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Aさん(70歳・奥多摩の山のベテラン)と64歳の女性の2人は、タワ尾根から酉谷山に登り七跳尾根を下り通行止めの小川谷林道から日原に下りる計画だった。しかし、タワ尾根を登ってすぐ長沢背稜で雪に阻まれはビバークした。
翌22日、一杯水から登ってきた人が酉谷山避難小屋を利用し、小屋ノートに「雪がすごい。」と書いている。2人は酉谷山避難小屋に着き下山ルートを「石楠花尾根」に変更し悪谷に迷い込んだ。22日、23日とビバークし24日男性は救助求めにさらに下りた。女性は24日もビバークし25日に尾根を登り返して救助され、Aさんは悪谷で服を脱いだ状態で水に浸かっていて死亡が確認された。
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以上は奥多摩観光協会の機関誌の記事抜粋ですが、それに気象状況を加えたものです。
機関誌は
「衰えゆく体力はなかなか自覚できない」
「気力体力だけでしのげるのは若いうちだけだ」
「若くない我々は、金で買える安全なら積極的に買いましょう」
とも書いています。
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この遭難事故の4日前に、私は長沢背稜を歩いていますが、朝は−10℃でしたから、4日間ものビバークには相当厳しいものがあったものと思われます。
画像は2011年3月24日、矢岳から登った酉谷山避難小屋到着時の風景です。天気図では南岸低気圧が三陸を抜けるところだったので雪に見舞われたのです。奥多摩の山でもこのような風景は2月から4月にかけて稀有ではありません。
https://yamatabi-hanatabi.com/yadake2011-2.html
降雪後にトレースのない長沢背稜は滑落のリスクも高く侮ることはできません。タワ尾根を下るとき視界が遮られる吹雪に遭ったことがあります。篶坂ノ丸から金袋山に向かう屈折点が見つけられずGPSに頼って辿ったことがあります。
1月17日は阪神淡路大震災発災から30年の日です。宮古島の空港ロビーでNHKテレビの列島ニュースを見ていたら、未だ母親が見つからないという女性が「さよならのない別れ」に苦しんでいると話されていました。
ココヘリの必要性を問疑したり、協業するJIROの補償内容に首を傾げる向きもあろうかとは思います。年間6.600円程度の料金で居場所を特定していただけることに重きを置くと、別れをしたいという人が苦しまなくて済む、それだけで十分なのではないでしょうか。
遭難された方はGPSも持たずココヘリにも加入していなかったと考えられます。「金で安全を買え」という所以はそんなところにあるのでしょう。
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