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たまたま同じ場所で休憩していた壮年期の男性で、軽く挨拶をすると、大きな声で挨拶を返してくれました。褐色の肌、短く刈り込まれた白髪、Tシャツ越しに分かる筋骨隆々の体躯、100Lくらいはありそうな大型のザック。かなり山に慣れた様子に見えました。名前はAさんという方で(以下A氏)、厳つい外見とは裏腹に、話をしてみると、非常に気さくで笑顔の絶えない方でした。
世間話のつもりで、「荷物大きいですね、どこまで行くんですか?」と定番の質問をしてみたところ、「今日で入山24日目です。北アルプスを一回りしているんですよ!」と、想定外の返事が返ってきました。大きな荷物だったので長期縦走のように見えましたが、さすがに1ヵ月近くの行程とは思わず、非常に驚きました。上高地から入山し、穂高、槍を縦走し、鷲羽・水晶等の黒部源流の山々、立山、剱、白馬・鹿島槍等の後立山連峰等を歩き、後1週間くらいで下山する予定とのこと。ジャンダルム、大キレット、八峰キレット、不帰ノ嶮、剱岳等の難所を越えて、隈なく北アルプスを歩いているとのことでした。自分も長期縦走に憧れがありとても興味深く、色々と話を伺うと、景色の良かった場所、雰囲気の良かった山小屋、苦労したルート等、様々な話をしてくれました。ザックの中には筋トレ器具も入っており、山小屋で停滞の際には筋トレもしていたとのこと(笑)。
山の話以外にも世間話をして、A氏の年齢は50台前半であること、仕事は契約更新の時期であるため、まとまった休みがとれて今回の山行に臨んでいることを教えてくれました。また、若い頃はサーフィンに熱中して様々な海に出向いたり、海外放浪をして過ごしていたとのこと。それらのエピソードだけ聞けば、自由奔放に人生を謳歌してきたのかと感じますが、配偶者とは離別されており、父子家庭で子育てをしていた時期があること、家庭の事情で40歳台でまったく業種の違う仕事に転職されたこと等、苦労された話も教えてくれました。お子さんは成人され、子育ても終わっているそうで、「子供からしたらふざけた父親に感じるかも知れないけど、遊びの事だけは何でも教えてあげられると思います。たまにはこんな父親がいても良いでしょう」と笑いながら話してくれました。父親としての役割も全うしながら、苦労もしつつ自身の人生も謳歌されているようで、とてもハツラツとされている様子が印象的でした。
A氏の話を聞きながら自分を顧みると、自分はまだまだ子育ての最中で、好きな時に好きなだけ山へ行くのは難しく、長期縦走への憧れはあるものの年に数回の1泊2日の登山が精々です。いずれA氏と同じ年代になり子育てを終え、時間の余裕が生まれたら「好きな山に登りまくろう!!」と考えていますが、その頃に、自分の趣味を満喫できるだけの気力、体力があるのか疑問に感じることが多々ありました。しかし今回、エネルギー溢れるA氏と出会い、話したことで、自分の15年後、20年後に希望を持てた気がします。もちろん子育て以外にも、その時々で仕事や社会的な役割も増えていると思いますが、自分の生き方優先で好きなように生きていきたいなと感じます。
別れ際にA氏が言いました。「僕はねぇ、120歳まで生きようと思ってるんですよ!そして死ぬときに“楽しかったー!!”って言いながら死にたいですね。」「人生の道だけは踏み外さないようにね、他は好きにしたら良いと思いますよ!」再びA氏は大きなザックを担いで、颯爽と裏銀座の稜線を歩き始めました。
自分もいつか、A氏のような活き活きとしたエネルギーの溢れる、格好良いおじさんになりたいと思います。体力維持のためのランニングは習慣になりましたが、今度は筋トレも始めないと(笑)。
画像:野口五郎岳から水晶岳に向かうA氏
その方、私が先日の後立山縦走の途中でお会いした方と同一人物だろうと思われます。
お聞きしたところでは、ほぼ1か月、夢のような北アルプス徘徊山行で、ただただ「ほーっ!」とお話をうかがっていましたが、その活き活きとした表情や姿がとても眩しく、実に羨ましく思ったところです。ご無事に計画を完遂されることを祈りつつお別れしました。
思ったことをきちんと計画して実行に移す。文字にすれば簡単なことのようですが、実際にはなかなかそうはいかないのが人生。
「楽しかったー!」と死ねる人生にしたいものです。
きっと同一人物ですね。本当に羨ましくなる山行ですよね!行程の凄さもさることながら、あのパワフルな活き活きとしたした姿に感銘を受けました。とても気さくで親しみやすい方でしたし、本当にあんな風に歳を重ねたいと感じました。限られた人生、後悔しないように過ごしたいものです。
daveggさんも5日間の後立山の縦走、満喫されたようですね。自分もいつか八峰キレット〜五竜へのルートを歩いてみたいものです。
今後も充実した山行が出来ることをお祈りしています、コメントありがとうございました!
そうですね、本当に前向きオーラが物凄く出ていました!誰しも様々な苦労があるのでしょうが、それを苦労として捉えるかそうでないかで、人生の充実度が大きく違う気がします。自分も前向きな人生を送っていきたいものです。コメントありがとうございました!
私も、格好良いおっちゃんと祖母谷温泉でお会いしましたよ。焼岳から歩き始めて北アの稜線を繋いで、ちょうど13日目と仰ってました。台風の影響でその日は、お互い停滞日だったこともあり、露天風呂で長いこと山談義して盛り上がりました。その方とは翌日、黒部宇奈月温泉駅で、固い握手をしてお別れしました。
日記を拝見し、まだ元気で歩いていることを知り嬉しくなりました。青春は若者だけの特権ではない。心が若ければ、いつでも青春。またどこかでお会いできればと思います。
停滞で一緒だったんですね、さぞ色んな話をされたことでしょう。私と会った時も元気いっぱいに歩いていましたよ。kickeyさんの北アのレコ、読ませて頂きました。充実した山行だったようで羨ましいです。「心が若ければ、いつでも青春」、自分も中年と呼ばれる年齢になりつつありますが、心に留めておきたい言葉です。前向きになれるコメント、どうもありがとうございました!
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