国有林の制度に「分収育林」というものがある。若齢の人工林を対象に、個人や企業に一口いくらでお金を出してもらい、将来の伐採収益を契約した割合で国と契約者が分収するという仕組み。
分収林を最終的に伐採する直前、育林成果見学会というものがある。契約者の中で見学を希望した人に、育った木を職員が案内するというもの。契約からは数十年経過しているので、当然、契約者は高齢になり、希望する人は少ない。それでも何人かは見学を希望する。
仕事中、昨年行われた見学会の写真を偶然見て胃がギュエってなった。ぼさっと立っている職員の前で、一人のおばあちゃんが熱心に山を眺めている。自分はそこにいたわけではないから分からないけれど、きっとおばあちゃんは元本割れだとかそんなことに一切文句を言わずに、立派に育った木を興味深くじっと見ていたんだろう。顔が見えるわけでもない写真なのに、ただその後ろ姿だけで涙がぼろぼろ出た。
森林や山は林業関係者、ガツガツやってる山ヤ、観光資源として利用する人々だけのものでは決してなく、街場で暮らす老若男女皆にとっても大切な場所、親しみを持っている場所。
そんな人たちに喜ばれる、寄り添った仕事を俺はしたい。
せめてそういう人の存在を意識して仕事をしよう。
一枚の写真を見てそう強く思った。
文字にして胃の中から少しでも世界に放り投げられればと思っての投稿だけど、俺はこういうギュエをたぶん結構引きずる。
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