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そんなYさんとのコラボレーション第一弾は残雪期の谷川岳である。もっとも実際はYさんに連れていってもらったと言うべきだろう。初めは厳剛新道を登る予定で、登山指導センターから登山口に行ってみたら通行止めになっていた。仕方がないので土合口まで引き返し、ロープウェイで天神平に上がった。
前月初めての雪山として登った大菩薩嶺と違い、本格的な雪山だった。アイゼンを装着し、天神峠を9時45分にスタートして天神尾根を登った。雲が低く垂れこめていたものの、展望は良かった。肩ノ小屋は雪に埋もれていて赤茶色の屋根だけが出ていた。山頂に着くころはガスって展望はなくなっていた。トマの耳11時45分、オキの耳12時10分。
山頂で行動食の昼食を取った後、12時34分に下山開始し、西黒尾根を降りた。いつの間にかガスは晴れて周囲の山々も良く見えた。下り始めると西黒尾根の急傾斜が目に入る。上から見たらほとんど90度近くに感じてむちゃくちゃ怖かった。Yさんは雪の急斜面を平気でスタスタと前向きに降りるのだが、自分は怖くて後ろ向きになって手も使って降りた。もちろんピッケルなど持っていない。一度だけアイゼン(8本爪)が効かずにズルズルと滑り出したことがあった。慌てて指を雪に強く突っ込み、足も踏ん張ってなんとか止まったが、止まらなかったら100mは滑落していただろう。生きた心地がしなかった。
西黒尾根は人がほとんど歩いていなかったので雪が柔らかく、吹き溜まりでは腰下まで足がズボズボ入って歩くのに相当苦労した。ふだんと違う筋肉を使うので太腿が痛くなり、けいれんが起きた。Yさんが持っていた痛み止めをスプレーしてもらってなんとかしのいだ。それやこれやでなんとか下山し、登山指導センターに16時4分に戻った。
ほろ苦い谷川岳デビューとなったせいもあり、その後は足が遠のき、再登頂したのは9年後の2017年1月だった。2015年秋に谷川岳の前衛峰、朝日岳から眺めた谷川岳は、不思議な魅力を備えた山に映った。ともあれ、アイゼンワークの未熟さ、痛み止めスプレーの効果、Yさんの実力を実感できた貴重な初山行だったといえる。自分にとって「魔の山」にならずに良かった。
写真左:トマの耳
写真中:オキの耳
写真右:西黒尾根
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