紅葉と初冠雪の涸沢カール/パノラマコース〜天国＆地獄
zaoluck
その他1人 - GPS
- 29:50
- 距離
- 30.8km
- 登り
- 1,099m
- 下り
- 1,095m
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■7日：涸沢ヒュッテ6：35→8：00屏風のコル→9：30ガレ沢9：40→9：50中島新道分岐→10：30新村橋→11：45徳沢園11：25→12：18明神橋(自然探勝路へ）→12：56岳沢方面合流→13：13上高地バス停
| 天候 | 6日：晴れ後雨（2700m以上雪） 7日：晴れ後曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
よく言われる通り紅葉シーズン、しかも連休の涸沢で泊まるのは、やっぱり自殺行為です！ 涸沢ヒュッテは誇張なしに1枚の布団に3人寝てまだ余る〜あふれる状態で、何よりトイレ待ちは地獄の沙汰。当方のように「怖いもの見たさ＋話の種に」という覚悟でもない限り発狂しそうになります。 夜中の雨が少し上の2700m付近から雪になり、奥穂は積雪10�僂箸両霾鵑撚罅拘泙畭燭�が登頂を断念しました。新雪だと道が分からないし、踏まれたり一度とろけて凍ったらスリップ必至。われわれ一般登山者の3000m級シーズンは終わりです。 パノラマルートは、随所にロープがあるものの景色は素晴らしく快適でした。高所恐怖症と両手を使う登り降りにモタモタする人はお帰りいただきますが、「岩稜経験者のみ」という注意書きはやや大げさ。若い人やバランス感覚と腕力がある人なら問題ありません。ロープ場よりも後半の奥又白谷へ下りる樹林帯の岩が滑りやすく、油断大敵でした。 |
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感想
カレンダーで見た通りのカールの絶景に映える鮮やかな紅葉、澄んだ秋の山の空気、オマケに初冠雪とのコラボ。前夜、小屋で写真好きの方が「これで雪が降ってくれたら最高なんだがなあ」なんて話していましたが、いやあ、実に良いものを見せてもらえて大感動でした。奥穂に登れなくなったものの、十分におつりが来る極楽浄土の風景でした。
一方、そのわが身を一夜預けた山小屋はというと、話に聞き、電話で事前に確認もし、そして覚悟もしていたとはいえ、超弩級の完璧な激込み地獄でした。「布団1枚に3人寝ていただきます」「はい、三畳に9人です」という小屋の人の説明は嘘ではなく、誇張抜きのサーディン缶、クンタキンテ（分かるかな？）の奴隷船待遇です。遅く来た人は布団すらなく、玄関にもあふれる人人人。
何がツライと言ったって、トイレが…。男の小はともかく、大勢いた女性陣は病気にならないのかと心配になります。朝などは暗いうちから軽く100mを超す行列ができていました。
秋の3連休、紅葉の涸沢、二度と見られないカール＋紅葉＋初冠雪の絶景。ハイ、二度と連休に見に来たりはしません！
※ ※ ※
長野に転勤した同僚Aから「北アルプス連れて行ってくれ」とオファーが来た。といっても日程の取れるのは10月の3連休だけ。「激混み承知の体験ツアーと思えばいい」ということで、金曜夜にA宅に前泊して紅葉真っ盛りの涸沢を目指した。
◆6日：土曜午前7時の上高地バスターミナルは、まだバスが少なくて広々しているが、既にトイレは短いが行列ができていた。天気は幸い高曇りで、岳沢から前穂の稜線もすべて見える。冷え込みはないが、やはり秋らしく空気が澄んでいる印象だ。
河童橋を横目に林の中に入る。まだ観光客は少なくて、代わりにテントらしき大荷物の目立つ登山者が引きも切らない。盛夏でもないのに水筒のスポーツドリンクを凍らせてきてしまったAが、明神館でペットボトルの水を補給した。ここまでは自動販売機も普通にあり、500�佞�200円。
徳沢園のトイレは男性も20mほど並んでいた。9月初めに槍〜穂高を縦走した時とは人の数が明らかに違う。とりあえず道幅もあるので追い抜きやすれ違いに不便はないが、横尾で橋を渡った先は人間渋滞が必至だろう。
その横尾で一休み。広々した山荘の前が人であふれている。皆さん、うきうきした様子で次々と吊り橋に続く階段を上っていく。槍沢へ向かう人は少なくて、多くが涸沢を目指すとみた。エライことだ。ユラユラ大揺れの橋を渡り、やがて左に屏風岩がそそり立つようになると勾配が増して道も細くなり、すれ違いで行列ができるようになった。正面高く北穂の頂上が見えてしばらくで本谷橋。ここも休憩の人であふれており、対岸の急登はすでに渋滞していた。先が不安なので我々も素早くお握りの弁当を済ませた。
ジグザグの急坂は立ち止まっている時間の方が長いほど。おかげで息も上がらなかったが、よろよろおぼつかない足取りで降りてくる太めの高齢女性などを待っていると、せめて混雑時は入山をご遠慮いただきたいなと思ってしまう。
ようやく前穂の右に奥穂とカールの上部が覗き、周囲の木々の紅葉も鮮やかになってきた。渋滞のおかげで景色を楽しむ時間はたっぷりある。真っ赤に色づいたナナカマドの向こうに連なる穂高連峰とカール地形。カレンダーやポスターの紅葉の写真は多少彩度が加工されているものも多いが、ここのは嘘偽りない色であることがよく分かった。
止まっては歩きの牛歩を続けて午後1時過ぎに絶景の涸沢ヒュッテに着いた。予約していないので冷や冷やしながら窓口に行くと、何らお咎めもなく、ただし一言、受付の女性はサラリと「きょうは6人部屋に18人で寝てもらいます」と付け加えた。「畳3畳当たり9人？」
割り当てられたのは食堂脇のツガザクラという一角。相当早く着いたつもりだったが、既に2人が熟睡中で、ほかに2人が談笑中だった。Aも寝るというので、一人で屋上のテラスへ出て紅葉のカールの絶景を堪能した。とにかく赤が鮮やかで、黄葉や這松の緑、白っぽいカールの岩と素晴らしいコントラストを描いている。
景色もすごいが人もすごい。名物のおでんは15分待ちの行列で、テント村も物凄い数。北穂の下の涸沢小屋でも大勢の人が動いているのが見える。当然、トイレも大変なことになっていて、つくづく男に生まれて良かったと思った。部屋に戻って休んでいると、早くも4時に「ツガザクラの方、食事の用意ができたので食べてください」と呼び出しが。食事は5時からのはずだが、混雑で始まりを早めたらしい。列を作って待っている人もいたが、我々は食堂脇の部屋なので混乱しないよう先に誘導してくれたようでラッキーだった。
食事を終えると、もうすることがない。愛知県の春日井から来たというカメラ好きの男性は事前に予約していたそうだが、結局、飛び込み組と同じ一つ布団に3人の待遇だった。もっとも、別の人によると、繁忙期はそれがルールなのだとか。
「本当にそんなに人が来るのかな」などと半信半疑で話していると、次々に新客が来て話が現実味を帯びてきた。「トイレがすごい行列だ」「おい、まだチェックインしてるぞ」「玄関、廊下まで一杯の人をどこに寝かすんだ？」「もう布団はありませんなんて言ってるぞ」……。外を見てきた人から恐ろしい情報が次々に入る。奴隷船待遇でも我々は“VIP奴隷”並みの扱いではあるようだ。
暗くなるのを待ってテント村の夜景を見に外へ出た。向こうには涸沢小屋の温かい明かりも見える。あいにく星は見えない。部屋へ戻ると雨が降り出したので、いいタイミングだったようだ。その後、オイルサーディンのようになって寝ようと努めていると、屋根を激しくたたく雨の音が聞こえた。明日の天気を心配するうち、いつしか眠りについた。
◆7日：午前3時半過ぎ、人の動く気配で目が覚めた。4時、朝食が始まったとの情報が。朝も早めにスタートするらしいが、今度は呼び出しがない。同室の人と4時過ぎに並び、4時半ごろ食事にありつくことができた。9月の槍沢同様、団体客が優先で座っていく。何とか公平にやってもらう手はないのだろうか。
さて、早く食事が済んだので、初めてのAでも余裕をもって奥穂高が越えられるだろうと偵察に出ると、宿の人が「奥穂は積雪10�僂如⊇話�者以外は登れません」と声を張り上げていた。「ウソだろ？」と見上げてみれば、2700mあたりから上の岩稜が白く染まっていた。昨夜、春日井の男性が「ここに2泊して天気を待ちます。もし雪が降ってくれたら、いい写真になるのですが」と話していたのを思い出す。彼は大喜びだろうが、これでは奥穂は登れない。
パノラマコースで下山と決めて、しばし雪化粧のカールを見物する。この辺は雨だったのでレインウエア上下を着こみ、改めて出発しようとすると、ちょうどカールが日の出を迎えて輝きだした。まさに息をのむ絶景だ。もう一度撮影に時間を使って、名残を惜しみつつヒュッテを出た。
歩き出すと暑い。それに藪っぽくはないので雫が服に付くこともなく、二人とも早々にレインウエアを脱いだ。年輩だがしっかりした足取りの女性に道を譲り、ロープ場に慣れていないAのペースで安全にルートを辿る。涸沢ヒュッテを包み込むカール全景が見え、横尾本谷上部のカールの左には南岳らしき岩峰と北穂が聳え立つ。「パノラマ」の名は伊達ではない。
屏風の耳はまたの機会に譲って一路下山に入る。軽いロープ場をクリアして快調に降りて来たが、2000m以下の樹林帯に入って苔の生えた小さめの岩が曲者で、2人とも何度かスリップしかけた。やがて、岩に「涸沢→」と書いた大きなガレ場に至ると、下に梓川の河原が見えた。さらに一投足で松高ルンゼ〜奥又白池へ至る中島新道分岐。ほどなく林道歩きに変わって午前10時半、新村橋に到着した。
昼は徳沢園で採ることにした。といっても、例によって非常食兼用でzaoluckが持参したアルファ米の山食と粉末スープ。代わりにAがソフトクリームをおごってくれた。さすがに目の前を行きかう登山者の数は昨日ほどではない。
最終コースは時間も早いことだし、話の種の追加に自然探勝路経由とした。ペースの合わない観光客を何度か抜くことになったが、人間渋滞というほどのことはなく、一層にぎやかな河童橋に辿り着いた。振り向くと、岳沢上部はガスに隠れ、その中ではまた雪が降っているのかもしれない。奥穂〜重太郎新道経由の下山はやめにして正解だった。
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