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反射的にそうすることで、何の疑いもなく尻をおろすと、そのまま便器に尻が落ちて、便座にすっぽり嵌まる。
「ヒァ−冷たい」「ありゃりゃ」である。
極めて稀な出来事であるが、何回かはある。
有り得ないだろうが、これを書いていて想像した。
立派なお尻の女性が私と同じように便座にスポット嵌まって、尻が抜けなくなったらどうするだろう?
幸い私の尻は小さかったので、冷たいだけで済んだが、などと。
同じような事は、習慣的に行う行為に多い。
洗面台の同じ場所に、へア−トニックとシェ−ビングクリ−ムが置いてある。普段は決して間違えることはないが、何かの拍子に無意識に手が伸びシェ−ビングクリ −ムを頭に吹きかけるとか、ヘア−トニックを手にとり、思わず顔へ持っていくとか、何をやっているんだということがたびたび起こるようになると、嫌な兆候である。
うっかりは誰しもあるが、それが繰り返されると、「オイオイ大丈夫か」である。
そんな事が続くと、頭のネジが切れるか切れないかの岐路にさしかかっているのかと、疑念が湧いてくる。
靴下の裏表はまだ許される。
シャツの裏表は家人の目に触れるので「シャツが裏返しだよ」と指摘され、またかという冷たい視線が飛んでくると、痴呆という無言の言葉を突き付けられているようで、動悸が速まる。
まさかそれでポックリいくことはないが、痴呆予備軍と見なされると、周囲の哀れむような眼を意識せざるをえない。
できるだけ何食わぬ顔で、まともを装うが、近頃自分でも納得せざるをえない事象が増えると「弱ったな」と苦笑いで誤魔化しながら、この先どうなるだろうと、内心ドキドキである。
完全にボケてしまえば我関せずになるが、その一歩手前状態だと何かと危ない。なまじ意識が正常な時もあるので、自分を過信してしまうから始末が悪い。オレオレ詐欺に騙されるのも、こんな状態の時のような気がする。
こういったことは何れ誰しも避けて通れぬ道であるが、こんなことを考えられるうちは、少しは猶予があると思って、今はやり残していることを、やっておきたいと思うのであるが…。
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