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山を歩いていて「何となく嫌な感じ」を感じることがありました。
具体的に何がどう嫌なのかは説明できない「感覚的」なものです。
街中の日常生活でも感じることはありますが、発生頻度は圧倒的に山の方が多く、大自然と直接向き合う登山中の方が、原始的な感覚が鋭敏になるのかもしれません。

「何となく嫌な感じ」を感じても大抵は何事もなく過ぎますが、時には危うい目に合う場面もありました。掴んだ潅木が抜けたり、足を置いた岩が動いたり、同行者が転倒したりと現象は様々ですが、大半は私の未熟さゆえに危険を予知できなかったケースでした。

感覚の警報に従い、一息ついて冷静になることをためらったために、コースを外して谷筋へ下ってしまい、同行者が滝から転落しかけたことや、雪氷のついた痩せ尾根で泣かされたことなど、命に係わる「嫌な感じ」もありました。

山での経験を積むにつれ、「なんとなく嫌な感じ」の発生頻度は減り、代わりに具体的な危険(この木は抜けそう、あの尾根はやばい、コースが違うぞ、etc)を察知できるようになりました。

昔父親と白馬岳大雪渓を下山した時に、コースマークのついているスノーブリッジを、父は迂回して避けました。特に通行禁止や注意の札はありませんでしたが、迂回し終わってしばらく下ったところで、大きな音がしてブリッジは崩落しました。

幸い巻き込まれた人はいなかったようで、父は何も言いませんでしたが、「何となく嫌な感じ」を感じたのかもしれません。

【写真1967年西鎌尾根 当時は西鎌にテン場がありました】
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