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気づいた。
餌をやったわけではないが、私が近づいても逃げ出さない。
常に二匹仲良く寄り添っていた。それで、夫婦だと知った。
元気よく木の枝を口に加えて、飛び回る姿を見かけていた。
最近見なくなったと思ったら今日、目の前で羽をはばたかせ
私を威嚇するキジバトの姿があった。
ふと目をやると、金木犀の下にもう一羽うずくまっている。
こちらは私を凛と見据えて動かない。
その眼差しは、守るものができた「母の目」だった。
小僧時代、庭に二羽鶏(めんどり)を飼っていた。
卵を産むようになり、まもなくそのうちの一羽が
産んだ卵を孵そうとしているのか、うずくまって動かなくなった。
庭には、天敵のネコもでる。
おんどりもいない。卵は孵るはずもない。
動く気配もないので、水を頭からざばっとかけてやった。
彼女はこちらを凛と見据えて身じろぎ一つしない。
ついに、篭の中に戻すのを諦めた。
近日中ネコにやられたと思われる躯が畑の中にあった。
なぜ、水などかけたのだろう。
小僧ながら、心の中で悔やんだ。
そうだ、あのときの眼差しだ。
私は思い出した。
厳しい環境だが、卵が孵り巣からひなが旅立つ日が来ることを
願っている。
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