毎朝自転車でやって来る納豆売りのおじさんから、納豆を買ってくるのは私の役目でした。🚲
「ナット、ナットーッ!」という売り声を聞いてからお金を預かり、ゆっくり靴を履いて道へ出ても、谷戸の奥まで行って戻ってくるのを待てば十分間に合いました。
納豆は経木で三角形に包まれており、おじさんが和ガラシを経木の端に塗りつけて渡してくれました。
午後にラッパを吹いてくる豆腐屋や、鈴を鳴らしてリヤカーで来る生麺屋も同様でした。
そんな谷戸で子供たちに人気があったのは、自転車でやって来る紙芝居のおじさんでした。
週に数回、子供達が学校から帰っている夕方にやって来て、道路わきの空き地に自転車を停め、太鼓をたたいて荷台の紙芝居道具を組み立てます。🥁
紙芝居の下には引き出しのついた箱があり、中にソースせんべいや水あめ、型抜きなどの駄菓子が入っていて、子供達は5円玉や10円玉を持って来ておじさんから駄菓子を買い、食べながら紙芝居が始まるのを待ちます。🍭
小遣いをもらえず、駄菓子が買えない子供達(私)は、「ただ見はごめんだよ!」という言葉にひるんで、少し離れたところから遠巻きに眺めていました。

紙芝居は「黄金バット🦇」や「🌙月光仮面」などが微かに記憶に残っています。
一カ所の滞留時間は15分程度だったと思いますが、細長い谷戸の2,3カ所で子供達を集めていました。
私の母は町医者の娘で衛生観念が強く、紙芝居の駄菓子などの為には小遣いをもらえませんでした。

あるとき母の財布から10円玉をくすね、意気揚々とおじさんに渡しソースせんべいを注文したところ、20枚位のせんべいを渡され

一般家庭にもテレビが普及するようになると、紙芝居はやって来なくなりました。📺
【自転車文化センターのWEBページにあった紙芝居の写真】
https://cycle-info.bpaj.or.jp/?tid=100121
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