高僧にたずねたこと。(10月21日)
品のいいお坊さんが、マッサージのお礼にといってポットとコーヒーを持ってきてくれて、みんなに振舞ってくれた。とてもやさしそうなのだが威厳がある方なのだ。その方を見ていて急に、VTCの生徒に「耐える」ことを教える例として、お寺での修行と同じではないかとひらめいた。
お坊さんの世界の階位はわからないけれど、最初の修行でも何年かは我慢しなければ認められないわけだから、そのことを尋ねようと思い、ナースたちと話をしているところへ切り込んだ。
自己紹介をして、「お尋ねしてもいいですか」と切り出した。お坊さんは英語は得意ではないようで、看護師のナーセルが通訳してくれた。
ナーセルには、VTCの生徒たちに、「忍耐」ということを教えたいので、お寺でのお坊さんの修行について聞きたいと説明した。そして最初にお坊さんになって修行はどのくらい必要ですか」とたずねたら、お坊さんは「10年」といわれた。
「職業訓練学校で学んで、実社会に出て職業についても、1年や2年で職場を変えたり、仕事を変えてしまい、職業のがつくれない。最低でも10年は耐えないといけない。それはお寺の修行を、この社会でするのと同じだと思う。だからその10年間を我慢すること、忍耐することの大事さを言いたいのです」と説明した。
思わぬ質問に驚かれたようにも思えるが、「耐えるためには自分の心をコントロールすることが大事だ」と答えてくれた。
私の質問というか、私の思いは、むしろナムセルを驚かせたように思う。ナムセルが私の意図をチベット語で真剣に説明してくれていた。そして本人も、私の言わんとすることを理解して、同意するのだった。
「私は70歳で、たくさんの経験があるから忍耐の大事さをわかるけれど、若い人たちはそれがわからない。ましてたくさんの誘惑や欲望がある。そこで自分の心を目標に向けてコントロールするのは大変だと思うけれど、キャリアがその人のトラースト(信用)を作るのだから、その大事さを話したいのです」と言うと、お坊さんは私が70歳であることに驚かれたようで、私の言いたいことを理解してくれた。
この時間は貴重であった。後でわかったことだが、このお坊さんはダライラマのおそばにいるかなりの高僧なのだという。
ナムセルの英語がもっと理解できたら、また違った言い方ができたかも知れないが、VTCの生徒に、「忍耐」を教える例として最適なのはお寺での修行に託して語るのが良いと言う確信をもった。
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