|
|
|
横浜市立の小学校を出たこともあり、当時の遠足は大山だった。
中学・高校と経て登山にそれ程興味が湧かなかった時ですら、友人や家族で行くのは大山が多かった。鍋割山にもその若かりし頃に行ったきりであった。
35の時、冨士登山(七合目撤退)を機に登山を再開して、最初に大山へ行った。それ以来丹沢近辺には足を運んでいない。
もっぱら奥多摩や高尾・陣馬周辺、中央線沿線であった。
「美味しい鍋焼きうどんが食べたいね。」というカミさんの一言から鍋割山に行くことにした。
新宿7:00…(小田急)…新松田8:03-8:25…(神奈中バス)…寄BS9:05-9:25
―(茶畑)→鉄塔下10:05-10:10→櫟山11:00-11:15→栗ノ木洞11:35
→後沢乗越��12:05-12:10→途中休憩13:00-13:10→鍋割山13:50-15:10
→後沢乗越��15:45-16:25(バイト)→二俣��16:45-16:50→分岐��18:00
→大倉BS18:15-18:38…(神奈中バス)…渋沢18:55-19:04…(小田急)…
新宿
大山登山マラソン(？)と重なったことでロマンスカーは満席に近かった。
目的地のひとつ前、秦野駅で下車するランナーらしき人々のなんと多いことか。席の半数以上が秦野駅でカラとなった。
朝食を列車の中で済ませ新松田駅に降り立つ。
小田急線で登山…昨年山岳会の50周年記念イベントで御殿場へ行った時二日目の宝永山登山を終え、帰りに小田急沿線の駅まで便乗させて頂いたがその時以来である。
新松田駅前には沢山の登山客が降り立ち、西丹沢方面へのバスは満席状態であった。一方で自分達の目的地、寄(やどり)バス停方面は片手に満たない程閑散としていた。静かな山行になりそうだった。
あずまやのあるバス停の向かい、グラウンドの一角にトイレがありその附近で準備を済ませ出発。
暫らくは収穫の進む茶畑を縫うように細道をくねくねと登って行く。
里山の春を彩る梅や菜の花は満開。5分咲き程の桜も華を添える。
茶畑脇のあぜ道には土筆がビッシリと絨毯のように出ており夢中で摘む。今夜はほろ苦い春の味覚で一杯出来そうである。
茶畑を登りきると鹿除けの鉄柵があり、鍵を開け中に入って扉をまた栓錠する。登山道には3箇所もの扉が設置されていた。柵に辿り着く度に繰り返す。必要なことだが悲しい現実でもある。
緩やかだった勾配も鉄塔辺りを過ぎた頃から急登に変わる。
櫟山から栗ノ木洞辺りまでは平坦な山道と緩く長い上り坂で快適な足運びが続く。
後沢乗越までは一気に高度を下げる。せっかく登って来たのに勿体ないなあと下りに差し掛かるといつも思う。
両側がこそげ落ち切り立った細い尾根道を数メートル渡ると後沢乗越分岐である。ここを右折し下って行くと徒渉箇所を経由し二俣に出る。
大倉から二俣まで走る林道の途中、ゲート前まで車で入りそこから登行される方もいるようだ。寄からの道では数名のハイカーと出会う程度だったが、二俣からは続々と人が上がって来るのが見えた。結構な傾斜のようである。
一方、左の急登をひたすら1時間20分行くと目指す鍋割山に辿り着く。
5分の休憩を経て歩き出す。すぐに小さな5段位の木製梯子が見えた辺りでカミさんが「アッ！」と声を出した。何！？と思うと引き返し始めた。「どうした？」の問いに「カメラが無い！」の声。
休憩時にザックを下した時、カメラを置き忘れたらしい。後から来た二人組ハイカーに道を譲りまた歩き始める。何とか無事回収出来たようだったのでほっとする。
山頂までは20分急登をやっつけると平坦なテーブル上の広い場所に出てまた急登が始まるという繰り返しでキツイ登りには違いないがメリハリの利いた楽しい山道となっていた。
途中撮影等で2回程休憩を取り、山頂手前の低木密集地辺りで溶け掛かった雪がグチャグチャの泥濘になって出迎えてくれた。
軽アイゼン(スノーポンから取り外した簡易アイゼン)を持参していたが全く使う機会がなかった。数日の温かい日と雨でほんの少し残っていただけの雪さえ消えかかっていた。
山頂へ無事到着。ザックを置き早速鍋焼きうどんを注文する。
鍋割山荘では親父さんだけでなく娘さんも居て、次から次へと入る注文をひたすら消化しているといった忙しさであった。
注文して暫らく経つと「出来ましたよ！」の声。
旨そうに湯気を立てている。見るからに具沢山で食べきれないんじゃと思うほどだった。
食べ始めると旨くて箸が止まらない。頑張ったご褒美としては善過ぎじゃなかろうか。ここの鍋焼きうどんを食べるためだったらまた来たいと思える旨さだった。
少しゆっくりし過ぎたので鍋割山稜経由小丸の先にある分岐を右折するか更に先の金冷シ分岐での右折という選択はせず、往路を後沢乗越まで戻り二俣経由で大倉BSへ下るコースに。
山頂で着込んでいたシェルを途中で脱ぐため一度荷を下したが、その時またもやカメラを置き忘れてしまう。
後沢乗越分岐まで下りきってハタと気付く。
山行に集中するあまり、それ以外のことにスキが出来る。特に忘れ物が出る可能性が高まる。お互い時々出るが、今回は相方が二度目のバイトとなった。
結構な急登を駆け上がって行く。マラソンを始めて以来、彼女の脚力は異常な程アップした。
自分ではとてもこうは行かない。私が行ったのでは乗越に戻るまでに倍以上の時間が掛かってしまうだろう。麓の林道へ出る前に真っ暗になっているに違いないと思う。
往復10分たらずでカミさんが戻る。今回の山行で一番良い汗かいたと笑う。お疲れ様！
二俣までゆっくりと下る。途中小さな滝のある流れの上を歩く。夏は涼しそうな道だ。少し広くなった川沿いの場所で残っていた豆乳飲料を疲れた身体に流し込む。バス停までの残り2時間弱をまた頑張れそうだ。
二俣を経て未舗装の林道を進むと程なく旧日本山岳連盟を作ったという尾関廣氏の像と記念碑のある場所を見つける。像の前で思わず礼をする。
ここは全く知らなかった。
林道をひたすら歩くこと1時間20分、ようやく大倉バス停へ通じる分岐へ差し掛かった。この時点で既に18時。辺りはもう真っ暗である。民家の脇に出るまでの真っ暗な山道へ入る。ヘッドランプの灯りだけが頼りである。一箇所だけだったが壊れてひしゃげた鉄柵を潜り、程なく畑の脇を抜け舗装路に出た。
大倉BSから渋沢駅に向うバスに乗り込みハプニング続きの楽しかった山行を終えた。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する