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これは、2014(平成26)年に事業計画され、全長約5km、うち約3.7kmがトンネルで接続されることで、自然環境を極力改変させないこと、リニア新幹線工事で出る盛り土を活用して法面とすること、そして早川町の最奥部で、国道から約35kmも離れている奈良田集落の、災害時の孤立解消などを盛り込んでおり、完成は2019年(平成31年)を予定とされていました。
ところが、それからの進捗はほとんど聞かれないまま、2023年になってしまいました。2017(平成29)年に発出された公共事業再評価調書によると、計画は大幅に見直され、総事業費が当初の80億円から115億円に、完成予定が2019年から2026年となっていることが確認できました。この理由として、芦安側の地盤が軟弱であり、トンネル掘削に時間を要していることから、道路構造を見直したため、とのことでした。それによって、道路全長は約4kmと短縮され、トンネルも同様に約3.5kmと短縮されました。
また、県道南アルプス公園線(奈良田〜広河原)は、マイカー規制をされていますが、本道路が接続する箇所は奈良田の規制箇所(奈良田第一発電所の前のゲート)から840m先であり、その部分を1.5車線に拡幅(17箇所の待避所設置)する計画もあるそうです。こちらは本年度から着手され、5年後の2028(令和13年)度に完成予定とのことですが、先日、池山吊尾根から北岳に登るためにこの道路を歩いた際、既に数か所の待避所が造られていることを確認しました。
早川芦安連絡道路の事業必要性は高いと判断されており、今のところは工事を継続するようです。実際に芦安と奈良田が道路でつながれば、南アルプスへのアクセシビリティは大幅に向上することになります。即ち、芦安駐車場に車を停めて、広河原から白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)を縦走し、大門沢から奈良田に下山後、広河原を経由することなくバスまたはタクシーで芦安に戻れることになります。
といっても、計画では2017年度までに72.5%の目標進捗率だったものが、実際には5.2%しか進捗しておらず、達成率は7.2%に過ぎません。2018年度以降の進捗率の推移が不明のため、以降の5年間でこの事業がどれだけ進んだのかはわかりません。
道路が完成後に、マイカー規制の区域が変更されるのか、或いは従来通り指定車両(バスやタクシー、関係車両等)しか通行しないのかについては言及されていませんが、いずれにしてもこの道路が果たす役割は小さくないと思われます。
芦安駐車場と奈良田との間は、直線距離ではたった6kmしか離れていないのに、現時点で自動車で往来するために、実に70km以上も走ることになります。もはや、不便というレベルを通り越して、地形の妙とさえ思えます。
https://goo.gl/maps/GpveakA3qMkFYERW7
果たして、あと4年で芦安と奈良田が1本の道路でつながるのでしょうか?経過を見守りたいと思います。
参考
・早川町 「早川芦安道路」説明会資料
https://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/hayakawaasiyasu.pdf
・山梨県 平成26年度 公共事業事前評価調書
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h26-aki-03-jizen-hayakawaasiyasurenrakudouro.pdf
・山梨県 平成29年度 公共事業再評価調書
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/8-h29-saihyouka-kaihayakawasen.pdf
・山梨県 令和4年度 公共事業事前評価調書(簡易型)
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/kikaku/documents/r4zizen_3_10.pdf
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