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凍死は夏山でもおこる訳だから当然ながら冬山では凍死に至る可能性は非常に高い。凍死というのは、低体温症で死亡することである。
私たちが登山において注意することは低体温症対策である。低体温症対策というのは防寒対策とは若干意味が異なる。
世界で一番寒い村はロシアのオイミャコンというシベリアの村で、１９２６年にここで記録したマイナス７１．２℃が世界記録なのだそうである。テレビでもよく紹介されているのでご存じの人も多いと思うが、「オイミャコン」という名前は「凍らない川」という意味なのだそうだ。村の学校はマイナス５６℃になると休校になるという話ではあるが、逆に言えば、マイナス５０℃でも小学生たちは平気で学校に通っている。極寒の地という悲壮感は全くない。
一方、水道の水だとプラス５℃でも３０秒も手を入れてはいられない。夏の黒部の源流でも１分も水の中に手を入れてはいられない。滝の水に打たれる修験者たちは別格だろうが、徒渉を繰り返す源流部の沢登りでも、休憩を長くとることはできない。濡れたまま体を動かさずにじっとしているとガタガタと身震いして止まらない。唇は真っ青になって体中の鳥肌が立つ。
要するに、「寒いのは我慢できるが、冷たいのは我慢できない」ということだ。
低体温症に陥る原因は、気温の低さより体が濡れてしまうことの方が遥かに高い。マイナス５０℃の南極のような極寒に耐えられる防寒服を着用していても、発汗によって体が濡れてしまえば何の意味もない。日本の冬山での防寒対策というのは「衣類が乾いていること」が最も重要である。これは鉄則である。このことは冬山ばかりではなく全ての季節の登山でも基本的には同じことであって、非常用（予備）の肌着等は必ず完全防水して絶対に濡らしてはいけない。
低山のハイカーたちや夏山の登山者の休憩の様子を観察すると面白いことに気付く。
初心者は、「あついあつい」と言って休憩場所に来ると防寒服や上着を脱ぐ。休憩が終わる頃に体が寒くなってきたと言って防寒服や上着を着て出発する。そして、歩きながら汗を流し、休憩で上着を脱ぎ、再び出発時に上着を着る。この繰り返しで、結果として、体はバテバテになり、衣類はパンツの中まで濡れてしまうことになる。
ベテランは、出発するときに意識的に防寒服や上着を脱ぐ。歩き出しは少し寒いが歩いている間はちょうどいい。休憩時には何よりもまず防寒服や上着を着る。そしてそれから行動食をとり水を飲み記録を付ける。休憩が終わり、出発するときには意識的に防寒服や上着を脱ぐ。この繰り返し。これがベテランの休憩の方法である。
以上のように初心者とベテランとでは”やっていることが全く反対”であるが、意外と多くのベテランと呼ばれている人でも初心者のように厚着で山を登って汗をかいている人が多い。まあ、それではベテランとは言えないかも知れない。
敢えて「低山や夏山」と書いたことには意味がある。気温が極度に低い冬山だと若干事情が異なるからだ。
冬山では濡れてはいけない。低体温症に直結するので汗を出しながら登ってはダメであるけれど、ときどきTシャツのような半袖姿で登っているようなおバカな行為はもっと危険である。自分では気づかないが猛烈な消費カロリーのために夜テントの中で熱が出てそのまま御臨終というケースも聞いたことがある。何ごとも調子付いてはダメだということである。冬山では汗をかかない程度の保温は当然必要である。
低体温症は、「疲労凍死」という言葉があるように、疲労でもおこる。道に迷ってリングワンダリングの結果、疲労凍死に至る場合もある。これらの疲労凍死を予防するには極度な疲労をしないことだ。道に迷ったと思ったらその場で意識的に休憩する。残念だが、多くの場合、これができない。
冬山は寒いからといって馬鹿のように重ね着をする必要はない。３枚（最大４枚）で十分だと思う。風がなく晴れれば２枚でもいい。人間は首や耳や口を保温すると体全体が非常にあったかく感じる。だからバラクラバやマフラーが有効になる。マフラーは田部井淳子さんがエベレストに登った時にそんなことを聞いて以来、私は冬山ではマフラーは保温上とても重宝している。手がかじかんでどうしようもない状態になったら男性は手袋を脱いでパンツの中のアレを直接握るといい。ビックリするほど回復する。足の指先が冷たい場合はピアノのドレミファを弾けばいい。それと、濡れても比較的あったかい「毛（ウール）」は、総合的にはそれに変わる物はまだないような気がする。
【追記】手がかじかんだときは口の中に入れる方法もある。アレを触ったあとでは少し自分でも嫌になるかも知れないが（笑）
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以上のように誰でも分かっていることを文章にしてみましたが、まあ、ポイントというか、休憩時の防寒服の取り扱いはちょっとした登山のコツだと思います。どちらにしても、「寒さと冷たさの違い」を分かってもらったら幸いです。
写真は、本文とは全く関係ない醤油麹（しょうゆこうじ）です。醤油を作る元になるものです。醤油用の麹は菌の発熱が強いために気温が低い時期でないと温度管理面から無理であることが分かりました。私の趣味の話ですが…
なるほど・・
嫁「あんた、ええかげんにしいや、山ばっかり行って」
嫁「聞いてんか！家でたら公園で寝ぇや」
これは我慢できるんやな（寒っ）
おれ「今週末、山でも行こうかなぁ」
嫁 「・・・・・」
おれ「行くで」
嫁 「・・・・・」
やばっマジ怒ってる（冷た）脇に冷や汗です
murrenさんこんにちは。
今回のお話しも、大変ためになりました。
実際、分かっていてもmurrenさんの具体的な解説を読むことで再度、認識さえられます。
私も子供にレイアリングについては「寒いぐらいで上り始めろ」っと教えています。
登山においては「濡れる」が大変大きなリスクになる事を以前、雪遊時にあえて体験させました。
(もちろん直ぐに暖の取れる状態で行いましたよ)
口で説明すると同時に経験させる事で確実に記憶に残るので家族で体験しました。
(私自身のスキルが低いと言う事もあるので・・)
いつも簡易でとても分かりやすく、まとめておられますが
普段から教えておられるのでしょうか?
または、それがお仕事とか??
どのみちあの!あめ色に輝いたピッケル!の写真を見た時に、色んな意味でメッキじゃない本物と思っておりますがネ
次回も楽しみにしております。
uedaのおっちゃん、こんばんは！
そうだね、孤独で心が寒くても我慢できるけれど、心が冷たくなっちゃうとどうしようもないね。救いようがないね。
ドМのおっちゃんは、山で死ぬよりも大好きな奥さんに絞め殺された方が本望じゃないですか？なんまんだぶ。
ryuu88さん、こんばんは。
ryuu君のパパさんだからryuu88さんというＨＮなんですね。
家族思いでとってもいいですね。
ピッケルの日記を見てもらったんですね。
サビサビでお恥ずかしいですが、私の行くところにあのピッケルがありました。ホワイトアッシュの７０�僂離轡礇侫箸鯢降突僂暴未瓩泙靴拭�ピックにもドリルで穴を空けてシュリンゲを通して氷の壁でセルフビレーをとったこともあります。手入れをしていなくて可哀想でした。ウッドシャフトのピッケルはアマニ油で磨いてやるんですよ。そういえば木のワカンの手入れも同じでした。
私は自分で作った倶楽部などでは登山技術などを色々と教えていました。パラグライダーは正式な教員でしたが山もパラも全て趣味でした。そういえば、とても書くことはできませんが日本でもすごい人が当時メンバーになってもらっていました。ryuu88さんも当然知っていらしゃる人なんですが、これは誰がなんといっても本人のため私のためにも教えることはできませんが本当の話です。
私の知識は３０年前４０年前と同じで進歩がありません。
ryuu88さんは本当に素直でやさしそうで吸収力があっていいですね。uedaのおっちゃんに爪の垢を煎じて飲ませてあげてください
雪山で一番苦労しているのがやっぱりいかに汗をかかないか。ですね。
これが分かっていても、なかなか出来ないんです。
ペースが上がってしまうと汗ばんでしまったりします。急登ならなおさら。
普段、出来るだけ薄着で登るようにしていますが、もう脱げないほどでも汗をかいちゃったりします。
それには急登でも汗をかかない体力も必要ですね。
過労凍死。
危険はさまざまなところにありますね。
いかにその時に自分の選択を誤らないか。
こういったことを頭に入れておくだけで、生死を分けるんだと思います。
またひとつ勉強させていただきました
なになに
お茶用意してくれたんや、おおきに・・
ゴクン、ゴクン・・むっ？・・ぺっ・・
なんぞ入っとるで・・うわぁ！・・つめ・・やんけ
ふふふ・・それで変わる性格ならね・・
ああ・・山・・行きたい・・
でわでわ
mitukiさんへ
私も思うのですが、完全に汗をかかないようにするのは無理だと思います。ラッセルや重荷でのアプローチでは必ず汗をかきますね。問題はその汗が夏山のようになかなか乾かないことですね。
でも、そこらあたりを意識しておればいいかと思います。
休憩時の行動を見るのは少し悪趣味でもありますが、いちど他のパーティを観察してみてください。ほとんどは服を脱ぎます。休憩場所についたらすぐに服を着る人になって欲しいと思います。
uedaのおっちゃん、
おかしいな。爪じゃなくて爪の垢だし青酸カリだし。。
胃が丈夫なんですね
山は逃げません。だいじょうぶだいじょうぶ（一休さん風）
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