(山際淳司)を今更ながら読んだ。衝撃的だった。タイトルのやさしい印象からは想像できないほど、強烈な言葉でビシビシ自分の中に入ってきた。
コミュニケーション、コミュニティ、所属、が流行る現代社会、そことは距離を置く人間。その強さ、美しさ、苦悩。社会でうまく生きられないこと。言葉にすることで原色の体験や感情や思想が薄れてしまうことを恐れ、無口になってしまうこと。本気ゆえにエゴイストになってしまい、他者を許せない、結局自らひとりに戻るという単独行者の性。また一方で、現状に不満を感じながら、日常的な生に充足感を得られないと嘆きつつも、日常という引力に負けて言い訳を垂れてしまう人間らしさのこと。(引用)常に自由でありつづけるためには、意識を眠らせず、新たな目標にチャレンジしつづけることなのだ。
俺を理解して救ってくれる本であり、俺を痛烈に批判する本でもあった。
山も下界の生活も、数年前ほどの単独行気質はなくなりつつある。他者と喜びを共有する良さも少しは分かってきたつもりだし、全然悪くない。だけどこの本の登場人物には引き戻されそうな魅力を感じたし、羨ましく思ったのも事実なわけで。ストイックに孤独に自分だけのために、野性的でダイレクトに生を死を感じられる山が大好きだった。また逆戻りしそうだ。
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