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2013年03月31日 11:12【座学】山の天気全体に公開

【座学】山に吹く風の話(その3):耐風姿勢

ヤマレコに冬山の記録をアップしている人なら“耐風姿勢”という言葉は知っているのは当然でしょうし、実践もされているかと思います。“三点支持”と同様にもっとも知られている登山技術の一つだと思います。

「風の吹いている方向に体を向け、腰をかがめて頭を下げ、両足を開いてふんばり、二等辺三角形になるようにピッケル刺して体重をかける」というのが多くの人達が理解している“耐風姿勢”だと思います。

ところが、これだけが耐風姿勢ではありません。

上に書いたような耐風姿勢は、いわば「その程度の風の強い時」の耐風姿勢なのです。立っていることが出来る程度の耐風姿勢ですので、もっと強い風が吹けば人間は簡単に吹っ飛ばされてしまいます。風の力を侮ってはいけません。

「耐風姿勢をとっているから大丈夫!」とは絶対に思わないでください。

普通の立った耐風姿勢では対応できないほどの強い風が吹いている場合は、片方の手はピッケルのシャフトの下の方(スピッツェあたり)を握りしめます。ピッケルで体重を支持しながら強くうつ伏せ姿勢で頭を下げ体が浮き上がらないように意識してとにかく低姿勢にします。さらには機関銃で敵に撃たれているときのように頭を下げるような感じにします。(追記:誤解を与えるような強風時の耐風姿勢の表現がありましたの訂正しておきます。)

ともあれ、吹っ飛ばされそうな風が吹いている時、撤退するか一時的に避難するかを的確に判断しなければなりません。今吹いている風が、1時間後に収まるのか、それとも夕方まではさらに強くなる可能性があるのか、というような現在の天候の状況を的確に理解していなければなりません。そのための判断の一つは「風向」です。いちばん風が強い時の風向をチェックするクセをつけてください。

「全体としては悪くなっているが、今は一時的に改善の方向だ」という判断もあり得ます。その場合、撤退による危険性と前進して近くの山小屋まで向かった方がいいのかを選択する判断になります。“煙い小屋でも黄金の御殿〜”と歌われているように、山小屋のありがたさをしみじみと感じることもあるかと思います。

風によって吹っ飛ばされた場合、もはやこれはどうしようもありません。滑落停止の技術がなければお陀仏です。
そういう意味でも滑落停止の技術は最低限の登山技術です。
http://www.yamareco.com/modules/diary/42284-detail-46666
↑ピッケルによる滑落停止のコツ(私の日記ですが)

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冬山や春山とは違って夏山ではそれほど強い風は吹きません。しいて言えば台風のときだけです。風によって吹き飛ばされて滑落で死亡する事故は私は春山に多いように思います。また、冬の富士山は猛烈な突風が吹くときがあります。富士山独特の風であって、富士山の風を侮ると命がありません。私も経験があるのですが、地吹雪のように風が襲ってきます。クラストした雪面を砂や小石が飛んできます。サングラスやゴーグルが無いと目をやられてしまいます。

くれぐれ、山に吹く風を侮らないで欲しいものです。

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以上、今回は短く書こうと思っても、ついつい長くなってしまいました。

その4は、当分先の予定にしています。

本日はこれまで。That's all for today! Thank you!

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【追記】
今、「耐風姿勢」というキーワードでGoogleを検索したら、この日記が2番目に引っ掛かりました。ヤマレコってすごいですね。
(※記載内容に対して初心者が誤解などがあるといけないので文章はあとで訂正修正をする場合があります。)

【さらに追記】
「耐風姿勢」というキーワードでGoogleを検索したら今度は1番目に出ていました。
すごっ〜
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コメント

RE: 【座学】山に吹く風の話(その3):耐風姿勢
そうかぁ・・ゴーグルがしがしの傷跡・・小粒の石なん

や(納得)38K歩荷だと体重込み118k。これがふらつく

ほどでしたなぁ ピークから下ると口の中ざらざら

も砂ですな。権現かじったのかも

      でわでわ
2013/4/2 7:39
ゲスト
RE: 【座学】山に吹く風の話(その3):耐風姿勢
あらためてお疲れさんでした。38キロはすごい!
そんなに風が強かったんですね。
気象庁のウィンドプロファイラで見ていたら、10メートル以下だったので大したこたないと思っていました。八の風が回り込んで集まっていたんですかね?
2013/4/2 9:59
RE: 【座学】山に吹く風の話(その3):耐風姿勢
ピークを前にして先行のパーティの方が下山してきたので、ピークの風を聞いたんです・

「このあたりと変わりませんよ」

それでも風の音が時折ゴォーってました。

ピークが見え始めると猛烈に吹き荒れてましたね

岩登りで背中からの風でよかったです。ザックを押し上

げるようでした。標識正面にして左手から強烈でした。

他人とのパーティならピーク見えた地点で間違いなく撤

退してましたね

標識が割れて飛ぶのは、実感しました

でも・・いまさらですが・・あれ・・登るかぁ↓

ちょっと思考能力落ちてたかもね(笑)

写真のない時間帯が真剣やばやばモードです(^^;

       でわでわ
2013/4/2 11:39
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