オレンジ

柑橘類の果物の話ではない。
また、南国の熱い太陽の話でもない。
そもそも太陽の色は純白であって、オレンジ色ではない。
絵に書いた太陽を真っ赤に塗るのは日本人の子供ぐらいではないだろうか。何しろ失明する危険を犯して一心に太陽を見つめても、ちっとも赤くもオレンジでもないものな。
ただ朝と夕方の
地球大気に入射する角度が浅くなったときに
比較的濃い大気を長距離通り抜けてこなければならなかった太陽光線が
すみれ色や藍色や青色を散乱によって失った結果、赤く見えるに過ぎない

さて話がそれた

先日の金曜日
辛い副鼻腔炎に苦しむ妻が
私に尋ねて言うよう、
鼻水の色は何色?　　と。

私は応えて
アオッパナだな。つまり青
といった

すると妻が
アオッパナが出るということはきっと治りかけだね
何しろ私はオレンジ色だもん

ふーん
と答えた私は
内心　半信半疑だった
一体どこの世界に
オレンジの鼻水を出す女がいるというのだろう
クリンゴン人じゃあるまいし


さて
妻の言葉を疑った罪に対して
神罰はたちまちてきめんに下って

翌日の土曜日の休日出勤から帰った私は
鼻詰まりと
激しい頭痛に身動きが取れなくなり
翌日曜日には午後半日
食事も喉を通らず
布団から起き上がることも出来ず
ぐったりと倒れて過ごした


そして今日
重い体を引きずって
なんとか出勤し
ちょっと鼻をかんだ私

すると見よ！！

オレンジ。

……許せ、妻よ



あ、食事中にこれ読んだ人もどうかお許しを。