(前略)最近できた比良ロッジが山には珍しい豪壮な建物を見せている。折角
汗もしとどになって登ってきたのにと、がっかりさせるようなホテル風な建物だ。
(中略)できたものはしかたないから、利用できる時はこれを利用することを
考えるべきだ(後略)
往時の比良ロッジの偉容(?)は、後の頁で写真が出てきます。
私はうろ覚えですが「あんな所に!」という立派な建物でした。
さて、58頁のルート図を見ると、これは今もほとんど変わっておらず、
59頁の青ガレの写真も、現在の様子と全然変わりがありません。
あと、ロッジやリフトなどの観光地化について、著者は終始一貫、
今よりむしろ過激な批判的姿勢を貫かれているのも興味深い。
本文・頁66/(続いて)武奈ヶ岳を巡るルート案内。
(前略)中峠を下りに下って口ノ深谷へおりる(中略)この付近に小屋がある。
さて、また急な登りを登りきると(中略)ここは樹林がないので展望は大変良い。
ここをワサビ峠という(中略)ふつうこの尾根を武奈の西南稜と呼んでいるが
もっと気のきいた名称はないものであろうか(後略)
ここだけでなく、筆者はルート上の名称等についてもあちこち批判的です。
昔からの名前は尊重しつつも「西南稜」なる、当時の比較的新しい命名には
「如何なものか」と筆鋒も鋭く、総じて今のガイドブックと比べると、筆者の
主義主張、嗜好の表出がグッと濃厚な感じ。
・・で、50年前には口ノ深谷に小屋があったんだ。
今、あそこに転がっているサビ付いた機械の残骸も、さもあらん、という。
本文・頁67/(写真はコヤマノ岳から見た堂満岳)
(前略)また、ワサビ峠から尾根通しに下る道もある。これはほとんど尾根通しに
下って坊村の明王院というお寺の中に出てくる。坊村ではこの道を御殿山コースと
呼んで武奈に登る最短コースだと云っているが、今の所あまり知られていないせいか
通る人が少ない(中略)安曇川へ出るコースとして口ノ深谷を下る人が多いが、
このコース(注・御殿山)を下る方が安全であろう(後略)
御殿山コース、この時はまだ「あまり知られていな」かったんですね。
今となっては、押しも押されもしない武奈メインルート(比良山荘の伊藤さんが
中心になって開鑿)、まさにこの五十年前がこのルートの黎明期だったようです。
確かにこの本の裏表紙、メインルート図にも載っていません。
逆に、いまワサビ峠から口ノ深谷を下って奥ノ深谷へ出るなんて
危なくてとてもビギナーが歩けたもんじゃありませんよぉ (感慨)
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