阿弥陀〜赤岳 超絶景ー神の悪戯ー台風当日
- GPS
- 32:00
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,442m
- 下り
- 1,560m
コースタイム
09:10 御小屋山頂
11:40 阿弥陀岳山頂
13:15 赤岳山頂
<赤岳頂上小屋に宿泊>
05:00 赤岳山頂
05:20 地蔵の頭
06:00 行者小屋
07:40 美濃戸
08:25 美濃戸口
<アルピコタクシー>
08:40 船山十字路
天候 | <一日目> 晴れのち曇〜濃霧、時々雨 強風 日没直前晴れ(赤岳山頂でのみ) <二日目> 曇りのち時々雨 強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
【帰路】美濃戸口〜(タクシー)〜船山十字路〜中央道小淵沢IC |
コース状況/ 危険箇所等 |
ルート自体は既存登山道なので大した危険箇所なし。 ただし、台風後の恒常的な強風、突然強くなる突風の風圧が物凄く、前後左右に余裕のないポイントでは滑落の危険があった。 特に摩利支天、竜頭の頭〜赤岳山頂間はヒヤヒヤもの。 |
写真
感想
台風の通過直後に山に行くのは非常識である。
しかし、時に台風の引っぱる強烈な風や雲が、この世のものとは思えない情景を見せてくれることがある。
6月20日、朝4時に起きたところ、すでに雨は止んでいた。「賭けに出てみるか」と向かった先は赤岳山頂。強風や前後の台風(4号、5号)の影響による豪雨などに当たったら、潔く撤退しようと八ヶ岳へ向かう。
土地勘がある船山十字路から、御小屋尾根〜阿弥陀岳経由で赤岳を目指す。
御小屋頂上は約10年ぶり。不動清水分岐を過ぎ、しばらく登った頃から天候急転。諏訪盆地の方から怒涛の雲が攻めてくる。雲の中で強風を受け、ほんの近くしか視界が効かない中、途中一時的に雨が降ったので、ザックカバー&レインウェア(上のみ)を装着して登る。風が右横から当たる。ザックカバーがバタバタと悲鳴を上げる。煽られてカバーがめくられないように、特に強風の時は、背中を風に向ける。しかし、突風の風圧が強い時は、前に押し出されてしまう。
こんな強風は初体験だ。
阿弥陀頂上直下西面、摩利支天、赤岳西面、竜頭の頭〜頂上は本当に肝を冷やしたが、屈んだ耐風姿勢で何とか通過。
展望は望むべくもなく、さっさと頂上小屋へ入る。飛び込みだが泊まれるとのこと。予約は台風のため1パーティー2名のみという。
「台風行っちゃったので、日没や明日の日の出の頃景色良くなりませんかね?」と、髪の短い方の小屋番の方に聞くが、「いやあ、もう明日から梅雨の天気だそうですよ」と否定的。
まあいいや、とビール、ラーメンの昼食をとってその時を待つ。
調理や受付してくれたのは、長髪の方の小屋番さん。多分、オープン時期になればキレット小屋に常駐している清瀬さんと思われる。その後、予約の2人が展望荘まで来たが強風でそれ以上登れない?のでキャンセルと言う電話があったそうだ。
ということは、飛び込みがなければ、宿泊客は私一人ということになる。
天候は一向に良くならず、夕食も摂って「岳」を読みふけっていると、西の方から陽の光が・・・、カメラを持って表に出るとそこには信じられない世界が展開していた。
小屋番さん2人も小屋の中から感嘆の声をあげながら見ていたが、そのうち清瀬さんが一眼レフ持って飛び出してきた。
A「いや〜〜凄いですねこれ。」
K「いま、ただならぬことが起こっています!!」
途中、雲と風と光の共演に「ここが地球であるという当たり前の認識」すらも危うい状態で時間を過ごしたが、最後の最後に、なんと太陽が北アルプスの稜線の高さ以下になっても光を出し続けているではないか。
清瀬さんも無言でどんどんシャッターを切っている。
太陽は、北アの大キレットの凹部にすっぽり飲み込まれて落ちていったのだった。
A「いや〜今日泊まってよかったな〜〜」
K「今日泊まってよかったですねえ〜〜」
翌朝早発ちのためお弁当にしてもらった朝食を、4時前に食べ、日の出時間の4:20前後にほんの一瞬赤く染まった富士を撮って出発。
あとは、ありきたりの風景をとっての下山。
今回の山行中行き会った登山者は、一日目はゼロ。二日目は、赤岳山頂〜展望荘間で行者から来たという早起きの青年ソロ、行者〜美濃戸で若いカップルのパーティーと、若い3人パーティーの2組、美濃戸〜美濃戸口で若い3人パーティー一組という驚異的少なさだった。
ALFAROMEOさん、こんばんは。
素晴らしい景色ですね。私も、この日の紅色の夕暮れは、自宅から目撃して、思わずシャッターを切りましたが、赤岳からの眺望とは比べものになりませんね。
苦労した者だけのご褒美だと思います。
間違いなく、素晴らしい写真の連続だとは思うのですが、うーん。
ノーコメント、NO拍手としておきます。
判断しかねます。
事前の希望としては、果てしなく広がる雲海の上に、高山のピークが浮島のように顔を出す風景でした。
しかし、幸運な現実はそれをはるかに凌駕してくれました。人生史の中でも指折りの「千載一遇」だったのだと思います。
『コメントを書く』の欄に、「ノーコメント、NO拍手としておきます。」とのコメントを頂き恐縮です。
僭越ですが、そのような場合は、わざわざご丁寧にお書きにならずにスルーなさるのが宜しいかと存じます。
はじめまして、ALFAROMEO様
山頂小屋宿泊で得たものは多いですね。
大同心・小同心が雲を切り裂くようで素晴らしいです。
こんな素晴らしい光景を目にしたら
他の場面が”ありきたり”に写ってしまうのもわかります。
それでも、このありきたりの風景すら見えずに
山行を終えることもあります。
そんな時でも、山々に感謝しながら
充足感をもち、再度の訪問を誓いながら
山行を続けるのが楽しいものです。
次はどんな姿を見せてくれるのでしょう。
おっしゃるとおり「感動」は相対的なものですので、あの日もし頂上で天候回復しなかったとしても、山小屋を独り占めしたことに「感動」していたかもしれませんし、下りで拝めた赤〜阿弥陀に「感動」していたことでしょう。
登山にかぎらず、一度の成功体験の裏には、千のありきたりな日常と、十の失敗があるのかもしれません。
次の「感動の頂点」に出会うまで、淡々と進むです。
スライドショーで堪能しました。田園シンフォニーが浮かんできました。激しいガスの動きと日没後の静寂、素晴らしい感動を疑似体験させてもらいました。
山はこれがあるからやめられませんね。
激しさの後の静寂、確かにB'venの交響曲かもしれません。もし、阿弥陀の上で豪雨になったら、摩利支天の鉄梯子の奥の岩の下のスペースでビバークとなったことでしょう。その場合は、Mussorgskyの「禿山の一夜」でしたね。
ところで、スライドショーという便利な機能があるのですね。ちょっと見てみましたが、確かに臨場感がまして良い感じです。教えて頂きありがとうございました。
ALFAROMEOさん、はじめまして。
お写真、全部じっくり拝見させて頂きました。
素晴らしすぎて言葉が出ないです。
有り難うございます。
明後日、赤岳へ日帰りで向かう予定ですが、
こんな大雲海はよほど時間帯や気象条件が
揃わないと難しいですよね。いやはや・・・。
人生観が変わりそうなほどの絶景を
私もいつかこの赤岳で眺めてみたいものです。
感動を共感していただきありがとうございます。
登山は状況によって苦しい時が多々ありますよね。
時には血反吐を吐くような目にも会うことがありますが、逆に、泣き出さんばかりの場面に出会うこともあります。
苦しい場面は、きっといつか来る放心しそうな感動的出合いを保証する「心の預金」なのかもしれません。今回はそんなことを考えさせられました。
いつかきっと、膝が折れて泣き出すような感動的場面に遭遇されますよう、祈っています。
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