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2017年03月10日 16:18山たびの軌跡全体に公開

スキーでアプローチ ハツ峰

山たびの軌跡 第49回 阿賀町の阿賀野川沿いには個性的な山が多い。先日登った引入沢山などもそうだ。三川温泉の奥、馬ノ髪山の東方にある急峻な山が八ツ峰である。その先端は、いつ雪崩れ落ちてもおかしくないような、台形の一枚バーンである。ちょっと見には、とても登れそうに無い、と思ってしまう。しかし、良く良く見れば、灌木の続く峰があり、それ沿いに登れそうなのである。急峻であればあるほど、登ってみたい欲求は大きくなっていく。

新谷から新谷川沿いの林道を走る。人品頭山を経由したりするコースも考えられるが、今回は、林道をスキーでアプローチする。一帯は、杉の植林地になっていて、なだらかな丘陵地である。陰気くさい杉林や、長い変化のない所を延々とワカンで歩くのは難儀なものである。スノーシューは、まだ持っていなかった。

林道入り口がちょうど広くなっていて、そこに車を置く。林道綱木新谷線終点と標識がある。立木に赤いペンキの塗られた、波板鉄板が巻かれているのは異様な風景だ。巻かれているのが、栗の木なので、熊除けなのであろう。木登りの上手な熊も、これがあると、登れないと聞いたことがある。

この林道は、出だしの屈曲が激しいので、ショートカットして杉林の中を進んだ。二カ所ショートカットして、後は道なりに進む。雪が締まって、潜ることはない。2cm位、新雪が積もっている。なだらかな林道で、シールを付けない方が、スピードは稼げそうな感じである。最初の杉林は、5m位の背丈だが、直ぐに植林したばかりの杉林となり、馬ノ髪山や八ツ峰はもちろん、五頭山や、白山などの展望が開けてくる。

小鳥の澄んださえずりが賑やかである。林道を横断するカモシカの足跡が多い。狐や狸の足跡もある。熊のような足跡が出てきたが、熊は未だ冬眠のはずである。なんだか分けの分からない足跡である。杉林に大きな猿が一匹歩いているのが見えた。「おっ、猿だ!」と思ったら、ぞろぞろと続いていた。分けの分からない足跡は、猿のものだったのである。

沢を渡る手前が、切り通しになっていて、そこが今回の取り付き点である。スキーとストックを立てっぱなしにして、沢の左岸沿いに登る。誰もいないので、どこに何を置こうが勝手気ままである。壺足で、くるぶしくらいまで潜ったが、ワカンは無くても大丈夫である。時々、ズボッと潜るのは愛嬌だ。

最初考えた、沢源頭からの尾根は、とても登れそうになかった。尾根先端の左側に、松の木の生えた尾根と、その隣に、灌木の尾根があり、そのどちらかしか登れそうに無かった。沢源頭の下を、対岸へ渡り、大きな岩の脇を灌木掴みで対岸に上がる。そこから少し進んで、尾根取り付きに出る。灌木の尾根は登れそうになかったので、松の木の尾根を登る。

遠目には急でも、近くで見ると大したことはない、というパターンは多いが、見た目通りの急登である。雪は適度に緩んでいるのでピッケルは必要なかった。藪を掴みながら、一歩一歩キックステップで登る。掴んだ、くろもじの木が折れたら良い香りがした。馬ノ髪山の雪庇が、今にも崩れ落ちそうである。振り返れば、五頭の山並み。笠菅山が大きい。

稜線に出ると、冷たい風が吹き付けた。蒜場山が覆い被さるように広がっている。八ツ峰の稜線が緩やかな曲線を描いて、俎倉山へ収斂する。稜線の雪庇は、今にも崩れ落ちんばかりである。長居は無用。一休みして、すぐに降りる。約30分かかった尾根の登りも、下りは約5分。それだけ急登だったのだ。

あとは林道をスキーで下るだけだ。先が見えたのでデポ地で一服入れた。山スキーの一服は、「パイプの煙」なのだろうが、タバコを吸わない私には縁がない。一息入れて、出発。うっすらと積もった新雪にワックスが合わないのか、スピードは出ない。もっとも、なだらかな林道で、スピードを期待する方が無理、というものである。自然にスケーティングになった。ところどころ凍った雪面が出ていて、スキーがカリカリと音を立てた。耳を切る風の音。小鳥のさえずり。

オッ!オーッ! シーハイル!!

写真左:新谷付近から八ツ峰方面 中央奥が八ツ峰
写真中:八ツ峰から爼倉山へ続く稜線
写真右:蒜場山へと続く稜線 奥には飯豊主稜が連なる
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コメント

RE: スキーでアプローチ ハツ峰
森の中をスキーで下りれたら楽しいでしょうね。

バックカントリー板+ビンディング+靴
ため息が出ます(;'∀')
年齢とともに勇気と担ぐ力もなくなり
勇気だけあっても
もし登ることができなかったらと
投資が怖くて
この冬も見て見ぬふりをしました。
2017/3/10 17:30
絵に描いた餅
hobbitさん こんばんは。

いま、夕飯終って、ちょっとのんびりしているところです。テレビなんかで見ると、新雪を切り裂いて雪煙を上げて、カッコいいですよね。だけど、私にとって現実は厳しかったです。靴とストックは山登りの物を使えますが、板とビンディングとシールは新規購入ですから、思わぬ出費です(-_-;)

山スキーは基本、リフトなんてないですから担ぎ上げなくてはならないんです。私は、残雪期だけですね山頂から滑ったことが有るのは、スキーは担ぎ上げます。重いんです。シール登行も楽じゃないです。深雪ではどうしようもありません。そんなわけでアプローチの林道だけスキーを利用し、ピークはツボ足やワカンで往復する、というパターンばかりです。下りは楽だと思いますが、スピード出過ぎるとストックでブレーキかけたりします。林道は狭いし、ちょっと大変。しかし、五月晴れの下、広い斜面での滑降は、間違いなく爽快です。今は、スキーも古くなったので全然やっていません。

技術、体力、気力が伴っていれば快適なんでしょうが、山スキーは私にとって、絵に描いた餅でした。情けないです(+_+)
2017/3/10 20:26
RE: スキーでアプローチ ハツ峰
こんにちわ

地形図をみると雪崩が怖そうですが、中々の魅惑的な山容ですね。
マニアックな狙い目は流石で、myoukohiuti さんらしいです。
長い残雪のアプローチ、往復徒歩では日帰りが厳しいのでしょうね。

関東は今シーズンも積雪が少ないようです。阿賀山域は例年比どうでしょうか?
阿賀町には魅力的な山が多く、小生もついつい足が向いてしまいます。
2017/3/12 18:43
始動しましたね(^^)/
こんばんは tonkaraさん

身近な所から活動再開ですね。私はセツブンソウ見たことないんですね。神さんに案内してもらって一度行って見たいと思っているのですが実現していません。ちょっと遠いですから。

こちらの雪は、昨年と同じくらいじゃないでしょうか。阿賀町にはホント個性的な山が多いですね。実は今日、八ツ峰の方に行って来たんです。新谷から棒掛山を目指しました。距離が長いので体力と気力が課題だと思ってましたが見事に”敗退”しました(-_-;) しかし、八ツ峰とか馬ノ髪山等、それらしい雰囲気の写真は撮れました。近いうちアップします、といっても時間はかかるかもしれませんが、お役に立てば幸いです。
2017/3/12 20:05
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