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尾白川渓谷登山口での活動者が4名と多かったので、日向山と二手に分かれ、私は久しぶりに渓谷道のパトロールをしました。
日向山は登山をしに来る人が多いのと、登山道が整備されているので、リスクは比較的低いかもしれません。
一方、尾白川渓谷沿いの道は、水遊びの行楽で来られる方が、行けそうだな、という気持ちで奥まで入り込んでいくケースがある上に、人が少ないので有事の発見も遅れる恐れがあるという点で、日向山とは違った側面でパトロールの必要性は高いと考えられます。
事実、運動靴に短パン軽装の親子連れが、他の家族と別々に行動していて、駐車場へ戻るつもりが渓谷の奥に向かって歩いているところに遭遇しました。
声をかけて、駐車場までご一緒しましたが、私にはそれを非難することはできません。
こういう人たちは、本当に、単に知らないのです。大まかな地図を持っていても、太陽の位置や地形を見て現在地を特定するなんて不可能です。
知らないなら、頭ごなしに言っても、なぜそんなことを言われなければならないのだ、と思い、聞く耳を持ってくれないかもしれません。要は、接し方一つで変わると思います。なかなか理解を得られるのは難しいことかもしれませんが。
私たちの存在意義のひとつは、そういうことにあるのかもしれません。
山岳医療というけれど、それって一体どんなものですか?と言われると、はっきりとした定義は難しいのかも知れません。私としては、以下のように考えております。
「山に精通した医療従事者による、山での傷害事故への対処、登山者の方々へのトラブル予防の啓発活動の実施、山岳医療に関する学術研究などの一連の活動のこと」
山岳医療とは、医療行為やファーストエイドといった直接介入や救助隊に同行することだけではなく、山パトのような怪我や病気、遭難の予防や啓発活動も山岳医療だと思っています。
「ハインリッヒの法則」という有名な法則があります。
それによれば、
1つの重大事故には
29の軽微な事故と
300の潜在的な事故がある
とのことです。
山岳医療はたぶん、どのパートでも活用されうることですが、パトロールは300のパートが主となろうと思うし、診療所は29でしょうか。
事の本質は、数値の割合そのものではありませんが、事象の多寡や軽重には密接な関連があることに疑いの余地はないでしょう。
ともかくも私が申し上げたいのは、志向や役割の違いはあるにせよ、互いにリスペクトし合い、共栄共存しよう!ということです。
そうした心が、登山を愛好する皆さんに、山岳医療を周知する結果につながると信じています。
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