山に登る前に読む本 (ブルーバックス) 能勢 博 (著)
http://is.gd/ZTVo0D
すでに山に登ってしまっているし、あれこれ勉強もしていたのでこの手の本はもう大丈夫かな、と思っていたけれど、なんのなんの!
生理学的科学的で、さまざまな実験データと計算式をこれでもかと並べられて説明される格別の説得力に参りました。「中高年がバテる流れ」「体力のない人を二番めにする根拠」「年齢に合わせた山を選ぶ理由」「どうして疲れるのか、体力の回復はどのような流れなのか、どうしたらよいのか」などなど。蛍光ペン引きまくりです。
〜ポイント〜
1、筋肉内のグリコーゲン量(ブドウ糖)を意識する。→持久力が関係
2、乳酸を産生しないようできるだけゆっくり速度で行動。荷物を軽く。→疲労が関係
3、適度な休息と糖質の補給。→回復が関係
↓
これを無理をすると、キツい山行になるしペースも落ちるし、筋肉や関節の異常などにつながりケガや遭難につながる。
<グリコーゲンが大切>
持久力の高い人(高い心肺機能、濃い血液、高いエネルギー生産能力の筋肉)とちがい、持久力のない人(最大酸素消費量の低い人)はブドウ糖の消費速度が早い。
そういう人は筋肉量も低く、グリコーゲン貯金が少なくて、早く「燃料切れ」になってバテる。(どおりですぐにお腹がぐーぐ鳴るわけだ)
↓
登山の前にあらかじめ炭水化物をとって、筋肉内にグリ貯金しておく。
登山中に枯渇させると回復に時間がかかるので節約大事。
グリコーゲンが枯渇した直後に、高炭水化物食を摂取すると、以前より貯金量がアップするので、運動直後30分以内に摂取すること。(その貯金量UPフィーバーは運動終了後1時間で減少なので)→ 結果、持久力も向上するし、疲労回復にもなる。
<登山のスピードは個人の体力に依存する>
体力のある人と同じスピードで動くとバテて、かえって足を引っ張ることにも。
体力の低下分、登山時間を余分に想定すべき。
とりあえず、体重を減らす、荷物を減らす、ストックの補助。
そして体力をつけるトレーニング。
スポーツドリンクは効果あり→ ナトリウムイオンとブドウ糖が重要。低塩や低糖は意味なし、薄めて飲むのではなくそのままがよい。
<低体温症になる速度は思ったより早い>
トムラウシ遭難事故の例だと、日中気温8〜10℃風速は20〜25mで、登山続行限界時間は40分しかなく動きが止まったら限界時間は15分の計算となり、雨だったのでもっと短縮。2012年の白馬岳の例だと、わずか22分、動きを止めたら10分で低体温症になり、もたもたしてたらあっというまに意識障害に陥っただろうと。
「若者であろうが中高年であろうが、このような非常事態に遭遇した際の限界時間は限られている」・・・うはー。
非常事態に備える装備、天候の変化を予測する能力、早く移動するスピードと体力。
とっても勉強になりました。
なかなか理論的科学的にまとまった書籍ですよね。
わたしもお気に入りの一冊です。
181ページから187ページの色々な計算式は写真に撮ってスマホでいつでも見れるようにしています。
おぉそうですよね!
最後の計算式もつかってらっしゃるのですね、すばらしい〜
私は計算が苦手なのでそこはななめ読みでしたが(笑)一冊の本からたくさんのことを学べて、これは読んでよかった!と思いました。
他にもなにかお気にいりの一冊があればぜひお勧めください(*^_^*)
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する