登山で遭難事故を起こすのは高齢者が多いといいますが、登山の主体が高齢者中心であり、全体に占める高齢者の数が多ければ事故に遭遇する高齢者の割合が多いのは自明のことです。
最近の日記で高齢者(高高齢者とおっしゃっていた)の登山を制限してはどうかという話題がありました。一つの考え方ですね。若者から見ればどうでもないところで事故っちゃってと思われるかもしれませんが、それは必ずしも年齢と直接的に結びつくものではないとの考えですが、山との向き合い方によっては、高齢者の事故が目につくのかもしれません。
6月23日の新聞に「統計上は高齢者の交通事故は減っているのに高齢者に免許返納を迫っている。」との識者の評論が載せられていました。この方の論点は、高齢者であっても外に出よ、運動不足になるな、人と交わりなさいというものでした。
欧米諸国では年齢差別禁止法があるから、日本でもそうせよという気はありませんが、高齢者の登山に関し、難易度・標高などどのような条件でも制限があったとしたら、高齢者の山登りは味気のないものになってしまいます。
趣味が高じ69歳から生産物を販売する「農業」を始めることになって、山に登る暇がなくなった今でも、もう一度ジャンダルムを歩きたいとの郷愁には抑えがたいものがあります。今日は朝一番で都内に出かけ病院で受診、すぐ戻ってスーパーへ野菜を出荷、その後畑仕事を日が暮れても続けて帰宅、風呂に入って、ビールを飲み、夕食を摂って、この日記を書き、その後は野菜の出荷準備を多分、午前1時ごろまで野菜の出荷準備。
3か月ぶりの山をどこにしようか、どこかには行きたい。持って行く酒は、食事はなどと畑仕事中も山のことが頭をよぎるのです。3度目のジャンダルム?それはもう無理かもしれません。多分、奥多摩界隈ですね。
ジャンダルムを前にし、その荘厳さに流した一筋の涙。たった5年前の2回目のジャンダルムを敢行。その登山の途中、歳だからジャンダルムは歩けないと言いながら、単独、岳沢小屋から天狗のコルまで登ってきてた80歳の方とお会いしました。凛と輝いていました。年齢ではない。意志ですね。こうありたいと強い感銘を受けたのでした。
※ チャレンジ精神を発揮した2回目のジャンダルム、65歳のときの単独登山の記録です。:http://yamatabi-hanatabi.com/jandarumu2016-1.html
(野菜は1日目を離しただけでも大変なことになるので、山登りをしている場合ではないのですが、夏山の前に1泊で遊ばせてください。)
日本山岳・スポーツクライミング協会のHPに、青山千彰先生が毎年、山岳事故調査報告書を発表されていますが、最新の第18回報告書(2021,7)の中で、「登山団塊世代(1940〜1955年生まれ)」が高齢化するにしたがって、事故年齢分布曲線のピークがどんどん高年齢者にシフトしていることを指摘されていました。一方、年齢が上がるにしたがって有病率が上昇するため、病気による事故が起きやすくなっていることも指摘されています。多数の様々な事故のデータに基づいて述べられているので、事実としてそうなのでしょう。
年齢差別はよろしくないですが、登山する方それぞれが、客観的に見てご自身がどのような状態なのかを把握しておく必要があると思います。
コメントをいただきました。
山に登るモチベーションを保っている人は、日常生活では人様に頼ることなく社会生活を送っているものと推察します。半面、自己の営みだけで日常生活を維持できない高齢者に対する国家予算は、令和3年度予算案で3兆4,000億円となっています。
令和3年の山岳遭難事故件数は、警察庁統計によりますと3075人ですが、山菜やきのこ採りなど多くの野外活動が含まれているので、純粋な山歩き(いわゆる登山)では2395人となっています。70歳以上の高齢者を見ると909人、全体の約38%と目くじらを立てる必要はない微々たる数字です。
1人の事故に1千万円を要したとして90億円、通所介護(デイサービス)を利用している人を多く見ますし、その施設も林立しています。どこに高齢者の登山を目くじらを立てて騒ぎ立てる必要がありましょうか。
山岳事故調査報告書を拝読しましたが、「登山教育」という言葉遣いに違和感を覚えたほかは、年間1000人以下の高齢者の山での事故、あるいは疾病に起因する登山の中止、救助などは山ならずとも支柱の日常生活でも公的救護を受けるものであり、取り立ててフォーカスする必要のなきものと思われます。
このようなことをもって高齢者は気を付けろという一般的アドバイスなら許容の範囲ですが、登山者に限らず、自分の客観的状況がどうあるのかは、それぞれ個人の注意力に属するものであり、その点についても人様が「教育」的観点で申す必要もなかろうと、私は思うのです。
組織登山など、パーティーを組んでの登山などに大きな拒否感を感じ、単独登山を旨としているのですが、山岳会・山の会・営利登山による事故の発生、ヘリの要請などについて耳にすることが少なくありません。多人数であろうと全員が「単独行」であるとの認識で安全な登山を実践し無事に家に帰り着きたいのは、高齢者であっても同じ気持ちでしょう。
高齢者が山に行くことができるのは(国にとっても)何よりの幸せであり、こまごましたことを言わないで、温かく見守ってあげましょう。登山の遭難事故を全国ニュースにするマスコミの取り扱い一つを見ても(そして遭難事故をあげつらう登山者も)、変わり映えのしない旧態依然の日本社会を引きずる旧社会を連想させ、経済を中心に中国や韓国に追い越されてしまったのも仕方のないことと思うところです。考え方が古すぎるのです。
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