エアコンの省エネ温度、世間では28度と言われています。しかし、実際にこの
温度でエアコンを自宅で使っていると寒く感じることが多いです。今年のように
屋外の気温が35度あたりだとなおさら強く感じます。考えてみれば温度差が
7度もあるから当たり前といえば当たり前だけど。
そんなわけで、エアコンの室内設定温度を30度にしてみました。すると、
「!!!」という爽快感はないけど、5分後に「悪くない快適さ」を感じることが
できました。これなはなぜ?
ここからは科学的な根拠のない推論です。
屋外の気温を35度 湿度75%だったとします。
その時、
仮にエアコン設定温度を28度とした場合、室内温度28度 湿度60%とします。
当然、スイッチをいれて3分後には「クールッ!爽快!」と心の声は叫んでいるで
しょう。
次にエアコン設定温度を30度とします。室内温度30度 湿度60%とします。
28度の時の「きたっーー!」という爽快感はないにせよ、5分後にはこれでも悪く
ないなという感覚をもてると思います。
既にご存じの方もいるでしょうが、28度でも30度でも快適さをもてるということです。直達日射のない屋内に於いては、暑さの不快感を与えているのは温度よりも
湿度の方に重みがあるということです。(勿論、室温35度では温度も大きく関係
します。人間の体温が36〜37度なのですから)
人間は、屋外と屋内の出入りという異なる環境の時間的連続性のなかで生活して
います。そのため、屋外の感覚をもちこみながら室内環境にはいり、室内環境に
馴染んだ身体で屋外にでていくわけです。当然、そこにはなれるまでのタイムラグ
があります。
これは山でも同じことがいえます。冬、富士吉田口から佐藤小屋を目指して歩いていると、身体が暖まって来た頃には、「今日はそんなに寒くないな」と思った人は少なくないはずです。休憩して温度計をみるとマイナス10度なんてことはよくあり
ます。10分も休むと身体が落ち着いてきて、冷えてきたからまた歩こう、と。
大切なのは、「今ここでの快適さ」ではなく、数分後以降の「悪くない過ごし
やすさ」ということです。山登りで大切なのことのひとつに、汗をかかずに小休憩
で登り続けていく意味は、ここにも見ることができます。行動中と休憩中の異なる
環境での時間的連続性。
話をエアコンに戻します。
私たちはどうしても「今ここの」快適な刺激を求めるところがあります。それゆえ
企業も販促上、消費者の「今ここでの」快適さを与える商品を市場に出さざるを
得ません。それは仕方のないことかもしれません。だからこそ、あとは私たち
消費者の使い方の工夫かもしれません。道具を使いこなす生活者へ。
因みに、今の技術では省電力で湿度だけを下げることは、いまだ商品化に至って
いないようです。また省エネ住宅という指針でも、温度による様々な計測は行われているのですが、開発当初から湿度に関する考慮は除外されてきたそうです。つまり、難易度が高いことを技術者は、最初から知っていたのでしょうか?
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