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2021年08月21日 19:55未分類全体に公開

自分の脚と手で

コロナ禍がさらに輪を掛けているが、山岳遭難事案に関してはYahoo!の『山岳事故』カテゴリーで徹底的に叩かれる世の中である。

一つ一つの記事を読み、コメント欄を見てみると、登山者というのはどれだけ人に迷惑を掛けている人種かを力説する人が少なからずいて、いかに登山というアクティビティが理解を得られていないのかが良くわかるのである。

曰く「このコロナ禍で山に行く必然性は?」
曰く「救助活動の多くは地元自治体の税金が使われているから、救助費は全額自腹で」
曰く「救助隊も命が掛かっている、自分の楽しみだけで山に登る人は救助する必要がない」
曰く「山に登る前に、遭難しても助けなくていいという念書を書け」
等々枚挙にいとまがない。
匿名コメント欄なので好きなように書き捨て可能だし、コメントに責任も何もないのだろう。これが自分の正体を明かさないと書けないシステムならどうなるのか興味深いところではあるが、本音を聞ける場という意味では貴重なのではないかと思う。

ワタクシ個人のスタンスとしては、コロナ禍だろうがそうじゃなかろうが、山に行く必然性などまったくない。当然だが山に行かずとも生きていける。ただ、生きていく上で必要なことだけしかしない人生などどこがおもしろいのか、その一点だけで山に向かっている。山じゃなくてもいいだろうと言われればそうだが、自分の人生を豊かにしてくれるものをコロナ禍であろうがなかろうが人に否定される謂れはないはずである。

登山もしない地元民が救助活動に税金が使われるのは、確かに納得出来ないことも多かろうと思う。しかし、遭難者側では税金を使う救助か、自腹で支払う救助かの選択は不可能なシステムではあるまいか。
そうであるなら不服があれば自治体に掛け合うのが筋であり、遭難者を責めるのはお門違いではないかと思う。ワタクシ万が一遭難したら、念書など書かずとも全部自腹で良いと思っている。
長野県だったか、自治体で救助を行なった費用も遭難者負担にする旨の議論は行なわれているようだが、いっそヘンな誤解を生まないためにも、ぜひそうなって欲しいと思っている。
Yahoo!のコメント欄では「疲れて歩けなくなったらヘリ呼べばいい」「道に迷ったらヘリ呼べばいい」登山者は皆そう考えていると誤解されているフシがあり、とてもたまらんのである。

救助隊は命が掛かるというのは、正しい場面もあろうかと思う。そして時にそれは本当に命を落とすこともあって、何とも切ない気持ちになる。
しかし救助隊は遭難者に対して本当に迷惑と思って救助しているのだろうか。いやまぁ、多少はそういう気持ちになったとしても納得出来ることではある、遭難に至った過程があまりに杜撰な計画や行動であったとすれば。しかしそれならば「お前みたいなヤツは二度と山へ来るな」と言われてもおかしくないはずだが、そう言われたという話は聞いたことがない。
悪天候等の場合はともかく、遭難する可能性があるから山に行くなというスタンスの救助隊がいるという話も聞いたことがない。遭難者がいれば等しく粛々と救助に全力を尽くすのが救助隊なのではないかと思う。だからこそ、とても崇高な仕事だと思うし、尊敬されるのではなかろうか。遭難者は迷惑だから救助に行かない、そんな風に思っていたら救助など出来ないと思う。いずれにしても、関係ない第三者が「遭難者は迷惑です」などと書くのは見当違いであるとワタクシは考えている。

憶測も含めて徒然と書いたが、絶対的に正しいことは一つだけであろう。
色々な意味において、遭難は絶対にしない方がいい。命ある限り、自分の脚と手で帰着する覚悟は登山者として持っておくべきであろうと常々思っている。
遭難が多ければ多いほど、登山は世の理解を得難くなっていく。

先日の山行を経験して、より強くそう思うようになった次第である。
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コメント

SM100Cさん、こんばんわ。コロナ禍で山での遭難は一層、叩かれやすくなってきてますね。なにかと日々の行動を制限されることの多い昨今、社会全体が寛容さを失ってる側面もあるように思えます。コロナも遭難も会わずに済むのが一番。感染状況や空模様など刻々と変わる状況を臨機応変に見極め、自分の実力にあった行動しないとダメなのかもしれませんね。
2021/8/21 23:34
yamaonseさんこんにちは。
仰る通り、なんとも歯がゆい状況ですよね。皆イライラが募り、自分が理解出来ない他人の行動を完膚なきまでに叩きのめす風潮は悲しいものです。
国や自治体の最大の使命は国民・市民の命を守ることだと思いますが、こちらもそれに甘えず、自分の身は自分で守る覚悟をもっと強く持たなければいけないでしょうね。
緊急事態宣言を錦の御旗に、たいしたリスクもないハイキングまで叩かれるような風潮にはなって欲しくないものです。
2021/8/22 5:05
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命を懸ける山は登っていませんが

こんちわSMはん カクネ沢記録読ませてもらいましたよ。
「年齢・体力・技術を考えると、もう時間はほとんどないと思えた」
60目前の私にとって何とも言えない言葉でやんした。

さて最近、岐阜、長野県警山岳警備隊の記録を読んでました。
ついでに穂高山荘の故宮田氏の本も含めて。

その中で警備隊の方は「命はかけない」(冷静な判断に徹する)
「疲れている時、救助を面倒だと思う時もある。
けれど助けを待っている人がいる限りその場に行き救助するのが、自分の本分だ」
という方が多かった気がします。
民間救助が主流だった時は、家族に「民間ヘリを頼んでもいいか
(金が莫大になるから)」確認して、民間か県警か決めていたそうですが。

以前、唐松で多県軍の県警山岳救助訓練(100名位いた)にぶちあたりました。
ああ、この人達のおかげで山に登れていると思いましよ。

自分の体力、体調、技術があっても様々な要因で、救助を要請することは
あるでしょう。そんな人に対しても外野から非難するのは当たっていない。
けれど、もし自分がそうなったら 最大の敬意を警備隊に払うつもりです。
2021/8/22 14:33
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kibakoさまこんにちは。
ワタクシも命をかけて登る山はしていません。
最初から「命がかかるなぁ」と思うなら、そんなところは決して行きませんね。おそらくそんなことをする登山者はほぼいないでしょう。
アルパインが出来る年齢は、やはりその過酷さからそう長いこと出来るものではないので、今のうちだけ、というところです。
出来なくなったら、出来るハイキングしか行かないでしょうね。

さて、ワタクシも宮田氏の本は読みましたが、その彼も場所こそ山じゃないにしても遭難で命を失っていますよね。
どんな人でも死ぬ時は死ぬ、そういうことなんでしょう。
だけど、死者にツバを吐くようなことを、しかも匿名で書くというのは人としてあるまじき行為だろうと思うのです。人の命を、お金の無駄だから助けなくて良いとか、あなたホントに人間なの?と思わざるを得ません。
本当に動けなくなったら、救助を求めるべきでしょうね。命はなにものにも代えることは出来ないですから。
2021/8/22 15:44
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