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2012年02月20日 19:27お山の感想全体に公開

飯豊連峰保全シンポジウムに参加してきました

一昨日から昨日にかけ、山形県西置賜郡小国町において、
「飯豊連峰保全シンポジウム」が催されていたので、参加してきました。
http://www.town.oguni.yamagata.jp/info/event/01_iide.html

「山岳保全」というものの考え方が存在していることは、以前から知っていました。
よく知られたものとしては、富士山では、環境省と、静岡県、山梨県の両自治体が、
山域の保全活動をしてます。

山岳保全のイメージとは、たとえば以下の項が挙げられます。
・ゴミを持ち帰ることによる、美化活動
・決められた登山道を歩くことによる、植物等の生態系の維持
・山域近辺の道路への自家用車等の通行規制
・レンジャー等、専門家による山域巡回と啓蒙活動

さて、件のシンポジウムは、上記で挙げたような、
国や自治体の活動に頼るのではなく、
山域近隣の山岳会や個人の有志、研究者などが集まって連携し、
山域の保全活動の推進と、保全の在り方について討議する、
「保全連絡会」(平成20年発足)という組織が主宰しています。

一般的に知られる保全活動に留まらず、
より専門的な、たとえば雨による流水で浸食、拡幅した登山道の修復活動、
地質学や昆虫学からのアプローチ、
また、一般登山者に対する啓蒙活動について、
これまで知らなかった、多くのお話を伺うことができました。

こういった活動が、全国規模に拡がっていけばよいのですが、
法の問題をはじめとした、多くの難題があるようです。
奥武蔵や秩父、高尾や奥多摩といった、
登山人口密度が極めて高い山域において、
このような活動があまり表に出てこないことは、
(活動団体はありますが、一般登山者への波及が不足している気がします)
不思議であるし、非常に残念でもあります。

なお、この飯豊連峰の保全のモデルケースとなったのは、
大雪山系にある「大雪山国立公園連絡協議会」(平成9年発足)だそうです。
かれこれ15年も前から、このように優れたモデルケースが存在しているのだし、
しばらくは続くであろう登山ブーム下、
「山岳保全」のより深化した考え方が、南東北からどんどん南下し、
果ては全国的なネットワークが構築される可能性はあるのではないでしょうか。
この浸透が、単なるブームから、文化的な定着につながるものと思いますし、
また、自分自身でも何かできることを模索、実行していきたいものです。

今年の9月、2度にわたって保全活動を行うそうですが、
ぼくもぜひ参加したいと今から考えております。
(誰でも参加できるそうです)

今回のシンポジウムを通じて、
これまでは「自分の登りたい山に登る」ことばかりを考えていましたが、
「自分の登りたい山に登る」からには、その山に対する接し方について、
考え直す大きな機会となりました。参加できたことを、心から感謝しています。
この場を借りて、深く御礼申し上げます。

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なお、初日のシンポジウム後は、懇親会という名の大宴会でした。
やはり山を愛するひとたち、お酒の飲み方も実に豪快ですし、
ほぼ全員が初対面でしたが、みなさんといろいろ語りながら、
久々にバカ騒ぎして、楽しい時間を過ごすことができました。
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コメント

motchさん、こんばんは。
素晴らしい情報発信をありがとうございます。


山(自然)は人知の及ぶべくもない偉大なものですが、
非常に繊細で傷つきやすく、一度破壊されたらその回復には、
人間の時間感覚をはるかに越える長い長い年月が必要です。

そして、山は「山をレジャー(登山等)と考える人」だけのものではありません。
そこから「生活の糧」を得る人、また源流からはるかかなたの「海で生活の糧」を得る人、等、
「山の恵み」を享受している人は、想像以上に多いと思います。
もちろん人間だけでなく、「山の営み」の中でしか生きられない動物や植物たちも。

昔、「山」に入れるのは、選ばれた人たち(体力、技術、経験)だけだったと聞いています。
私たちのような中年から山歩きを始めたものが、安全に山を楽しめるのも
登山道が整備され、テント指定地があり、装備が格段に軽量化されたからであり、
そのことを「当然」と思わずに、感謝して山を歩きたいと常々思います。

自分にできることは小さく、限られますが、できることを行動に移したいと思います。

「山」に対して考えるきっかけを与えて下さり、本当にありがとうございました。
2012/2/20 22:19
ricalonさん、こんばんは。
わたし自身も、身を洗われるような思いでした。

本シンポジウム内で、こういうことばがありました。
「飯豊連峰は安易に登れる整備や支援を期待すべきではない。
山が本来持つ厳しさや険しさを享受すべき場所と考える。」

飯豊連峰では、いまだにマタギを生業とする方がいらっしゃいますし、
(シンポジウム後の懇親会で食事を提供してくださったのは、
 代々マタギをなさっている民宿の方でした)
そういう方々用の道というものも現存します。
また、飯豊連峰の「山と高原地図」をご覧いただくとわかりますが、
アクセスが極端に悪いだけでなく、点線ルートがかなりの割合を占めており、
北アとは違って、あくまで入山者を選びます。

山という場所の多くが、レジャーフィールドと化したことは否定できません。
しかし、だからこそわたしたちは、
山は人間たちが跳梁跋扈する場所ではないという心構えと、
あくまで「そういう場所に入っていく」という自覚を持たなければ、
次第に本来の姿が壊れていくような気がいたします。

もちろん、そういう場所の良さを享受する方が増えることは、悪いとは思いません。
しかしそのためには、逆説的とでも言いましょうか、時代を遡って、
本来の姿を守ろうとする行動も必要です。

みんなで、ささやかでも心掛け、行動できるとよいと思います。
2012/2/21 21:43
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