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楯ヶ崎は、紀伊半島の果てにある海岸沿いの岩場です。1990年代以前から噂だけは耳に入っていましたが、すばらしい岩質にもかかわらず辺鄙な場所にあるので、なかなか訪れる機会がありませんでした。
ちょうど、関東から著名なクライマーが訪れて困難なクラックルートを開拓し、雑誌で紹介したこともあって、開拓ラッシュが起きました。写真にあるような突端部だけでなく、この辺り一帯の海岸沿いの岩場が、急に注目され始めました。
この頃、自分はクライミングを通して知り合ったO氏、H氏と一緒に岩を登りに出かけることが多かったのですが、この両氏は大した腕前でパワーもありました。困難な未登フリールートの初登に対して執念を燃やす二人で、三人で同じ未登ルートのトライをしていても、大抵どちらかが初登をすることが多かったようです。パワー派の二人はその能力が発揮できるオーバーハングが好みであったのに対し、自分はバランスで登るスラブ系が好みでした。三人で手付かずの岩場を探して、紀伊半島を一周したこともありました。
この時に出かけたのは、楯ヶ崎でも国道から散策道をあるかずに直接海岸に降りていくエリアです(山と渓谷社「日本100岩場4」には「三国合同エリア」と紹介されています)。H氏はすでにここに5.12クラスのラインを作っていたようで、次に目をつけていたこれも5.12クラスの極小ホールドを使う指先が痛いラインで、3人で交互にトライしました。(この時は、結局O氏がこれを初登しました。)
さて夕刻になり、車で近くの温泉に行った後、国道沿いのトンネルの中でテントを張りました。当時はこの国道311は楯ヶ崎付近よりは先は行き止まりで、トンネル内も車が通る心配は無かったのです。
O氏、H氏は実は議論好きで、クライミングに関することでは「岩場のチッピング(岩を削って人為的にホールを作ったり無くしたりすること)」についても熱心に議論を交わしたこともありました。この時は、どういうわけか「原子力発電」がテーマになり、狭いテントの中で、O氏は反対派、H氏は現状追認派となり、あまり興味が無い自分を挟んで口泡飛ばして夜遅くまで議論していました。
H氏「そんなに反対なら、Oさんどこか電気の無いところへ行って生活したらいいでしょう!」
O氏「なんでそういう話になるねん・・・」
自分「(心の中で半ばあきれて)どうしてわざわざこんな素晴らしい岩場に来て、こういう話を聞かされないといかんねん・・・(--;)」
もう20年以上前の出来事ですが、よく覚えています。O氏はその後もガイドをしたり、H氏はクライミング雑誌で時々コラムを書いているのを見かけたりします。二人とも今もクライミング・山の世界で活躍しているようです。



心配してたんですが、膝を故障してらしたんですね・・
そうとも知らず、思い遣りなくてゴメンナサイ
今回もいいお話しが聞けて良かったですよ
クロスさんってパワー系だと思ってました
愉快なお仲間に恵まれていたんですね
PS,あ、楯ヶ崎は十年?程前にボルダ―で行ったことありますよ、すんごく遠かった
こんにちは!
まだ階段の下りとかでは少し痛むので、ゆっくりリハビリしてます・・・
昔はパワーもあったんですが、体重との比率の関係でオーバーハングとかはどちらかといえば苦手でしたね。。。
_dejavuさんのクライミングのレコ、楽しみにしてますよ!
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