牧馬周辺に生息するギフチョウは、ほぼすべてカントウカンアオイの葉の裏に産卵する。しかも、産み付けるカントウカンアオイの環境は「日当たりの良いところ」に生えるカントウカンアオイに限られている。これは実際、石砂山周辺で確認したことがある。つまり、日当たりが良くないと、幼虫や蛹がうまく羽化できないらしい。
私が横浜に住んでいた50年以上も前のことであるが、ギフチョウを採集しようと、ヤビツ峠周辺や物見峠周辺を歩いたことがあるが、その時、すでにギフチョウが減少していたのだろう。結局1匹も見つけられ無かったの覚えている。
丹沢に生息していたギフチョウの産卵草がランヨウアオイなのか、カントウカンアオイなのかは、はっきりとは分からないが、明らかにランヨウアオイの方が丹沢では高度的にも広く分布している。(カントウカンアオイは丹沢のごく限られた地域の、それも標高500m近辺に限られるが、ランヨウアオイは350m〜720m位まで生えている。)
推測になるが、丹沢にもともと生息していたギフチョウの産卵草はランヨウアオイではなかったのか?
それでは本題に入る。それが何故絶滅したのか?という事である。
結論から言うと、植林の影響ではないだろうか?ということである。前述したように、今日、丹沢では、ランヨウアオイは人工林に良く生えている。この手の草は容易に繁殖地を広げられないので、多分、昔から今植林されている人工林の場所に生えていたのだろう。それでも植林されてから、しばらくは日当たりもよく、ギフチョウもかろうじて生息を続けられたのかもしれない。しかし、今では大きな木に育った人工林は鬱蒼として日当たりが悪く、とてもギフチョウが産卵・生息できる環境ではない気がする。
これまで、乱獲、ゴルフ場の影響、農薬の影響、鹿(たとえ、鹿に食べられても根は結構深いところまで残っているので、翌春にはまた芽を出します。)によるなどいろいろ検討されたが、今でも謎となっている。
人工林の生育に伴う影響だとすると、絶滅原因として合点が行くような気がしてならない。
注意:これは観察と推測に基づく考えなので、正解ということではなく、私の一つの考えです。
興味深く読ませていただきました。
植林による生態系の変化は実感できますね。今丹沢にある植林帯は55年から80年前に植えられたものでしょうか。
ヒノキは10年で約2〜3m程度に成長するので、日当たりは徐々に悪くなります。
愛鷹山では50年前の出版本ではシカはほとんど見ないと書かれているのに今では駆除してもしきれないほどです。
下草が無くなってシカが広範囲に移動拡散したと言われています。また植林帯ではチョウが飛んでいる記憶があまりありません。
原生林では鳥がうるさいほど鳴いていますが、植林帯に入るととたんに静かです。
私はこれはヒノキが出す除虫成分に関係があるのではと思っています。
植林政策が悪いとは言いませんが、原生林に棲みかう動植物が淘汰されて来たと考えるなら、まこと人間は身勝手な事をしたと言わざるを得ません。
登山を通じて人々の生活と山との関係に着目することは大切なことだと思いました。
pixusさん、コメントありがとうございます。私は愛鷹を歩いていて、獣のいる気配が無いなー!といつも感じていたのですが、駆除できないほど鹿がいるとはびっくりです。以前、サファリパーク近くの射撃場で鹿を見たとき、ここにもいるんだと思ったことがあります。37年ほど前には、オートバイで良く演習場や5合目(滝沢林道だと思う)、太郎坊(たしか須走から砂地の場所をトラバースして走っていたと思う)などまで入れたので、走っていましたが、その時にも富士山には動物が少ないなと感じていました。その原因は水場がないからかな?と思っていました。丹沢では杉やヒノキという昆虫類が嫌うものがたくさんあり、それも成長すると鬱蒼とした暗がりになるので、歩いていても安全ですが楽しく無いですね。
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