富士山固有の高山植物「フジハタザオ」について語りたい

先日、山始めて８年目で、初めて富士山に行ってきました。
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正直今まで富士山に興味がなくて、足が向かなかったのですが、その理由として、「高山植物がほとんど咲いてないらしいし、つまんなさそうw」という思いがありました。
花が好きで、花が見たくて山に登ってるタイプの人だと、同じ考えの人は結構いると思います。

実際、豊かな森が広がる富士山麓は別として（逆にあそこは希少植物の宝庫！）、富士山の森林限界以上には、いわゆる「高山植物」はあまりなく、夏の日本アルプスのお花畑に比べると、だいぶ寂しいというか、殺伐とした光景です（爆）
歴史的に見ると、若すぎる火山で、多くの高山植物のルーツとなった氷河期の遺存種が侵入できなかったのが痛い。ザレザレの火山礫だらけで環境が厳しすぎるのも、多様な植物が居ない一因でしょう。
まー、高山植物見たかったら素直に日本アルプスか、東北・北海道の山に行けってことですよね…。

また、富士山に登りに来る人で、「高山植物が見たい！」「花探ししながら登ろう」なんて奇特な人は、どっかの奇行種（爆）を除いて皆無かと思います。
実際周りの登山者は、一部奇行種を除き誰も花に見向きもしてなかったし、富士山登頂関連で花レコ的なレコが上がることもまずありません。


ですが、世界中で富士山の五合目より上にしか分布していない、
「真の富士山固有種」「富士山でしか見られない高山植物」があるんですよ。

それが、『フジハタザオ』です。

この花、今回かなりお気に入りの花になったんですが、何千何万人という富士登山者の誰からも見向きもされていなかった（爆＆泣）のがあまりに不憫だったので、ここで紹介したいと思います。


■基本情報
フジハタザオ（富士旗竿）
分類：アブラナ科ハタザオ属
学名：Arabis serrata

富士山の五合目以上に生育する、アブラナ科ハタザオ属の多年生植物。乾燥や寒さなど、厳しいストレス環境でも生きることができ、なんとあの過酷な富士山の環境で、常緑の葉を残したまま越冬するらしいです。スゲェ！
山梨県ではRDB準絶滅危惧（NT）。
花期は、6月中旬から７月下旬。
花言葉は「共に生きる」（←素敵やん…）

■見た感じ
他のハタザオ属と比べると、過酷な環境への適応なんでしょう。草丈は大きくても20cmくらいしかなく、茎も葉も全体的にガッチリした印象。
根生葉はヘラ状、茎葉は楕円形ですが、どちらもツヤと厚みのある葉で、縁は粗い鋸歯状です。
一方、花はハタザオ属にしては大きく、1-2cmくらい。アブラナ科らしい花弁4枚の、白い花を複数咲かせます。他の植物があまり無い事もありますが、結構目立つ花です。

■生えてる場所
富士山の森林限界以上、2000〜3000mに分布しています。
今回自分が通った吉田ルート、富士宮ルートともに、7〜8合目間で特によく見かけるました。
「砂礫地に咲く」と行っても、吹きさらしの場所より、岩陰、岩の割れ目に溜まった砂礫とかに咲いていた印象。

■推しポイント（笑）

荒涼とした砂礫地や岩場の間のちょっとした隙間などに、こじんまりとした草丈ながら、白く目立つ花を沢山つけます。
環境・地形的にどうしても、日本アルプスのお花畑のように、一面にうわぁーと咲き乱れる！という感じにはなりませんが、その姿はまるで「荒野に置かれたブーケ」のようです。

そして、沢山咲いているエリアがまた絶妙！
富士山の7〜8合目でよく見かけたんですが、これが、山頂は未だ遠く、しかし肉体的・精神的にそろそろ登りがキツくなってくる辺りで、登山道脇に登山者を励ますように咲いているんですよ！良くないですか！？

実際僕は今回コンディション不調もあり、富士吉田ルートの七合目以降はホントに苦しみながら登ったんですが…可憐なフジハタザオに何度も癒やされました…！
（寧ろ、キレイに咲いてるフジハタザオを見かけると、さっきまで死にかけてた（笑）のに駆け寄って、しゃがんだり這いつくばって写真を撮り、立ち上がると立ちくらみ（爆）、みたいな事を繰り返してしまいました（笑））

おなじ場所に咲いているのが、地味なイワツメクサやオンタデくらいしかなく（イワツメクサやオンタデも良いけどね）、非常に目立つ花で他にライバル（？）の花もなく、
しかも日本最高峰、世界的名山の登山ハイシーズンに咲く、世界でここにしか咲かない花とか、普通に考えたら人気高山植物ポジションにあってもおかしくないのに、富士登山者の99.9%からは見向きもされません！
不憫過ぎる〜（爆＆泣）
もうね、イマイチ人気ないってのも推したくなるポイントです。

まだもうしばらくは花期が続くので、これから富士山に登られる方は、ぜひ見てあげてください！
目立つので、無理に頑張って探さなくてもすぐ見つかると思います。というか普通に登山道脇に咲いてます（笑）
ぜひぜひ、荒野に咲く白いブーケのような花を、見てあげて下さい！

■最後に
当たり前ですが、盗掘とかみだりに傷つけたりとかは絶対に止めてくだい。
山梨県ではRDB準絶滅危惧（NT）の貴重な植物です。
それでなくても、国立公園の中なので、勝手に植物取ったりするなどは、フツーに犯罪です。
取って良いのは写真だけ。
あとはそっと見守ってあげてください。

よろしくお願いします。

コメント

くぼやん

Nao3180さん、こんばんは。
フジハタザオって固有種なんですね。全く知らなかったです。５合目より上に行く時期はいつも９月の小屋がしまる時だけ。あまり目立たない花をクローズアップするのは素晴らしいです。
見かけは普通のハタザオさんのようにも見えますが、大きさが小さいのかな。
先週は１〜２合目の森の中の花探しをしましたが、森林限界の５合目アタリまで花探しは面白いかもしれません。お疲れ様でした。

Nao3180

くぼやんさん、こんにちは。

フジハタザオ、すっかりファンになってしまいましたw
9月だと花は終わって実になってるはずだから、
よけい目立たないですよね〜。
他のハタザオ属より小柄でガッチリしてるかわり、花は結構しっかりしてて目立つ感じですよ💮💮💮

そうそう、くぼやんさんと一日違いで、
僕も富士南麓の森も探検しましたよ〜。
あのエリアも素敵ですよね！😄
でも残念ながら、僕もふーさんは見つけられませんでした😂