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#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルはエド・マクベイン『キングの身代金』が今朝でおしまい。
黒澤明の『天国と地獄』の権藤(三船敏郎)は最終的に身代金を用意することに同意したが、エド・マクベインのダグ・キングは最後まで首を縦に振らなかった。それはダグが一生をかけ死に物狂いで築き上げてきた財産であり、信念であって、そう簡単に諦めることはできないし、人間はそうは変われない。だが、ダグに葛藤がなかったわけではない。だから、ダグは空手形のまま、とにかく現金(に見せかけた荷物)を運ぶ役として、みずからドライバーの役を引き受けたのだ。もちろん勝算があったはずがない。ないけれど、そうせざるを得なかった。そのことが彼を血の通った人間に押し留めることにつながったのは、不幸中の幸いだった。
『天国と地獄』では、当時の日本にはまだ自動車電話というものがなかったために、走行中の列車に電話をかけ、途中で現金入りのバッグを窓の外に放り投げるという方法に変えざるを得なかったそうだが、それがかえって奏功し、緊迫感は黒澤の映画のほうがはるかに勝る。『キングの身代金』の幕引きは、いまから見ると中途半端で、物足りなさを覚えるが、誰の(犯人、被害者の少年、揺すられた金持ち、金持ちの妻まで。87分署の警察官たちは含まれないかもしれない)信念も曲げずに着地させるには、こうするしかなかったかもしれない。
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