昨今、空前の登山ブームであるがゆえ、
涸沢などは、テントサイトキャパが400張程度とされている中、
なんと1200張ものテントが、涸沢カールを色とりどりに飾ったと聞きます。
今年は紅葉の季節を前にして、暴風雪が襲ったため、
槍穂稜線の紅葉の染まり加減は今ひとつといわれていますが、
それでも、山容の美しさも相俟って、
景観の壮大さは、日本でも屈指であると個人的には思います。
多くのひとびとが訪れるにつけて、
よく問題になるのが、マナーのことなのですね。
初心者のマナーが云々、とか、世相の変化に伴って云々、とか。
長く山に親しむ者にとって、当たり前の山でのルールやマナー。
たとえば、石鹸や歯磨き粉は使わない、とか、
うがいする水は吐かないで飲み込む、とか、
水場で食器を洗わない、とか、
登山者同士がすれ違うときには挨拶をする、とか、
登り優先とか、ラクの声がけとか、そういったものは、
先達の方々が長年かけて築き上げ、
ぼくたちに伝えてくださったものに相違ありません。
ルールやマナーを教えてくれるのは、
脈々と受け継がれている、山を愛してきたひとびとの心だと思います。
良心ですべてを理解できるわけではありません。
ぼくたちが当たり前だと思っているルールやマナーを
知らないひとびとがいるのは事実ですし、
訪れるひとびとが増えれば増えるだけ、その人数も比例してまた増えます。
だからといって、それを目の当たりにするぼくたちが、
ただ「初心者はマナーを知らない」と眉を顰めるだけでは、
何も解決はしません。
綺麗事に過ぎないのかもしれませんけれど、
やはり、知らないのであれば、伝えるしかないのだと思います。
ぼくは、山梨県で生まれ育った、山岳部出身の父から、
山に関する様々なことを教わりました。
ぼくたちはそうしたものを、確かに先達の方々から受け継ぎました。
だけれども、ブームはルールやマナーを教えてはくれません。
アウトドアファッション雑誌の特集では、
山での服の着こなしについては教えてくれても、
レイヤードの重要性については教えてくれないし、
ましてや、山での立ち振る舞いについては、何も教えてくれないのです。
だから、ぼくたちも、眉を顰めて排他するのではなく、
先達の方々と同じように、
ルールやマナーを受け継いでいけるように振る舞い、
啓蒙に努めるべきであると考えます。
ブームは必ず過ぎ行くものですが、
ブームが過ぎても、残るひとびとも必ずいます。
残ったひとびとが、山をより好きでいられるためには、
ブームに関係なくすでにいるぼくたちが、
伝えるというのは、とても大事なことだと思います。
・・・山を、ひとりでも多くのひとたちが好きになってくれるのは、
大変素晴らしいことですからね。
「ルールやマナーを教えてくれるのは、
脈々と受け継がれている、山を愛してきたひとびとの心」
ネット上では、あまり見かけない良い文章を読ませていただきました。ありがとう。
>ricalojpさん
こんばんは。はじめまして。
恐縮です。コメントいただき、ありがとうございます。
昨今、熟達者が初心者を排他しようとする傾向を感じまして、
筆を取る、もとい、キーを叩かせていただいた次第です。
みんなの山ですからね。
みんなで守っていきたいものです。
>motchさん
私たち夫婦は、山にのめり込んでいまだ7年ですが、
思う事は同じかもしれません。
山にのめり込み始めて、とにかく週末は山の上で
過ごしたく、かといって天気の悪い時もあり、
秋から春は「天気の悪い時は丹沢泊まり!」
と決めていました。
塔ノ岳の山小屋に泊まるのですが、西丹から
登り始める以外は昼前後の出発になります。
そうすると下山中のベテランとみられる登山者
からは、必ず声をかけられました。
「小屋泊まり?」「そう小屋ですか、いーねー。」
こういった会話の意味がわかるのには、
そう時間はかかりませんでした。
声をかけていただいた方の、本当の意味は、
私たちへの心配なのです。
この時間から登って、日没までに日帰りするのは
無理なのではないかという。
同じ山に登っているゆえの気遣いは、
惰らないでおこうと思っています。
では。
motchさん、はじめまして。
日記を拝見して、数年前私が何も分からず一人で山登りを始めたころの事を思い出しました。
山中で出会う先達者の方達は(私の場合は専ら六甲山ですが)、
私の印象としてはおせっかいすぎるほどに親切な方が多く、
山に関して色んなことを教えて(注意して)頂きました。
直接教えて頂くこともあれば、その立ち居振る舞いを見て
スマートだなと感じて真似したりも。
>>昨今、熟達者が初心者を排他しようとする傾向
気持ちが全く分からない訳ではないですが、これでは寂しいですね。
自分も登り続けていればそのうち「先達者」側になるでしょう。
その時に、マナーも、そして山の楽しさも伝えていけるようになりたいなと思いました。
私がそうしてもらったように。
長文、失礼いたしました。
>ricalojpさん
思うのですが、山は本来、文明の利器から常に離れている場所であって、
そこでモノを言うのは、ひととひととの生身の接点なのではないでしょうか。
今でこそ、携帯電話が多くのエリアをカヴァーしていますが、
昔は当然そんなものはなく、それが故に道迷いの怖さも今の比ではありません。
こんな時代ではありますが、そういう、「原点」のようなものは、
たぶんこれからもそう大きく変わることはないと思います。
大切にしていきたいものですね。
>padmaさん
こんばんは。はじめまして。
コメントいただき、ありがとうございます。
山は、熟達者から初心者まで、
誰にとっても良いものであって欲しいものです。
そして、本当の熟達者とは、技術や体力の面だけではなく、
精神的にも熟達しているものと考えます。
これからも、山を始めたばかりのころの原点を忘れず、
かつそこから積み重ねてきたものを、輪にして拡げていければよいものですね。
motchさん、はじめまして。
わたしも山を歩くのが、また山好きの集まる場が好きで、ときどきテント背負って登っていますが、
初めから単独登山のため、マナーといったものはきちんと教えてもらったことはありません。
せいぜいガイド本や山の雑誌くらいで、あとはその場の経験で学んでいってるくらいで、なのできっと知らなくて不快にさせてしまっていることもあるかと思います…。
この日記にあげていただいていた事柄で驚いたことがあるのですが、「うがいする水は吐かないで飲み込む」これ、本当ですか?!
歯磨き粉を使わないのは当然ですが、歯ブラシしたあとうがいしたらその水は草むらとかに吐いてました。…。これって、マナー違反なのでしょうか?
歯科衛生士という職業柄、そんな恐ろしいこと考えただけでもゾッとするのですが…
>minkistさん
こんばんは。はじめまして。
コメントいただき、ありがとうございます。
うがいの件、わたしは複数の方にそう教わり、実践しているのですが、
おっしゃるとおりあまり衛生的ではないので、塩を歯ブラシにつけて歯を磨き、
それで数回うがい、水は吐かないで飲む、ということをやっています。
これで果たして衛生的かどうかはわかりませんが・・・
これが広汎的にマナー違反かどうかは、わたしには判断しかねます。
ただ、登山家に歯が弱い方が多いという話を聞いたことがあります。
一応、知り合いの歯医者は大丈夫、といっているんですけれど、どうなのでしょうね・・・。
まあ、排水機能がある小屋でしたら、普通にうがいしますけれど・・・。
すごく共感できる日記と思い拝見させていただきました。
私は、山に関しては師匠に色々教えて頂きましたから
大丈夫だったんですが
今のブームの世の中、不文律であるルールやマナーを
明確に伝えるのは難しいですね。
そーいえば、え!?そうなの?とか
未だに知る知識も多いので。
↑歯の事もそうです。
motchさんの日記をヒントにコミュを作ってみるのも
いいかなぁ?と思いました。
同僚に、
道具・ウェア選び>険しくて厳しい山>自然
という順位で山登りを愛しているオトコがいます。
平日はジムで体を鍛え、週末日帰りで2000メートル超級を制覇することに無上の喜びを感じているようです。
虫嫌いなので、森林限界以上の高山を好み、
きれい好き(?)なので、山小屋へは泊まらない。
(宿泊料を払うくらいなら、最新のウェアを買いたいらしい。)
ま、だれかに迷惑かけているわけではないけど、
あまり一緒には登りたくないタイプではあります
>raichouさん
こんばんは。はじめまして。
コメントくださり、ありがとうございます。
おっしゃるとおりでして、長年築き上げた不文律をただの暗黙の了解に止めて、
「知らないほうが悪い」という風潮があるのはよくないことだと思います。
たとえば、水場で「石鹸、歯磨き粉使用禁止」などと明記している場所はごく少ないです。
そうした看板がひとつあるだけで、明確な提示と抑止力になると思います。
わたしもまだ至らぬところは多々ありますので、
今後も勉強して、いつも山に対して謙虚でありつつ、時代に即したあり方を考えていたいと思っております。
>masutaroさん
こんばんは。はじめまして。
コメントくださり、ありがとうございます。
ひとそれぞれ、確かに優先順位があると思います。
山での道具とは、山で昇華されるものですので、
山で的確に、快適に使えるものを重大視して、金をかけて選択することは、それもまた正でしょう。
しかし、そこまでキレイ好きでらっしゃったら、テン泊とか連泊なんてもっての外でしょうね
何だか、それもちともったいない気がいたします。
ま、5日以上山にいると、自分が臭くて臭くてどうしようもなくなりますけど。特に冬は
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