【京都市周辺】地形図で見る山頂の変更

先月の京都新聞の記事に、京都西山にある烏ケ岳の山頂が変更されて云々の記事が掲載されていたとのことです。烏ケ岳のように大きく山頂が変わることは珍しいのですが、微妙に変更されるのはたまによく見かけるので、気づいたものをまとめてみました。

〇烏ケ岳(京都市西京区)
・大正元年発行の地形図では、現在よりも西北西1.4km程の三角点峰(482.2m)が山頂とされていた。
・大正14年発行の地形図からはP398が山頂に。<画像1参照>
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.014093&lng=135.658407&zoom=15&dataset=keihansin&age=0&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[1]&scr3tile=k_cj4&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2
なお、『ハイキングがいど 改訂版』(p.77,日本交通社関西支社,1956年)では三角点峰を「烏岳」、P398を「新烏岳」と記載しており、地形図が変更されても当時一部ハイカーの間では三角点峰＝烏岳という認識は残っていたようです。<画像2参照>
https://dl.ndl.go.jp/pid/2984308/1/44 (国立国会図書館デジタルコレクション※要ログイン)
現在では三角点峰を「山上ケ峰」、P398を「烏ケ岳」、その間のP407を(一部では)「新烏ケ岳」と呼んでいるようです。

〇嵐山(京都市西京区)
・大正元年発行の地形図では、現在よりも南東110m程の小ピーク(P375)が山頂とされていた。
・大正14年発行の地形図からはP382が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.009427&lng=135.669351&zoom=16&dataset=keihansin&age=0&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[1]&scr3tile=kjmap[7]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇小倉山(京都市右京区)
・昭和45年発行の地形図までは、現在よりも南東220m程の小ピーク(約280m)が山頂とされていた。
・その後しばらくは山名の記載がなくなり、
・平成9年発行の地形図からはP296が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.022871&lng=135.661905&zoom=16&dataset=keihansin&age=6&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[7]&scr3tile=kjmap[9]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇小野山(京都市左京区)
・大正元年の地形図では、現在よりも南200m程の小ピーク(約670m)が山頂とされていた。
・現在では山名の記載がなくなったものの、P670が一般的に小野山山頂とされています(ex.山と高原地図)。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.111756&lng=135.846055&zoom=16&dataset=omi&age=0&screen=2&scr1tile=k_cj4&scr2tile=k_cj4&scr3tile=k_cj4&scr4tile=kjmap[4]&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇翠黛山(京都市左京区)
・大正元年や昭和7年発行の地形図では、文字の位置からすると現在より東南東300m程の小ピーク(約540m)が山頂とされていたように見えます。
(昭和7年) https://lapis.nichibun.ac.jp/chizu/map_detail.php?id=002469641
(大正元年) https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.118031&lng=135.815821&zoom=15&dataset=omi&age=0&screen=2&scr1tile=k_cj4&scr2tile=k_cj4&scr3tile=k_cj4&scr4tile=kjmap[4]&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇小塩山(京都市西京区)
・昭和43年発行の地形図までは、現在よりも東150m程の小ピーク(P641)が山頂とされていた。
・昭和56年発行の地形図からはP642の天皇陵が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.961908&lng=135.636992&zoom=16&dataset=keihansin&age=6&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[7]&scr3tile=k_cj4&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2
なお、比較的最近まで旧山頂にも山名標識が立てられていたのですが(2019年6月確認)、その後、その山名標識も現在の位置に移されたようです。定着した山名は、地形図を変更したからといってすぐに情報が広まり修正されるとは限らないということですね。

〇大平山(京都市伏見区)
・昭和31年発行の地形図では現在よりも北東130m程の小ピーク(454m)が山頂とされていた。
・昭和45年発行の地形図からは山名の記載がなくなったものの、P464(県境)が一般的に大平山山頂とされています。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.953722&lng=135.876675&zoom=15&dataset=keihansin&age=0&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[4]&scr3tile=kjmap[7]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇牛松山(亀岡市)
・昭和47年発行の地形図までは現在の位置(P636)が山頂とされていた。
・昭和56年〜63年発行の地形図では、現在よりも南西160m程の三角点(629.0m)に変わったように見えます。
・平成9年発行の地形図からはP636が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.043999&lng=135.603046&zoom=15&dataset=keihansin&age=6&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[7]&scr3tile=kjmap[9]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇朝日山(亀岡市)
・昭和47年発行の地形図では現在の位置(約460m)が山頂とされていた。
・昭和56年発行から最近(少なくとも2020年6月以降)までの地形図では、現在よりも西430m程の三角点峰(441.7m)が山頂とされていた。
・現在の地形図では約460mピークが山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.010157&lng=135.516529&zoom=15&dataset=keihansin&age=6&screen=4&scr1tile=kjmap[6]&scr2tile=kjmap[7]&scr3tile=kjmap[9]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2
(参考)2020年6月のレコで、地形図では三角点に山名がある旨コメントしてました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2387625.html

〇明星山(宇治市)
・昭和40年発行の地形図までは現在よりも南東南190mの小ピーク(P223)が山頂とされていた。
・昭和45年発行からはP233が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.897107&lng=135.827665&zoom=15&dataset=keihansin&age=5&screen=4&scr1tile=kjmap[6]&scr2tile=kjmap[6]&scr3tile=kjmap[8]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇花立ノ峰(宇治田原町)
・大正14年発行の地形図までは、現在よりも南270m程の小ピーク(P394)が山頂とされていた。
・昭和45年〜昭和52年発行の地形図では、現在よりも南90m程の小ピーク(約380m)あたりが山頂に。
・昭和62年発行の地形図からは県境の小ピーク(約370m)が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.888096&lng=135.874786&zoom=15&dataset=keihansin&age=1&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[6]&scr3tile=kjmap[8]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇高塚山と飯盛山(城陽市)
・平成9年発行までの地形図では、高塚山はP202、飯盛山はP162が山頂とされていた。
・現在の地形図ではそれぞれ位置が変更され、高塚山はP223、飯盛山はP183が山頂に。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.832220&lng=135.831270&zoom=16&dataset=keihansin&age=9&screen=2&scr1tile=kjmap[6]&scr2tile=k_cj4&scr3tile=kjmap[9]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2

〇州見山(木津川市)
・大正11年発行の地形図までは、小ピーク(P101)が山頂。
・昭和44年発行の地形図では小ピーク(約100m)に。
・昭和51年発行の地形図からは三角点(105.9m)が設置される。
・その後宅地開発され三角点も亡失、山名も地形図からは消え、現在は州見台公園内の築山が「州見山」と呼ばれている。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.717611&lng=135.824618&zoom=16&dataset=keihansin&age=1&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[6]&scr3tile=kjmap[7]&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2


◇参考：山名の変更
〇梶山(京都市左京区)
昭和45年発行の地形図に「大尾山」と記載されたが、誤記に基づくもので現在の地形図では正しく「梶山」に修正されている。

〇荒木山(宇治田原町)
明治45年発行の地形図では「大峰山」と記載されていたが、大正14年発行の地形図からは「荒木山」に変更されている。
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=34.868345&lng=135.856504&zoom=15&dataset=keihansin&age=0&screen=4&scr1tile=k_cj4&scr2tile=kjmap[1]&scr3tile=k_cj4&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2