長い連休になると、遠征する人が多く厳しい山は別にして、複数の山をまとめて登る人が多い。私もそうだ。九州に行ったときは、前の日、祖母山で会った二人連れと、次の日阿蘇山で再会した。たしか福岡と言っていたが、似たような行程で回っているようだ。ちょっとばかり話し込んでしまった。九州の山は、総じて開放的でおおらかで、自然におおらかな気分になってしまうのだ。
「前回来たときはガスで何も見えず、岩のペンキが頼りだった」とか。それもあって登るつもりは無かったが、天気がよいので登ってきたとのことである。たしかにガレのだだっ広い地形ではガスがかかると方向を見失いかねない地形だ、と思った。
ロープウェイが動き出し、登山客もひっきりなしに登ってきてにぎやかになった。腕に指導員の腕章をつけている人が登山道にペンキでマーキングしていた。ほんとごくろうさまです。しかし、マークを付けているのではなく消しているのである。なんでやねん。不可解だ。
「町ばかりでなく、環境庁の係官もいっしょになって、環境上問題なので消せと言っている」「冬も登る人のためにボランティアを10年続けている」「それならばあなた達でやりなさい」と消しているのだそうだ。よほど腹に据えかねたのか、問わず語りに話しかけてきた。
岩のペンキのマークはちょっと多めかなとは思ったが、特に気にならない。環境云々の話で有れば、ロープウェイの施設はどうなのか。まして通信線の残骸の放置は問題ないのだろうか、コンクリートの道や防護柵はどうだ。先ほどマーク頼りの話が出たばかりである。マークを消せという話には同意できなかった。
大量輸送の施設を作り、大勢の観光客を呼び込みながら、不要になった施設はそのまま放置し、環境上問題だからとルート案内のペンキを消す意味が理解できない。そのころ世界遺産の話は無かったように思うが、すでに誘致運動が始まっていて、そういう判断をしたのだろうか。本当に自然を保持しようとしたら入山規制しなければ駄目でしょう。
指導員の腕章はしていたが、まったくの個人のボランテァなのではないだろうか。案外、それが気に入らなくて、役所側が主導権を取ろうとしているのかも知れないなあ。道標なら工夫の余地はあると思う。例えば、小さめのプレートにするとか細めの鉄棒をたてて、目立たない色のロープを張るとか。主導権争いとなると最後は権力を持つものが押し切ることになってしまうのであろう。
世界遺産とは言うけれど、それを起爆剤にして経済を発展させようとする例が多いのが現状だ。主客転倒すればろくなことはない。だからこそ自然との共生を図らなければならないのだ。阿蘇の現状がどうなっているのかは分からないが、自然に親しむという行為の安全が確保され、自然保護の整備もきちんと行われていることを願わずにはいられません。
写真左 阿蘇も寒い ツララが下がっている
写真中 ミヤマキリシマ
写真右 阿蘇の景色は雄大 空に朝の月?
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