは左岸をクライムダウン。
柾小屋沢最下流の2段11m滝も懸垂下降。西俣から東俣へ移動。
2025年07月06日 08:16撮影 by  901SO, Sony
7/6 8:16
柾小屋沢最下流の2段11m滝も懸垂下降。西俣から東俣へ移動。
東俣の曲輪(マゲワ)沢出合付近で釣師が幕営していた。
2025年07月06日 10:23撮影 by  901SO, Sony
7/6 10:23
東俣の曲輪(マゲワ)沢出合付近で釣師が幕営していた。
曲輪沢出合の先の橋はこんな有様で、渡れない。林道跡地の状況は西俣と同様で、部分的に無くなっているが、釣師の踏み跡は結構明瞭。
2025年07月06日 10:27撮影 by  901SO, Sony
7/6 10:27
曲輪沢出合の先の橋はこんな有様で、渡れない。林道跡地の状況は西俣と同様で、部分的に無くなっているが、釣師の踏み跡は結構明瞭。
扇沢に入って最初の11m滝は、巻いた方が楽そうだが、直登できそうなのでたなリード。結構登り応えがあった。
2025年07月06日 11:15撮影 by  901SO, Sony
7/6 11:15
扇沢に入って最初の11m滝は、巻いた方が楽そうだが、直登できそうなのでたなリード。結構登り応えがあった。
1700m付近で左岸から大量の湧水。本流の水量は一気に減る。
2025年07月06日 12:05撮影 by  901SO, Sony
7/6 12:05
1700m付近で左岸から大量の湧水。本流の水量は一気に減る。
湧水の隣にある2段12m斜滝は快適に直登。
2025年07月06日 12:06撮影 by  901SO, Sony
7/6 12:06
湧水の隣にある2段12m斜滝は快適に直登。
10m滝もシャワーを浴びて直登。
2025年07月06日 12:24撮影 by  901SO, Sony
7/6 12:24
10m滝もシャワーを浴びて直登。
扇沢最大の20m滝は登れそうになく、右岸から巻くが、小さく巻けるのでストレスはない。
2025年07月06日 12:41撮影 by  901SO, Sony
7/6 12:41
扇沢最大の20m滝は登れそうになく、右岸から巻くが、小さく巻けるのでストレスはない。
快適に登れる小滝が続く。
2025年07月06日 13:11撮影 by  901SO, Sony
7/6 13:11
快適に登れる小滝が続く。
最後の8m滝を登ると平凡な沢になるので、左岸支流を詰めてジャガ沢へ。
2025年07月06日 13:11撮影 by  901SO, Sony
7/6 13:11
最後の8m滝を登ると平凡な沢になるので、左岸支流を詰めてジャガ沢へ。
ジャガ沢は殆どガレだが、1700m付近だけ顕著なゴルジュになっていて、この11m滝は懸垂下降。
2025年07月06日 14:08撮影 by  901SO, Sony
7/6 14:08
ジャガ沢は殆どガレだが、1700m付近だけ顕著なゴルジュになっていて、この11m滝は懸垂下降。
その下の7m樋状滝はクライムダウン。
2025年07月06日 14:13撮影 by  901SO, Sony
7/6 14:13
その下の7m樋状滝はクライムダウン。
ゴルジュが終わるとまたガレゴーロばかりの沢になる。時間的に余裕があるのでたなが釣りをすると、イワナがかかった。あとは、坦々と下山。(たな追記:ヤマト・ニッコウの混血と思われる)
2025年07月06日 14:59撮影 by  901SO, Sony
7/6 14:59
ゴルジュが終わるとまたガレゴーロばかりの沢になる。時間的に余裕があるのでたなが釣りをすると、イワナがかかった。あとは、坦々と下山。(たな追記:ヤマト・ニッコウの混血と思われる)
四郎作沢・柾小屋沢遡行図
2025年07月09日 19:49撮影
7/9 19:49
四郎作沢・柾小屋沢遡行図
扇沢・ジャガ沢遡行図
2025年07月09日 19:50撮影
7/9 19:50
扇沢・ジャガ沢遡行図
撮影機器:

装備

備考 ラバーソール概ねOK

感想

【計画の経緯】
 大井川源流部では、リニア中央新幹線の工事による環境変化が想定されている。今回、有志による環境事前調査として、東俣林道の通行許可を得て溪谷調査をするという話を頂いたため、滅多にない良い機会だと考え、大井川源流部の複数の沢を溯下降調査することにした。
 2日目のこの日は、西俣の中では滝が多そうな上四郎作沢と柾小屋沢に狙いを定めた。
 結果としては、現地で下四郎作沢にも興味を持ったためそちらも遡行し、また、3日目の下山が早かったため、当初4日目に予定していた東俣扇沢〜ジャガ沢も調査した。

【感想】
 大井川源流部の沢は、地形から予想していた通り、ゴーロやガレが多く、沢登りとして面白いかというと、そうでもない箇所が多かった。アプローチの大変さを考えると、わざわざ再トレースするような沢ではないだろう。とはいえ豊富な湧水、清冽な水、奥深い山を感じながら未知の沢を探検調査することができ、非常に有意義な2日間だった。貴重な機会を頂いて感謝している。工事によりこれらの湧水が失われるとしたら残念なことである。

大井川源流域の調査遡下降。
リニア調査で林道通行許可を頂けるなんて、好きでやってる沢歩きが役立つなら願ったり叶ったりだ。

上四郎作沢の出合から上流は、本流の水は完全に伏流していた。宿舎や工事用トンネルの建設予定地には、工期が「平成31年5月31日」と記載がある許可標識のみ工事が始まらないまま立ち続けていた。
今回歩いた沢はいずれも、壮大なガレや豊かな湧水、もっさり生えたコケや元気な水棲昆虫が印象的だった。ヤマトイワナの純血個体には会えず。

南アの地下構造は複雑だ。こんな場所本当に掘れるのだろうか?地下水脈が繋がっており、トンネルを掘った位置だけでなく一見関係無さそうな場所でも湧水が枯れる可能性があるとしたら?考え始めたらキリが無いが、リニア工事の行く末には注視して行こうと思う。

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