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あなたはどこから生まれたのか?お父さんとお母さん。それでは、お父さんとお母さんはどこから?おじいさんとおばあさん。それでは...。今地球上にくらす80億人の人はみな、祖先をたどればアフリカに生まれた同じ祖先にたどりつく。いわば家族。
では、アフリカに生まれた最初の人たちはどこから来たのか?今から600万年ほど前にチンパンジーと人間の共通の祖先から2つに別れた。ではその前は?猿と別れた祖先、ネズミと別れたときの祖先、さらに鳥、カエル、魚と別れたときの祖先がいる。更に昆虫、植物、バクテリアと別れたときの祖先がいる。
あなたはお母さんのお腹の中では1つの細胞だった。そして全ての生き物の始まりも1つの細胞なのだ。約38億年前に海で誕生した細胞が地球の生き物の共通の祖先。だから皆、仲間だ、と説く。
子供のためではなく自分が読みたくてこの絵本を購入。中村先生が子どもたちに向けて発するメッセージは単純明快である。人間も生き物である。生き物はすべて繋がっており、みなが平等に生きる権利を持っている。人とイモリ、どちらの命が大事という訳ではなく全てが平等の世界。人は2本足で立ちあがり、手を使って環境を変えることができるように進化して、賢くなりすぎて大事なことを忘れてしまっている。そして、ロシア人も中国人もアメリカ人も日本人も外見や言語や肌の色は異なれど、生物学上はホモ・サピエンスの1種にすぎない。コロナ禍や地球温暖化など人類共通の喫緊の課題があるにも拘わらず、人と人が争うことはもう止めるべきである。
生命科学を長年研究され、自らが創設した生命誌科学館館長を務める中村桂子先生。ホスピス医の内藤いずみさんとの対談をまとめた「人間が生きているってこういうことかしら?(ポプラ社)」も素晴らしい内容で、この週末に一気に読んで感動した。
最後は先生の実家の台所に迷い込んだ一匹のアリの話で終わる。先生はアリに語りかける。なぜ、君は毎日やってくるのか?いくつになっても生き物に対する興味は尽きない。良書との出会いに感謝。
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