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2019年09月11日 10:10独り言全体に公開

百名山の思い出−59座目:剱岳 2009年9月19日

剱岳と槍ヶ岳、奥穂高岳は岩場、難所が多く、百名山の中でもっとも技術的に難しい山と認識していた。他にも体力を要する山はたくさんあるが、技術面ではこの三山が自分的には最高難度の山である。自己流で登っている自分は岩場踏破に必須の三点確保も知らないし、出来ない。自信もない。これじゃ登る資格はないと自覚し、岩場教室に入ることにした。いろいろ探した結果、岩崎元郎さんの無名山塾が主催している日和田山での岩場講習会に参加した。6月と7月の2回参加して岩登りの基本を教わり、満を持して剱岳に挑戦した。

元々7月末に同僚Yさんと行く計画を立てていたのだが、直前に雨予報に変わったので大事を取って延期した。ところが自分たちが剱岳に登る予定だった日に、雨で濡れた岩場で女性が滑落して死亡するというショッキングなニュースがあった。山行を強行しなくて正解だったとYさんと胸をなでおろした。

前日の夕食前、この日知り合ったKさんと剣山荘の前にいたら、女性が「明日剱岳に登りたいが、単独では怖いので一緒に行って欲しい」と言う。断る理由もないので3人で登ることにした。Mさんという富山の方で自分より1歳年上だそうだ。

翌朝5時前、剣山荘を3人で出発。一服剱、前剱(救助隊員はマエツルギではなくゼンケンと呼ぶ)、前剱の門(ゼンケンノモン)、平蔵の頭と順調に来て、平蔵のコルを過ぎるといよいよ最難関のカニのたてばいが待っていた。すでに小渋滞気味。少し待ってから取り付き始めた。

カニのタテバイの最初の足場はコンパスの短い自分には大変だったが、そこを過ぎると手掛かり足掛かり、それに丈夫な鎖も配置されており、思ったより難なく進めた。鎖もあまり握らなくても三点確保で登れた。岩場練習のおかげであろう。心配していたMさんも問題なく付いてくる。カニのタテバイを越え、最後の登りを終えると8時2分剱岳山頂に着いた。

快晴で下界は雲海に覆われていた。雲海の上に立山三山、奥大日岳、毛勝山、後立山連峰、槍など北アルプスの山々。間近には八峰の鋭い岩峰も見えて飽きることがなかった。去り難かったが一緒に記念写真を撮り、8時25分下山開始。カニのヨコバイを下る。初めの一歩が怖い。降り始めると手掛かり足掛かり、鎖に助けられ、ゆっくりだが問題なく降りられた。Mさんは急斜面でピースサインするなど余裕も出てきた。難所も慎重に下り、剣山荘に11時20分に戻る。預けていた荷物を受け取って室堂に向かった。

剱御前小舎から新室堂乗越へ廻って、錦秋の紅葉を楽しみながら雷鳥沢に下り、ミクリガ池を通って14時50分室堂ターミナルに到着した。魔の山剱岳ということで緊張していたが、Kさん、Mさんという心強い連れが出来たことで安心して登れた。かくして最初の難関は無事クリアできた。思ったほど難儀しなかったのは岩場練習の賜物である。

二人とはその後も交友が続いている。特にMさんとは八ヶ岳や北信の山をご一緒したし、九州の山を案内したこともある。親不知〜扇沢縦走や日本横断の折り、応援に駆けつけてもらったし、後に富山で入院した際は身の回りのお世話をしてもらったりもした。良い人と出会ったと感謝している。

その後、2015年8月日本横断をした際、早月尾根から剱岳に登り、剣沢に降りた。25kgのザックを担いでいたので慎重のうえにも慎重に下った。2017年7月には初登頂と同じコースで立山を経由して剣山荘に入り、二日目剱岳を目指したのだが、平蔵のコルを過ぎたあたりで滑落してしまい、富山県警山岳救助隊のお世話になってしまった。事故はローカル新聞に載り、テレビニュースでも流れた。登山人生の中で最悪の恥ずかしい記録である。慢心があったのかもしれない。緊急入院した富山市内の病院にMさんが駆けつけてくれて身の回りの世話をしてもらった。救助隊へのお礼参りを兼ねて紅葉の時期に裏剱に行きたいと思い昨秋計画したのだが、ダブル台風が来襲したので中止した。今年こそはと思っていたのに7月にアキレス腱を切ってしまった。来年こそは行けるよう、リハビリを頑張らねば。

写真左:別山から
写真中:剱岳山頂
写真右:早川尾根から(2015年)
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