7月25日金曜日。ピーカンのち晴れ。
ツェルマットの谷とは1つ離れているサースフェーの谷からツェルマットへの移動はポストバスと鉄道を使いました。
天気はピーカンで全ての景色が絵はがきのように美しく見えました。
サースフェーで私が気がついたことは、どうも観光協会あたりの政策だと思うのですが、すべてのオフィシャル関係のスタッフが非常に親切であると言うことです。例外なく誰もが親切という事は(確認していませんが)そういう政策をとっているのだと思えてしかたありませんでした。
例えばスイスの他の町や市のスタッフは親切に対応してくれるのは人によりますがこのサスフェーでは全ての人が親切でした。
そういう意味ではホテルの値段も安いということもありリゾートとしては穴場だと私は思いました。サマースキーはツェルマットよりも優れていると思います。またアルプス登山もハイキングも高山植物も魅力的です。まだ中国人も韓国人もほとんどいません。
サースフェーから1週間ぶりにツェルマットについた後、駅前のコープで12リットルの水とビールとポテトチップスやチーズ、ソーセージなどを買い込み、3つのザックに分けて詰め込みました。
そのまますぐにタクシーでロープウェーの駅までいきました。
ちなみにチケットは、シュワルツゼーまでのロープウェイとツェルマットまでの鉄道とバスのチケットをすべて1枚の切符にまとめて、サースフェーのバスターミナルのチケット売り場で買うことができました。言うなればこれは名古屋駅で関西線の鉄道と近鉄バスと御在所ロープウェイのチケットを1枚の切符にして買えるようなものです。しかも私が乗るバスや電車の時刻表付きです。
日本は年間2,000万人の観光客を誘致しようとしていますが、こういう基本的なソフト面やハード面を多いに学ぶ必要がありますね。
ロープウェイ降り場からホテルまで重い荷物を運びあげてチェックインした後、再び1週間前と同じようにヘルンリ稜を偵察してきました。
ヘルンリ稜下部の雪はかなりとけていました。しかしながら上部の雪はまだかなり残っていました。
すれ違ったアタッカーと思われる男女に聞いてみるとガイドレスだったとのことですが壁のところに雪が付いていて断念したとの事でした。
7月26日土曜日曇り時々雨。
前日の話ですがホテルでの夕食を食べたあと午後8時から午前1時過ぎまでホテルのベッドで熟睡していました。
夜中の午前2時ごろに天気の確認のために非常口から外に出てみました。
するとなんと非常口は外に出る時は出られますが中に入ることができません。そのような危険性があることは感じていましたが、外の雨に驚いてドアから手を離してしまったとたんにバタンとドアが閉まりロックされてしまいました。
メインの入り口にまわってみても全ての入り口は完全にロックされていました。
外は雨でした。
こりゃあマズイことになったと思いました。いってみればホテルでの遭難です。
私のイマージェンシーレベル1の対応としてホテルの周りの窓を全部ノックしてみましたが、全く反応がありません。
客は全部で私を含めて12名。山(このホテル)に残っているスタッフは多分2人ぐらいだったと思いますが全く反応がありません。
幸いなことに私はフリースを着て外に出ましたのでそれほどの寒さは感じませんでした。また、ペツルのヘッドランプも持参していました。
しかしながらさすがに2500メートルを超える高地の雨の夜の外はだんだんと寒く冷たくなり、私は体が濡れないように専念しました。もしも体が濡れてしまえば低体温症になってしまう危険性が高まります。
全くもってなんてこったと言う笑い話ですが、ホテルの外では羊たちが私を見て驚いていました。ヒツジたちは雨に濡れても寒くはないんですね。
マッターホルンアタック前にこんなところで体力を消耗してしまえば本末転倒も著しいと言うことです。
仕方がないので雨宿りできる場所で体を縮めて朝が来るのを待ちました。
4時を過ぎ5時ごろになるとだんだんと霧が明るくなってきました。
明け方さすがに寒くなってきましたのでジョギングをするように足踏みをしたりして体温保持に努めました。
そしてヘッドランプを非常時モードの点滅フラッシュに変えてホテルの窓を照らしていました。私としてはエマージェンシーレベル3になりました。(エマージェンシーレベル4になると窓ガラスを割るという行為が発生しますが、まだそこまでは至っていませんでした。)
するとそのフラッシュにお客さんのドイツ人の1人が気がついてくれ、一階の窓から私を入れてくれました。助かったと思いました。
丁寧にお礼を言ったあと、あったかいシャワーを浴びてポテチとソーセージを食べたら生き返りました。
その後ベッドで眠り朝食を食べる時は私のこの話題でもちきりになりました。私は冗談っぽく話しておりましたが客の中には深刻にとらえてくれた人もいたようでした。
ホテルオーナーや他のスタッフたちが8時半過ぎにいつものようにロープウェイで上がって来ると事の詳細を説明し、非常時のドアロックの対応を検討してもらいました。
こうなった原因の1つに私のアサインされた部屋が階下にあったため朝食後に上の階の部屋に変えてもらいました。
私を助けてくれたドイツから来た人は見た目とても穏健でありますがしっかりした人で非常時の事をホテルの人と色々と話をしてくれていました。
私も非常口から安易に夜中に出た事は反省すべき内容ですが、これが冬であれば死んでしまった可能性もあったわけでホテルとしてはそういう問題が発覚したわけです。
どちらにしても、こうしてゆっくりインターネットで書き込んでいると言う事は外が天気が悪いということを意味しています。日本の山では天気が悪くても山に登れますがこちらではそれは無謀ということになってしまいます。日本の夏山は気楽でいいですね。
こちらに来て気が付いた事は、アルプス登山は天気がほとんどその安全性と危険性を占めているように思います。つまり今の天気では90パーセントはマッターホルンは今回は無理だと考えています。
まぁ、35年前にホテルバンホフの女主人のパウラさんが言ったように「山は逃げない」ということでしょう。
ともあれ、いろいろなことがあるプチ海外遠征です。
英語、ヘッドランプ、カッパまたは傘、携帯電話、リップクリーム、水、ポテトチップスがプチヨーロッパ遠征での非常時ツールだと改めて思いました。後は気のきいたジョークでしょうか。
こんばんわ
大阪23時15分気温26度・・蒸し暑いです
昨夜は天神祭、大阪の一番暑い日です
ホテルでのトラブル・・たいへんでしたね
にしても12Lもの水を買い込んだりザックが三つと準備に余念がないようですね
無理をなさらずに元気に帰還されることを祈ります
でわでわ
元気で徘徊とはいいですね。
結構、その様なホテルの非常口には、その旨の表示があるのが多いのですが・・。
私も、モンブラン・デュ・タキュルに行った時にドイツ人と偶然出会い一緒に行動しましたが、とてもマナ−がいいですね。今でも時々海外の山に登る際は良きパ−トナ−ですね。
山は逃げませんが、体力は?? 今のうちにお互いに楽しみましょう
誰かが「マッタ−ホルン」を「マッタ−ホ−ン」と言っていましたが、山登りはそんなに甘くはないか。
自分では一生経験できないと思う夢のような登山で毎回楽しみに読んでいます。。。。が、あまりに上級者のレベルで、難しい事が書いてあり、チンプンカンプンでした。
でも、今回は、理解出来ました 笑
もう二度と遭難されない様、無事に日本へ帰ってきて下さいね!
元気に戻ってきて落ち着かれたら、写真など見せて下さい(*^_^*)
murrenさんの日記楽しみにしています♪
みなさんコメントありがとうございます。
個別に返事は書けませんが、海外でのヤマレコは閲覧などが難しいので返事が遅れました。数字認証はいいですが英語認証だと入力する気になりません。
実はすでにツェルマットを離れチューリッヒに着いて明日日本に向けて飛び立ちます。日本は暑いでしょうね。対応できるか少し心配です。
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