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せまる葉月の焔吐にもやかれず
今日も
しんと佇む
かれ花の翳で
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7月31日のことでした。
ぼくが住んでいる古い団地の敷地内の
至るところに植えられている紫陽花、
何処の紫陽花とも同じように、
6月の物憂げな雨空の下で華やかに色湛えて咲くわけですが、
長雨が過ぎて陽々とした、燦々とした日輪が廻り出すと、
見る見るうちに萎れ褪せ、
やがては朽ちてひとびとの目を引くこともなくなります。
ところがどうしたことか、
その日にふと紫陽花のひと株を見ると、
たった一輪だけ朽ちることなくその弁を拡げていました。
彼女は、どうしてまだ咲いているのだろう?
紫陽花の生態について、ぼくはちっとも詳しくありません。
だからただの想像ですが、
朽ちていった紫陽花たちが、
最期の息吹を与えていったのかもしれません。
その様は、陽に向かって凛と立つ、
向日葵のような逞しさは感じられなかったけれども、
向日葵にはない、嫋やかな美しさを纏っているようでした。
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それから10日ほど。
列島を牛耳った野を割く烈風は、
最後まで立っていた紫陽花を、
無慈悲にも吹き飛ばしてしまいました。
残ったのは、真っ青な夏空と、深緑の紫陽花の葉っぱだけ。
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