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明け方は珍しく濃い霧が出ていて数十メートル先も見通せないほど。まとわりつくような湿気が不快だった。
#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルはエド・マクベイン『キングの身代金』の続き。
ダグラス・キングは自分の息子と間違えられて誘拐された運転手の息子のために、自社買収&反対派を追い出すために苦労してかき集めた虎の子の全財産75万ドルのなかから、身代金50万ドルを払わなければいけないのか。そんな義務なないというダグの考えは至極真っ当だ。そんなことがまかり通ったら、誘拐犯はやりたい放題になるからだ。現に、金持ちのところに、かれとは縁もゆかりも無い子どもを誘拐した犯人から身代金を払えという脅迫が届いているという。そんな理不尽な要求に屈することはできない。だが、ダグの妻にはかれの言葉は通用しない。
「あなたは、仕事こそが自分の人生だと言った。その通りなんでしょう! それ以外は、あなたにとってはどうでもいいことなんだわ。そして今は、子どもを殺そうとしている! 何年も経って、あなたがたどり着いたのがそれ! 何の罪もない小さな子どもを殺す準備ができたのね!」
「殺す、殺すと、まるで私が−−」
「人殺しよ! 紛れもない人殺しよ! 好きなように呼べばいいけど、これは人殺しよ! あなたは人殺しに関わろうとしている。私は、今度はそれを黙って見ているのは嫌よ!」
「どういう意味だ? 何を言っているんだ?」
「言葉通りの意味よ、ダグ。あなたが誘拐犯に金を払うべきよ」
「いや、払わないよ、ダイアン。それはできない」
「できるわ、ダグ。払うのよ。仕事を選ぶか、ジェフの命のほかにもあるものを選ぶか、決めなくてはいけない」
「何だって?」
「もし払わないなら、ダグ、私は出て行くわ」
「出て行く−−」
「ボビーに話して、この家を出て行くわ」
「おいおい、ダイアン、何を言っていか分かってないんだろう。君は……」
「何を言ってるか、ちゃんと分かってるわ、ダグ。払って。もしも払わないなら、私はあなたの側にいたくない! 腐って汚れたような人の側にはいたくない」
「ダイアン……」
「腐って汚れてる」「あなたの工場の機械みたいに。ゴミがいっぱいに詰まって−−」
「ハニー」「そんな……」
「近づかないで!」「今度は駄目よ、ダグ! 私をベッドに連れ込んで、あんなやり方で丸めこもうとしないで。触らないで、ダグ。今度は、あなたは人殺しをしようとしているのよ。だから当たり前でしょう!」
「払えないんだ」「無理言わないでくれ」
「頼んでるんじゃないのよ、ダグ」「ただ話しているだけ。明日の朝、あの連中が電話してきたら、お金の用意をした方がいいわ。用意して、向こうの指示を待つのよ、ダグ。そうした方がいいわ:
「奴らに金はやれない」「ダイアン、払えないんだ。無理言わないでくれ」
しかし彼女は、すでに部屋を出て行ってしまった。
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