先月くらいからちょっと難しめの山行をするようになりました。そう大変なことではなく、これまでの一般登山道ばかり歩く山行から1個だけレベルをあげてみたとか、そんな具合です。奥多摩ですと長沢背稜を歩いてみたり、丹沢ですと西丹沢を歩き始めてみたり、ちょびっとだけバリエーションぽいところを歩いてみたり。メインルートに比べれば往来は少ないかな?という程度のお話です。
それでも何とはなしに冒険心をくすぐられるようなところがありまして、こと先週の新雪の檜洞丸と昨日の熊木沢の遡上…という程のこともないですね。沢床歩いて、堰堤を越えるところだけちょっとキョロキョロしたというだけのお話です。その2つ、立て続けにワクワクしてしまいました。
これまで自分がしてきた山行に比べると幾ばくかでも難易度があがってはいるものですから、何度かヒヤリとした場面がありました。躓いて前にコケたりしたのも注意不足と足場の悪さの合わせ技でしたし、新雪で滑ってホールドに慌てて掴まったのは雪の状態の判断と道具の選択のミス、雪山での体力不足の合わせ技でした。
おおまかには大過なしといえどもこういうイージーなミス、どうしても記憶に残るものでして。落ちるとこでコケたらどうするの?ですとか、ホールドの確認甘くて剥がれてたらどうするの?ですとか。間抜けなワンミスで大変なことになっていた可能性って否定できないなあ、と思います。よく聞く、ベテランほど「自分が事故を起こさなかったのは運が良かっただけ」と感じるという、あれに近いものを感じます。
実際のところ、事故の大半は「なんでこんなところで?」というような、何でもないような場所で起こると聞きます。自分が重ねてきたイージーなミスの数々を思うにつけ、とても実感を伴う話です。これを避けるのって、ゼロにするのは恐らく不可能で、可能性をゼロに近づけることしかできないのでしょう。そのためには基本って本当に大切なんだなと、改めて感じるようになりました。
私が思う登山の基本って「バランスを崩さず歩く」という一点に尽きるように思います。天候や計画など、もちろん他に大切なことはあるわけですけれども、大体は山行の前に自宅で確認することが多い。現地で確認しながらやるのって、まさに「歩く」ということが大部分になるように思います。
そして登山技術のあれこれって、大部分がバランスを崩さないっていう目的に集約されるように思うのですね。フラットフッティングして歩きましょうということも、岩場の通過は3点支持でということも、疲れないように歩きましょうということも、どれもバランスの保持ということが根底にある気がします。蹴り出し歩きだと接地と重心が一緒になってバランス崩れるから筋力で保持しちゃう、岩場でバランス崩すとシンプルに落ちる、疲れると前のめりやへっぴり腰になってコケやすくなる。こと、歩くという一点においてはそう考えていい気がします。
直近の体験においても、新雪で滑ってホールドにしがみついた事例ですと「3点支持やっててよかったね、ホールド確認して使ったから耐えてくれたね」ということでしょうし、躓いてコケたのは……前向きな解釈がちょっと思いつきませんけれども。それでも強弁するなら「静荷重で歩いてたから前に3mスライディングしなくて済んだね」とか。うーん、無理がある。
バランスを崩さず歩く。登山の基本って本当に大切だと感じた、最後はちょっと無理があるまとめになってしまったお話でした。
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