沖縄戦から75年となり、ご存命の戦争体験者が少なくなっている。
関連して見た報道で、民間人として沖縄戦を経験した語り部に、活動を止めるように圧力を掛ける動きがあったという。
最初、意味不明だった。
まさか、あの戦争を肯定する人がいるのかと驚いたが、こういった側面もあるのでは?と思い当たった。
過去に戦争体験談を幾つも見聞きしたが、その中に「自分は何人殺した。どれだけ破壊した。」と行動を起こした側の話は記憶にない。
「やられた、辛かった、悲しかった。」と受けた側の話ばかりだった。
確かに辛い経験をされただろう。
しかし、先の報道で気になったが、加害者側の人々、人殺しなんてしたくなかったのに、それが正しい事と教え込まれて何人も人を殺した人が多数いたはずだ。
その方々(復員の方々)は後に少なからず心を痛めたのではないだろうか。
トラウマを抱えたりもしただろう。
国外の事例に目を向けると、ベトナム復員兵の問題や、ブラッドダイヤモンドなどのキーワードで見られる、強制徴収された少年兵の問題など多数あり、国内では戦争反対的材料として扱われている。
しかし、我々日本人は自分達の二代、三代前の世代に(私から見れば祖父だ)まったく同じ経験をし、辛さを内に抱えて後の人生を送った人々がいた(いる)事をほったらかしにしているのではなかろうか。
日本人の気質として、こういった類は禁忌と伏せられ、無かったことにしてしまう傾向がある。
いや、無かったことにしたいのだろう。
人殺しをしたのに「自分が悪かったんじゃない、国が悪かったのだ。」と平気な顔して公言できる人がいるだろうか。
復員の方々は口は開かねど、残された人生を罪悪感を抱きながら過ごされたのではなかろうか。
出来れば忘れたい、無かったことにしたかったのだろう。
それを思えば戦争体験を後に伝える語り部に活動を控えろと言い、戦争を忘れたい人々がいることに合点がいく。
このように、限定的とは言え公の場に提言することも、彼らの心の傷を刺激するかと躊躇ったが、敢えて形として残すことにした。
私達日本人は復員の方々への配慮、ケアをほったらかしにして、被害者面をしてきたのではなかろうか。
大いに反省し、このことを含めて戦争を後世に伝えていく義務が我々にあるのではないだろうか。
もう一度書こう。
殺人を犯してしまった方々へのメンタルケアをないがしろにしてきたのではなかろうか。
そこも含めて我々は反省すべきではなかろうか。
今、「火垂るの墓」に涙しても「ランボー」に涙が出なかった自分を恥じる。
今、この文章を書きながら思い出したことがある。
私が高校生の頃だったか…オヤジがボソッと言った。
「あの世代が死に絶えなければ戦争は終わらん。」
真意はわからない。
30年前当時、戦争現役世代(当時70代)にあの戦争を未だ肯定し続けていた人々がいたことを、私は実体験として経験している。
だから、オヤジは戦争現役世代の考えを否定してつぶやいたのだと解釈していた。
しかし、思うに戦争現役世代は肯定する事で罪悪感から逃れようとしていたのではなかろうか。
オヤジは、それを指して彼らの心の中で続いている戦争は終戦を迎えていないと言ったのではなかろうか。
お蔭様でオヤジはまだ元気だから、本人に問うこともできる。
八月が来たら聞いてみるか…。
これは永遠のテーマかな?日本のような小さい島国が諸大国の植民地にならずにこれたのはその時代の日本人が頑張って戦ってきたから(日露戦争の勝利等)。でも戦争は殺人だし日本人も大勢死んだ。なにが正しかったのかわからない。これからも戦争に対する論議は続くと思う。
edowerdさんコメントありがとうございます。
歴史に「もし」は無く、過去の積み重ねが今に繋がっているのは確かです。
ご存命の戦争体験者が少なくなっていくなか、あの時何が起きていたかを多面的に捉え、それぞれの立場から見る戦争の事実を後世に伝えていくことは、我々日本人の義務なのではないかと思います。
人間は自分(のやったこと)を肯定しないと生きていけない生き物なんで。あ、多分動物もですが。
「ピンクヘルメットは目立つために意味がある」
「悪天候で登山したがトレーニングにはなった」
などなど。
そのために自分にとって都合のいいデータだけを採用して、都合の悪いデータは無視します。
「オッサンがピンクヘルメットって恥ずかしい」
「悪天候だと土砂崩れに落石や雪崩、落雷のリスクが高まる」
というのは無視という訳です。
また続き聞かせてください!
momochanさんコメントありがとうございます。
momochanさんのレコや日記は人間の行動原理に言及したものが多いですね。
何かそういった関係に深いのですか?
おっしゃっる通り、人は行動を起こす時、その行動が正しいと思わなければ行動を起こせません。
どう考えても間違っている判断で起こす行動でも、実行する瞬間は自分は正しいと思い込んでいるようです。
問題は、その後に、やはり間違っていたと認識を正した時ですね。
無かったことに出来るのなら楽なものですが…。
日本人特有の水に流す思想は良くも悪くもだと思います。
オヤジに聞くのは…どうしましょうかねぇ、聞かない方が良い気もするし、無かったことにしてはならないとも思えるし。
暫く考えます。
そっちは本職ではなく趣味(笑)でもないのですが、仕事柄分析したり真の原因を追究することが多く、その過程でどうしても人間の心理的なところに踏みこまざるを得ない、というのが発展してこの結果です。
うーん、私なら聞かずにそっとしておくと思います。興味はあるのですが。
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