登山のナビゲーションで何を使うか。
2万5000分の1地形図や山と高原地図といった紙の地図だけでなく、最近はスマホの登山アプリやGPSアプリを使っている人も多いでしょう。
私は基本的にはヤマレコアプリやジオグラフィカをメインにし、紙の地図を併用するようにしています。
統計をとったわけではありませんが、登山アプリと紙の地図を併用している人は多いのではないでしょうか?
私が登山を始めた12年前はまだ紙の地図が主流でしたので、講習で読図を学び、専ら紙の地図で山を歩いていました。
そのうちジオグラフィカを使うようになって山岳ナビゲーションにおける現在地把握を補完できるようになり、急速にGPSにシフトしました。
現在はヤマレコで計画書を作り、そのままナビとして使い、記録もするという使い方です。
それでも紙の地図を持って行きます。これはスマホGPSのバックアップという理由だけではありません。先読みや山座同定は紙のほうが使いやすいですし、スマホ画面では距離感がつかみづらいというのもあります。
要するにそれぞれの長所短所を考えて併用しているわけです。それも「使いやすい」「便利」という理由で。
便利さとリスクマネジメントは相反するものではなく、どちらも大事ですし、両立し得るものです。
これも統計をとったわけではないので正確なところは分かりませんが、「スマホを持っているから紙の地図なんていらないよ」と言って持って行かない人ってどれくらいいるのでしょうか?
「スマホなんかに頼らず俺は地形図しか持たない」と言う人と同等に少数派なのではないかと想像します。
そもそも、GPSを使うのは地形図が読めること=山岳ナビゲーションができることが大前提です。
ジオグラフィカの開発者である松本圭司さんも「ジオグラフィカの基本的な使い方」の中で、
「ジオグラフィカは山岳ナビゲーションの道具として作っていますので、読図やナビゲーションについて分かっていないと使いこなせません。読図が分からない方は、読図について勉強してください」
と述べています。
https://note.com/keizi666/n/n5dec7374ea93
さて、自動車事故における「リスク補償心理」を持ち出し、登山での「機械に頼る便利さ」が遭難事故を引き起こしている、などと言う人がいます。さらに、山岳関係の企業にはリスク補償心理の観点がないから、そんな企業に「洗脳」された「信者」のような登山者が多いーーとまで言及しています。
しかし少なくとも、前述のジオグラフィカの開発者ご自身がおっしゃっているように、GPSアプリを使うのは紙の地形図が読めることが大前提であり、これはリスク補償心理以前の問題です。
最近「『ココヘリがあるから何かあっても呼べば大丈夫』と話しているの聞いた」など、あたかも「マックで隣の女子高生が言ってた」的な言辞も目にしますが、こういったツールの特性を理解せずに使う人は今に始まったことではなく、昔から一定数存在します。
他人を「信者」などと馬鹿にするのは「皆は分かってないが俺は分かってる」という変な優越感の発露です。そんな優越感に浸る暇があったら、私はナビゲーションスキルを磨くことに費やしたいと思います。
ナビゲーションスキルは一朝一夕に身につくものではありませんし、せっかく身についたスキルも継続して使わないと錆びてしまいますので。
以下は、「信者」としてコメントさせて頂きます(笑)
何かを論じる以上、それが事実に基づいた主張であるかが重要だと私は考えています。自分の仮説が正しいと断言するからには、それを根拠づける事実なり、有意な統計結果でもなければ、恥ずかしくて到底できるものではありません。ましてや、誰かが「・・・・」と言っていた、とかマスコミ報道の関係者の個別の供述を一般レベルにまで過大評価して、あたかも自分だけが本当のことを知っているかのような言説など、恥ずかしくて、公開の場で到底できるものではありません。事実に基づかずに、「正しい」と信じ過ぎると、自分の仮説と辻褄の合わない事実が見えなく(見なく)なってしまう結果になります。それこそ本当の(悪い意味での)「信者」だと私は思っています。
ところで、Dr.cat's Pawさんとは印象が異なるのですが、紙地図を持たずに、スマホだけしか持っていかずに、ヤマップやヤマレコなどの登山アプリを起動させている人は、多いのではないか、というのが私の印象です(特に、「山と高原地図」に掲載のない山)。統計結果とかないので、あくまで印象の次元の話ですので誤っている可能性があります。
もっとも、私の場合、そのことを「遭難増加」と安易に結びつけたり、「リスク補償心理」などと主張するつもりはありません。例えば、遭難全体の数が増えているのに、道迷い遭難は2023年に初めて減少に転じました。私は、これはスマホGPSの普及と啓発にあると考えていますが、もう少し、詳細な分析が知りたいですね。山菜採り遭難についても、スマホGPSがもっと普及すれば減少する、というのが私の仮説です。もちろん、仮説に過ぎませんが。
確かに、紙の地図を持たずにスマホだけ……という人は思っている以上に多いのかもしれません。
せめて山と高原地図くらいは持って行ってほしいものですが……。
その山と高原地図もアプリかもしれませんしね。
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