千曲川の堤防決壊で被害の大きかった長野市の災害ボランティアに参加した。
普段散々長野の山にお世話になっている身としては、何かここで少しでも役に立ちたい気持ちが勝り、山行は一回休むことに。
現地では、時間に集まった参加者が5人ずつのグループになり、グループごとに支持された現場(民家がほとんど)で作業を行う。
作業内容は事前に依頼されていることでそれぞれ違うが、詳細はお住まいの方とコミュニケーションを取りながら丁寧に進めていく。
用具や消耗品は地区のセンターで借りられるので、手袋や長靴など自分で用意できるものは調べて持って行った。
二日間でやった作業は、敷地を覆った土砂の撤去作業。
重機で削った土砂を土のうに入れて積み上げる。 トラックが来て搬出していく。
周りは一階が流されて柱だけで二階を支えている民家や、収穫期を迎えて真っ赤に熟した実が鈴なりのリンゴの木。ただそのリンゴは水に浸かって泥をかぶり、収穫もできない。
顔を上げるとそんな現実に囲まれていながら、ひたすら目の前の土砂にシャベルを突き刺す。
誰でもできるこの作業を、黙々とこなす手が今大量に必要なんだと思う。
そこに生活する人の心まで一緒に削り取ってしまうような「修復工事」をするのではないことを全身で感じながら、泥を被った庭石をこする。
午前、午後の時間はあっという間に過ぎてその日の作業は終了する。
片付け、備品の返却、センターで業務報告、バスで移動・・・
一日単位で作業が完了するわけでもないので翌日に持ち越しもあるが、また違うメンバーが来ることになる。
それでもその家の方からは心のこもった「ありがとう」の言葉をいただいてしまう。
こちらは時間までやって終わりの作業、皆さんは毎日終わりの見えない現実の中で、後ろを向かない強さを持っている。
「来年には頑張ってリンゴ作れるようにするからまた食べに来て!」
あの状況の中で生活しながら出せる言葉じゃない。
全国から集まるポランティアもそうだし、私たちを受け入れ、その活動を運営するスタッフの皆さん、そして誰よりも強い地元の皆さん。
助けるとか助けられるとかじゃなくて、今年の流行語になった「ワン・チーム」に二日間だけ入れてもらった気分。
とてもいい経験ができたこと、感謝しています。
来年の信州リンゴ、楽しみにしています。
皆さんが、たくさんの光の射す新しい年を迎えられますように。
(個人や住宅を特定できるような撮影は禁止だったので写真は撮っていない。
というか、レンズを向けられない。)
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